Sales MarkerのCDO岡です。僕たちは「インテントセールス」という新しいカテゴリーを提唱した「Sales Marker」というプロダクトを中心とする、複数のプロダクト群を開発するスタートアップです。

「インテントセールス」という概念を組み込んだ複数のプロダクト群を展開する Sales Marker

僕は2023年10月にパートナーとして参画し、翌年1月にCDOに就任しました。

Sales Markerは急成長しているスタートアップで、私が入社したタイミングでは70名程度の社員数でしたが約1年半で330名まで事業成長に合わせて組織が成長しています。

Sales Marker の組織全体の変遷。創業から約4年で、4名から300名を超える組織に

そんな急成長に合わせてデザイン組織も約1年間で2名から26名の規模にまで拡大してきました。

Sales Marker デザイン組織の変遷。ブランドデザイン、プロダクトデザインの両組織を立ち上げ、1年間で2名から26名の規模に拡大している

これほどのスピードでデザイン活用を組織に浸透させている会社は、他にあまりないように思います。僕自身、過去にLINEヤフーのブランドデザイン本部長を勤めていた経験や、複数のスタートアップを支援してきた経験を踏まえ、その学びを最大限活かしていったことで、このような急拡大を実現することができました。

インテントセールスというカテゴリーを市場に浸透させるために不可欠である、Sales Markerのデザイン組織づくりの裏側について、できるだけ解像度高くまとめてみます。

僕は2024年、Sales MarkerのCDOに就任しました。

前職では、LINEヤフーのブランドデザイン本部長を勤めており、LINEとヤフーの合併の際には、LINEヤフー全体のデザイン組織をどういう形で事業部と横断組織に分けていくか、どういった組織構造にするかなどを検討・構築した経験もありました。

デザイン組織がどのように拡大し機能していくべきかのイメージが付いている、いわば組織開発「2周目」の状態での入社となります。

2024年1月、Sales MarkerにCDOとして加入。前職でブランドデザイン組織立ち上げを経験した「2周目」での入社

一方で、入社当時の2024年、Sales Markerでは、在籍しているデザイナーは私を含めて2名のみという状態。事業はすでにARR3億円以上になっており、急速なグロースに対してデザイン組織の機能が足りていませんでした。

岡入社時のSales Markerの状況。ARRは3億円を超え、急速なグロースに差し掛かっていたが、一方でデザイナーは岡を含め2名しかいなかった

私が参画したタイミングで、デザイン組織を拡大していくべきだと考えた理由は大きく2つあります。

Sales Markerは、これまでに存在していない「インテントセールス」という新概念を提唱していく、カテゴリー戦略を取っている会社です。

従来のセールスのあり方、マーケティングのあり方を、根本から変革する「インテントセールス」という考え方を市場に普及していく。その結果として「インテントセールスをやりたい」という方が増える。最終的に、Sales Markerというプロダクトを使っている方も増えていく...。

と、このように、一般的なマーケティングで行われるサービス自体の普及よりも、その前段にある概念の浸透 (=カテゴリーづくり) に重きを置いているのが、Sales Markerのコアな戦略となっています。

インテントセールスという新たなカテゴリーを浸透することが、Sales Markerという会社のコア戦略

このように、新たなカテゴリー自体を切り拓いていくには、ユーザーからの第一想起を獲得する必要があるため、人の頭の中にカテゴリーを残すために通常よりもブランディングに力を入れていく必要があります。ユーザーとのタッチポイントを増やしていき、途切れなく施策を回してインテントセールスを訴求し続けることが重要です。

そして、そのためには、インテントセールスの印象を残すデザインの力が必要不可欠になります。途切れなく市場に働きかけるためには、高品質なクリエイティブを世に出し続けられる体制を構築する必要がありました。

つまり、デザイン組織が担うべき役割の一つは、カテゴリーをつくるためのブランドづくりということです。Sales Markerは経営レベルでこのブランドづくりに期待があり、私の入社オファーでも「カテゴリーリーダーになるためのブランディングに、もっと力をかけていきたい」という言葉を代表からいただいていました。

インテントセールスという新たなカテゴリーの存在を、途切れなく市場に働きかけるために、デザインに注力する

カテゴリーを普及させるために、ブランディングに力を入れる。ここまではイメージがつきやすいかと思います。

では、新興のブランドを、確実に人の頭の中に残していくためには何が必要なのでしょうか?

