TISのUXデザイン専門チーム「XD Studio」には、ブランディング支援を行う「ブランドデザインチーム」があります。このチームは、単なる見た目の美しさのビジュアル開発やPRにとどまらず、「顧客視点」と「ブランド視点」を掛け合わせた価値創造の実現を目指しています。

2024年4月から9月にかけて、「デジタル基盤オファリングサービス」におけるブランディング支援を実施しました。

BtoBサービスの中でも特に専門性が高く、複雑な構造を持つサービスに対して、どのようにブランディングを実施し、価値を伝えるか。そのプロセスと成果についてご紹介します。

「デジタル基盤オファリングサービス」は、2024年9月に提供を開始し、お客様のニーズに応じて、アーキテクチャの最適化やインフラ基盤・サービス基盤の構築、運用管理までをオファリング型で提供するサービスです。

本サービスは、TISがこれまで培ってきたシステム構築のノウハウを集約し、より大きな付加価値を提供することを目的としています。しかし、専門性が高く、サービスの全体像や価値を分かりやすく伝えることが難しいという課題がありました。

本サービスの企画・提供を担う「サービスプラットフォーム事業部」では、サービスの立ち上げに向けて、そのサービスの目指す方向性やコンセプトを整理する、まさにブランディングの検討を進めており、その支援相談を受けたことから、ブランドデザインチームが参画することになりました。

① 専門性が高く、価値を分かりやすく言語化することが難しい

  • 単に「できること」を伝えるだけでは、サービスの本質的な価値が伝わらない

② チーム内で「サービスのあるべき姿」に対する認識にばらつきがあった

  • 関係者ごとに異なる視点があり、一貫したブランドメッセージを確立できていなかった

こうした課題を解決するために、サービスの本質的な価値を定義し、それをお客様に分かりやすく伝えるためのブランディング支援を実施しました。

【実施背景】

  • サービスの方向性がチーム内で統一されていないため、一貫したブランドメッセージを発信することが難しい状況であった。

  • 関係者間でサービスの価値を定義し、共通認識を持つことが急務だった。

【実施内容】

  • ワークショップを実施し、サービスの価値やターゲットを整理

    • Miroを活用して「サービスの強み」「ターゲット」「提供価値」を可視化

    • チーム全員が参加し、意見を出し合う形式を採用

  • ブランドの基本コンセプトを整理

    • 「このサービスは何を提供し、どのような価値を生み出すのか?」を言語化

    • 各メンバーの認識のズレを調整し、共通理解の確立

【成果】

  • サービスの方向性が明確になり、チーム内で統一したブランドメッセージを持てるようになった。

  • 「このサービスが提供すべき価値は何か?」について共通認識を形成

【実施背景】

  • ワークショップで整理したブランドコンセプトが、実際の市場ニーズと合致しているかを検証する必要があった。

  • サービス提供者の視点だけではなく、顧客の視点を取り入れることで、より効果的なブランディングを実現する。

【実施内容】

  • 仮説検証を目的に、対象にユーザー10名にインタビューを実施

    • 「このサービスのどこに価値を感じるのか?」

    • 「提供予定の機能に対する期待は?」

    • 「他の類似サービスと比較した時の印象は?」

  • などの質問を設定し、ユーザーの率直な意見を収集

    • インタビュー結果の分析
      • Miroを活用し、フィードバックを可視化
      • ポジティブな意見と改善点を整理
  • 【成果】

    • 「ユーザーが求める価値」と「チームが定義した価値」のズレを発見

    • 「より実用性の高いメッセージが必要」という課題が浮き彫りに

    • サービスの差別化ポイントを明確化し、ブランドコンセプトの調整方針を決定

    ワークショップと需要調査を通じて、デジタル基盤オファリングサービスのブランドコンセプトの方向性が固まりました。

    次のステップとして、ブランドコンセプトの具体的な言語化とブランドメッセージを視覚的に伝える情報設計を実施しました。

    【実施背景】

    • インタビュー調査で得たフィードバックをもとに、ブランドの方向性をより具体的なメッセージに落とし込む必要があった。
    • 「企業向けITサービス」としての専門性を保ちつつ、ユーザーが直感的に価値を理解できる表現を模索。

    【実施内容】

    • ビジョン・ミッション・コンセプトの策定

      • 「このサービスが目指す世界観とは?」

      • 「競合と差別化するポイントは?」

      • 「顧客が感じるメリットをどのように表現するか?」

  • などの視点から言語化を進めた

  • 【成果】

    • 「技術的な強み」だけではなく、「顧客にとっての利便性」も含めたブランドコンセプトを確立

    • サービスのメッセージが明確になり、社内外への発信がスムーズに

    【実施背景】

    • 言語化したブランドコンセプトを、視覚的に伝えるためのデザインを策定する必要があった。
    • BtoB向けのITサービスのため、過度に装飾的でなく、分かりやすさと信頼感を重視。

    【実施内容】

    • ワイヤーフレーム作成→miroを活用したチーム内レビュー→デザインの反映

    • 競合・ベンチマーク分析を行い、差別化要素を整理

    • メインビジュアルの開発

      • より良い未来に向かって先導するイメージ

      • 空を駆け抜けるようなダイナミックな印象など、抽象的な概念を可視化

    【成果】

    • ブランドの世界観を統一し、視覚的にも伝わるデザインを確立
    • 「見た目の美しさ」だけではなく、「ブランドメッセージを伝えるデザイン」への昇華

    【実施内容】

    • サービスの正式リリースに合わせ、ブランド戦略をもとにしたプロモーションを展開

    【成果】

    • チームの一体感向上

    • 社内外から「わかりやすくなった」「サービスの強みが明確になった」との評価を獲得

    ■ブランディングは一度作ったら終わりではない

    ブランドは、一度定義すれば完成するものではなく、継続的に育てていくものです。そのため、長期的な視点で、チームが主体的にブランド価値を伝え続けることが重要です。

    私たちは、「サービスの育ての親」はサービスの提供チームであり、ブランドデザインチームは「助産師」のような役割と考えています。

    ■TISのブランディング支援の強み

    • Sier企業として、BtoBビジネスに特化したブランディング支援が可能

    • 顧客視点とブランド視点を掛け合わせ、事業成長を支援

    • 単なる見た目のデザインだけではなく、事業戦略としてのブランディングを推進

    ■お問い合わせ

    今回の取り組みに興味を持たれた方や、具体的なご相談がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。これからもお客様と共に、より強く魅力的なブランドを生み出していけるよう、全力でサポートしてまいります。

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