僕は、これまでの経験から「アウトプット量」が最も確実にブランドを育てる要素だと考えています。

新興のブランドを確実に人の頭の中に残していくために必要なのは「アウトプット量」

もちろん、一定ラインのクオリティは必須です。トンマナが揃っていない、世の中の品質基準に達していない、など当たり前品質を満たしていることは前提として維持します。

ただ、それ以上のクリエイティブの品質を追求していくことが、そのままイコール価値になるかと言うと、そうではないのでないかと思うのです。例えば、半年かけてデザイン賞を受賞するようなクオリティを追求したアウトプットを作るよりも、1ヶ月に1つアプトプットする方がデザイン視点で6倍の事業成長に繋げられると考えています。

なので、Sales Markerのフェーズであれば、クリエイティブの追求よりもスピード感、アウトプット量の最大化を優先した組織開発を意識しました。

当たり前品質を満たすことは前提。その先は、アウトプット量を優先して、ブランドを育てていく

Sales Markerは、スタートアップでは珍しいくらいマーケティングに大きく投資をしています。このようにアウトプット数を追求する場合、1人ではもちろん足りないので、早々に体制拡大を行うことを意思決定しました。

このような背景で、デザイン組織の体制拡大を意思決定しているSales Markerですが、2024年から2025年までの1年間で、2名から26名と急速に組織拡大を行っています。

1年間で、Sales Markerのデザイン組織は2名から26名へと拡大

他の組織では、いざ拡大すると決めたとしても、なかなかここまで急速に拡大するには至らない場合も多いだろうと思います。

もちろんSales Markerだからこそ行えた意思決定も多くありますが、同じような組織拡大に取り組むマネジメントの方からすると、その意思決定の過程を細かくサンプリングすることに価値があるのではないでしょうか。

なのでここからは、僕がどのようなことを考えて組織拡大を進めたのかをまとめていきます。ポイントとしては以下のようなものがあります。


  • 事業戦略に対して、インパクトの大きい領域から解決

  • 事業計画に沿った、未来組織図をつくってから採用

  • 課題が来てからでは遅い、先手を取る

これらのポイントを踏まえた組織づくりを、取り組んできた問いの流れで、順序立てて解説していきます。

Sales Markerデザイン組織拡大の中で取り組んできた問い

CDOとして入社することが決まってから、最初に考えたのが「どこから組織拡大を始めるか?」という問いです。

Sales Markerでは、グロースに向けたカテゴリーの拡大に合わせたブランド構築、コンパウンドプロダクト戦略のための複数プロダクト立ち上げの高速化、など複数のイシューに取り組む必要がありましたが、これら全てに同時に取り組むことはなかなか現実的ではありません。

ここで意識したのは、事業戦略に合わせて、より事業インパクトの大きい領域から解決するということです。

組織拡大する場所の選び方:事業インパクトの大きい領域から解決する

僕が入社した段階でSales Markerはグロースに至ろうとしており、複数のチャネルを通した「カテゴリーの拡大と、ターゲット層の拡大」が目下の重要な事業課題でした。

事業の拡大に伴って、セールス中心に価値を伝えるフェーズから、マーケ施策で価値を一人歩きさせるフェーズに移ろうとしていた

一方で、プロダクトサイドは、1人目のデザイナーがプロダクトデザイナーだったこともありブランド領域よりも安定した状態でアウトプットできていました。

また、複数プロダクトへの展開は、2024年秋ごろを予定しており、少しだけ時間的な余裕があったため、デザイン組織としては、当たり前品質のアウトプット量を増やすために、ブランドデザイン組織の拡大を優先的に取り組むことにしました。

とはいえ、すぐにコンパウンドプロダクト戦略に注力が移ることは分かっていたので、ブランドデザインに注力できるリミットは3ヶ月間とし、そこからは、秋頃の複数プロダクトリリースに向けて先手を打ってプロダクトデザイン組織拡大に取り組むことをあらかじめ決めていました。

全社の注力戦略に合わせて前半はブランドデザインから注力。秋頃の複数プロダクトリリースに合わせて先手を打つためにリミットは3ヶ月間と設定

ブランドデザインへの注力をいつまでに取り組むのか決めたあとは、その領域での組織推進を行います。

ここでの具体的なアクションについて、マネジメントの目線でまとめます。

組織拡大のアクション:組織体制のゴール状態を読む / 自分が基準をつくる / 必要十分な組織体制に向けて採用 / 成果証明をする

最初にデザイン組織の拡大計画を事業計画に合わせて行いました。具体的には、4ヶ月区切りの4段階くらいで、未来の組織図をできるだけ具体的に作成していきました。

市場を取り切るために、スピード感ある施策を質高く打てる規模にする必要があったので、半年先くらいまでのマーケ・PRの施策をすべて洗い出し、そこにどのくらいのスキルの人が何人いればカバーできるのか、など具体的なアウトプット視点も含め考えています。

半年先の、スピード感を持って施策を質高く打てている状態に対して、必要なスキルや人数を洗い出して組織図のイメージを立てた

前述の通り、これは人数がいればいるほど良い、という話ではなく、あくまで「当たり前品質のアウトプット量を担保できる」という組織状態に向けた、必要十分な人員を定義しないといけません。

僕は、これまでのLINEヤフーでの経験をもとに、このくらいの施策数ならこの人数が必要になる、というイメージをかなり具体的に持てていたので、そこから人員の想定をつけました。(もし解像度が低い領域ならば、参考になる組織にヒアリングに行くなど、インプットのためのアクションが加わると思います。)

合わせて、組織人数が増えていった時に必要になる項目も、採用の前にできる限り具体的に定義していきます。例えば

  • デザイナーのレベル、役職ごとの詳細な役割や求められるスキルの定義

  • 業務レベルにおける承認フローや承認者の明確化

などの項目です。

採用前に、デザイナーのレベル、役職ごとの詳細な役割や求められるスキルを定義
採用前に、業務レベルにおける承認フローや承認者も明確化

必要な人員を洗い出してから、すぐに採用に動き出してはいたのですが、それと同時並行で自分がブランドデザインの基準をつくりにいくようなアクションを進めていきました。

より詳細なブランドデザイン観点での事例はこちらから。

ここで行ったことは前回の事例でもまとめた通りですが、組織づくりの視点でいうと、基準ができればできるほど、採用要件が下がっていくような効果があると思います。

具体的には、これから増え続けるアウトプットの当たり前品質を担保するために、ブランドリニューアルを行い、それを高解像度のブランドガイドラインに落とし込むことから始めています。

このアウトプットは、今後入社するブランドデザイナーや、連携していくパートナーが、どのような品質を出せば良いのかイメージできる共通言語になります。もし最初にブランドガイドラインを細かく定義しておかないと、僕がいつまで経ってもレビューに入り続けることになり、組織がスケールしていきません。

まずアウトプットしたのは、ブランドリニューアル / 高解像度のブランドガイドライン。自分が毎回レビューしなくても一人歩きして品質を高めてくれる仕組み

また、ブランドガイドラインがあるだけでも、まだチャネルごとにどのような品質が必要になるかは不確実さが残ってしまいます。

なので、メンバーが拡充していく前に、Webサイトのキービジュアル、展示会のイメージ、パンフレット、ビジネスツール、カンファレンスイメージなどできる限り具体的なデザイン例をあらかじめ自身で制作し、より短期間で世界観が統一されるようにしていきました。

「このくらいの品質が基準になる」ということを、言葉だけでなく、実際のモノで語れるようにしておくことで、入社したブランドデザイナーがパフォーマンスしやすくなり、結果として最小の人員でも品質の高いアウトプット量を維持することができるようになります。

ブランドガイドラインを用意するだけでなく、一通り全てのチャネルで基準となるクリエイティブを自分がつくっていった。実際にアウトプットされた前例があることで、これから入るデザイナーがパフォーマンスしやすくなる

明確なイメージができていれば、あとはスピードが重要。入社前から採用活動に動き出していったわけですが、 採用において意識していたのは、当時のSales Markerにとって本質的に必要なスキルセットを見極めることでした。

前述の通り、当時のSales Markerに求められていたのは、「当たり前品質をクリアしながら、アウトプット量を高めていける人」。そのため、例えば、CDO経験者・クリエイティブディレクターといった、必要以上のスキルを持った人よりも、フェーズに合った実行力とスキルの幅の広さを重視しました。

組織の理想状態の解像度を上げられていないと、必要以上の要件を定義してしまいがちです。 結果、採用メッセージがぼやけ、候補者とのフィット感を見失ってしまう。

だからこそ「今のフェーズで本当に必要な力」を明確にすることが、採用の成功確率を高める鍵だと感じています。

リファラルやエージェントを活用しながら、そうして定義した“今のSales Markerにとって必要なブランドデザイナー”が次々と集まり 結果的に半年で8名のブランドデザイナーにジョインしてもらうことができました。

半年で、ブランドデザイナーは8名に増加。2025年10月時点では、14名まで拡大している(業務委託含む)

Sales Markerにおけるブランドデザインの組織体制が整ってきた時に、合わせて考えていたのが「プロダクトデザインの組織づくりに進むタイミング」です。

前述の通り、2024年秋頃にはマルチプロダクト展開を行うことが決まっていた状況で、僕が意識したのは「課題が来る前に先手を打つ」ということでした。

具体的には、プロダクトデザイン組織立ち上げのためのアクションは、ブランドデザイン組織づくりと並行する形で、2024年夏前ごろから開始しています。注力のタイミングで、プロダクトデザイナーがすでにいる状態にしておかなければ、対応ができなくなってしまうので、先手を打っていきました。

ブランドデザインのゴール状態が達成されそうになってきた段階で、課題が本格的に顕在化する前に「プロダクトデザイン組織づくり」に先手を打って取り組み出した

プロダクトデザインの組織づくりについては、ブランドデザイン組織づくりと少しアプローチを変えています。理由としては、僕自身、プロダクトデザイン組織の解像度が高いわけではなかったので、そもそもどのような人員が必要となるのかがクリアにイメージできていなかったからです。

なので、元々入社していた1人目のプロダクトデザイナーである清水さんと一緒に、プロダクト開発を統括していたCTOにエンジニアの採用計画やロードマップを細かくヒアリングしたりするところから始めました。結果として、半年で5名のプロダクトデザイナーを採用していくことが決まり、まずはその採用へと動いていきます。

組織体制の仮説ができた後は、プロダクトデザイナーの採用に取り組みます。同じタイミングで資金調達、コンパウンドプロダクト展開のリリースなど、これからプロダクトデザイナーが必要となってくる理由を説明しやすくなっていたので、それらを採用時にもしっかり伝えていきました。

資金調達、コンパウンドプロダクト化などの、プロダクトデザイナーが必要となってくる理由を訴求

少しずつプロダクトデザイナーが入社してくれたタイミングで、コンパウンドプロダクト展開に向けて、デザインシステムの構築にも着手し始めました。

早期にこのような基盤を用意したことで、さらにプロダクトデザイナーの採用も加速することができました。

Sales Markerデザインシステム「Arrows」

このような組織づくりの流れを経て、最終的にCDOに就任した2024年1月には2名だったデザイン組織は、1年間で26名に拡大しました。

1年間で、Sales Markerのデザイン組織は2名から26名へと拡大

ブランドデザイン組織では、想定していたように、カテゴリーを拡げつつ事業を急拡大させるための、当たり前品質を満たしたアウトプットを数多くつくれる体制がつくれています。

現在のSales Markerのブランドデザイン組織のアウトプット。当たり前品質を満たしたアウトプットを数多くつくれるように

プロダクトデザイン組織では、1年で3プロダクトをリリースするスピード感に対応できる体制と、グローバルな開発チームと連携がスムーズに行えるグローバル組織の構築ができています。

Sales Markerは、事業や組織も拡大し続けており、この急速なグロースを支えるデザイン組織として、先手を打って対応していけている現状です。

最後に、Sales Markerにおけるデザイン組織の今後の拡大イメージを、いくつかの問いに答える形でまとめてみます。あくまで現状の回答なので、事業状況によって多少変わる部分があるかもしれませんが、根本的に維持したい考えを残しておきます。

現在は、プロダクトデザインとブランドデザインの組織を分けていないのですが、これは自分がマネジメントできる範囲までは継続する予定です。人数規模的に見れなくなったとしても、同じ戦略のもと統制が効いている状態にすることにはこだわります。

そもそも、ブランディングの根幹はプロダクトだと考えています。例えば、マーケのPV/UUなどの数値を伸ばそうと思った時にも、予算をかけていけば何とかなる部分もありますが、根本的にはプロダクトや企画が魅力的でなければコンバージョンや継続には至りません。

全てのデザイン機能が同じ戦略のもと統制されていないと、プロダクト側で力をかけている機能が、マーケ側でうまくPRされないなど、コミュニケーションに齟齬が生まれてしまいます。戦略を素早く一貫させたものにするために、同じ戦略のもと統制できる体制を維持しないといけないと考えています。

プロダクトデザインとブランドデザインは、同じ戦略のもと統制が効いている状態にすべき

これもよくある問いです。専門性で切り出したデザイン組織ではなく、事業部ごとにデザイナーをアサインしていく体制にするべきかどうか。

僕は、全社の規模感によって、最適な配置や組織図が異なってくると理解しています。

僕がSales Markerに入社したタイミングでは、まだ全社でも社員は50名くらいの規模でした。このタイミングでは事業部ごとにデザイナーが分かれるメリットはほぼないと思います。例えば、全社の人数が100名になっても同じです。

逆に現在は、組織も300名を超えていて、同時にプロダクトも4つに分かれ、プロダクトマネジメント本部というプロダクトを管掌する部署が新たに生まれたりしています。なので連携を取りやすくする意図で、複数のチームに分かれていくことも有効かと思っています。実際、今もデザイン組織では、半事業部制のような形で、プロダクトごとの担当をつける体制にしています。

人数規模によって、関わるステークホルダーが増えてくると、デザイン組織の体制もそれに合わせて変化させていく必要がある

ただ、デザイナーが集まっておくことのメリットもあります。むしろそのメリットが大きいので、デザイン組織という横断の部署が必要だと思っています。

現状ではプロダクトのフェーズも異なるので、完全に事業部ごとにデザイナーを分配してもうまくいかないだろうと思います。ただ、もっと事業フェーズが進んできて、すべてのプロダクトが拡大フェーズに入ってきたりすると、事業部制を取るのも有効になるかもしれません。

僕は、もしそのような状態になったとしても、デザイナーが集まるメリットを考えて、完全に事業ごとに切り離すのではなく、デザイン組織に所属しながら各事業に出向できるような形を取るのがベストかなと思っています。

僕は、事業戦略に応じて、デザイン組織の注力は変わっていくものだと捉えています。

事業が進捗すると、これまで事業課題の解決ができていた領域もテコ入れが必要になっていくことがあります。もし事業課題に対して機能が不足してきた場合、そちらを伸ばすようなイメージで組織の注力を変えています。

例えば、もっとプロダクトが増えてくると、今は当たり前品質を出せているブランドデザインのアウトプット数も、供給が足りなくなり、ボトルネックになってしまうかもしれません。そうなると、ブランドデザインの体制拡大が注力になっていきます。デザイン組織のマネジメントは、この繰り返しなのではないでしょうか。

デザイン組織の注力は、事業進捗に合わせて変わっていく。これまで問題がなかった部分も、事業進捗すると課題になり、注力の必要が生まれることもある

Sales Markerでのデザイン組織の捉え方や、拡大の裏側をまとめてきましたが、ここで述べておきたいのは各社において最適なデザイン組織の形は異なるということです。

結局僕は、事業戦略と対になるようにデザイン組織の形が定義されることが大事なのだと思います。

事業戦略と対になるように、デザイン組織の形を定義する

組織構築や採用は後手になりやすく、事業戦略を先読みで捉えられなければ、せっかく組織を育ててもすでに事業的にホットな領域は変わってしまっている、ということもあり得ます。

しかし、先回りしすぎて採用人数を増やしすぎるとデザイナーがコストになってしまうケースもあります。会社全体の規模感と全体の開発やビジネスサイドとの人数比率、コスト比率をしっかり意識した計画が必要になるためそこのバランスの見極めが一番難しいと私は思います。

なのでデザイン組織のマネジメントは、常に経営目線で事業の先を見据えて、そこに合わせたバランスの良い組織構築を先手で取り組んでおく必要があります。

これは難易度が高く、多くのサンプルが必要です。また、経営とのロードマップのすり合わせも怠ってはいけません。僕は過去の経験からこのサンプルを担保し、また、代表とのディスカッションによって事業の構想に入り込んでいくことでこの要素を補っています。

常に代表とカテゴリーデザインのためのブランドロードマップをディスカッションしながら事業の先を予測し、先手を打って組織を構築していく

これからデザイン組織構築に取り組む方は、自分の事業に向き合いつつも、ぜひ他社のサンプルを収集することに積極的であって欲しいなと思います。僕の組織構築の裏側については、より詳しくシェアすることも大歓迎なので、ぜひ関心のある方はカジュアル面談などから声をかけてください。

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