ユーザー体験の砦として新規事業をファシリテートする — パーソルキャリア流のデザインスプリント

こんにちは。パーソルキャリア サービス企画開発本部 サービスデザイングループの長谷川です。

パーソルキャリアでは、日本の労働人口6700万人の方々が自らの可能性を知り、「はたらく」を自ら選択できるように支援することをミッションとしています。その中でも、サービス企画開発本部では、次世代の事業を企画開発していくという役割を担っています。

新規サービスを生み出す確率は、一般的には5~10%といわれているため、とにかく数多くチャレンジして成功確率を上げていこうというのが、私たちの生存戦略です。そのためには24サービスを同時開発できる組織体制が必要だと考えています。

私たちサービスデザイングループは、部内から生まれる新規事業に関わりながら、ユーザー視点での課題解決や体験設計のサポート、持続的なビジネス戦略の提案を行っています。

今回は、新規事業の検証フェーズにて部内で採用している「デザインスプリント」という手法を取り上げながら、新規事業におけるサービスデザイナーの携わり方についてまとめていきたいと思います。

ユーザー目線で事業をGOできるか判断するために

パーソルキャリアが扱うデザインスプリントは特に新規事業におけるプリプロダクションフェーズ(仮説検証フェーズ)に力を発揮します。

事業案を元にしながら「ユーザーは誰で・どんな課題に対して・どんな価値を提供するのか」というコア体験の検証を短期間で実施することで、事業の成功確率を高めながら次のステップに進めるようにすることがデザインスプリントの役割となっています。

デザインスプリントVer2.0

デザインスプリントの概念や手法は、Google Venturesのジェイク・ナップ氏により開発されたものですが、パーソルキャリアでは「新規事業における仮説検証」により特化した取り組みにできるようデザインスプリントVer2.0と称して下記のような流れで進めています。

上記の流れについて、以前デザインスプリントを実施した新規事業の例をもとにまとめていきます。

『何を検証できれば良いのか』を詰めきるDay0

デザインスプリントを実施した上でユーザーに提供する体験価値を見極めるためには、「何が検証できればよいのか」という検証項目の設定に全てがかかっていると考えています。

この検証項目が曖昧であれば、いくらデザインスプリントに時間をかけても「良かった気はするけど、何が良かったのかあまり分からない」というようなことが起きてしまいます。

そのため、サービスデザイングループでデザインスプリントを実施する時には、事前にプロダクトオーナーの方とじっくり議論を重ねた上での検証項目の設定を必ず行います。

また、デザインスプリントを始める時点でもこの検証項目で問題ないかをユーザー視点で判断できるよう、対象とするユーザーと近しい社内メンバーに事前にインタビューしながらユーザーへの解像度を高めていきます。

ユーザー像を鮮明に理解する為のマッピング・デプスインタビュー

デザインスプリント序盤では、新規事業でターゲットとしているユーザーがどんな人で、どんな課題を抱えていて、普段はどんな代替手段で課題を解消しようとしているのかなど、ユーザー像を明らかにするためにmiroを使いながらメンバーでペルソナやジャーニーマップを作っていきます。


本家のデザインスプリントではジャーニーマップを作成した後はそのまま解決策・プロトタイプ作成に入りますが、パーソルキャリアではこの段階で設定したユーザー像や課題が本当に正しいのかを検証するために、ユーザーへのデプスインタビューを実施します。

このタイミングでデプスインタビューを実施することで、ジャーニーマップを通して仮説でイメージしていたユーザー像がより鮮明に理解できるようになり、時には「想像していたユーザー像が違った」あるいは「抱えている課題は確かに存在していそうだ」と気づくことができるため、その後に検証すべき事や、プロトタイプが確信度の高い状態で作れるようになります。

実際にメンバーからも「ユーザーのことあまり知らなかったんだ...と気づけて、やってよかった」という声をもらえることもありました。

発散と収束を繰り返すアイディエーション

ユーザーやユーザー課題についての理解を深めたあとは、その課題を解決するためのサービス体験を考えます。いわゆる「コンセプトメイキング」のステップになりますが、ステップの基本はアイデアの発散と収束です。

アイデアをメンバー全員で付箋に書いて、ユーザー課題を解決するようなサービス体験アイデアを、質を問わずとにかく量を出していきます。量を出したあとは、「親和図法」と呼ばれるような手法を用いて、アイデアをグルーピングしたり、合体させたり、筋の良いと思われるアイデアを探していきます。

その後は、大まかなサービス体験をスケッチとして全員でアイデア出しをして、視覚的にもアイデアの質を判断できるような形で投票を行います。投票と言っても単なる多数決ではなく、各メンバーが何を大切だと考えているのかを共有し、その中からこのあとのプロトタイプのベースとなるアイデアを選びます。

ベースとなるアイデアを選んだ後は、プロトタイプの構成案を練っていきます。

プロトタイプは、検証したい項目をしっかりと検証できるような構成かつ、作成コストもできる限り最小限に留めるよう努力します。

『多分良かった』で終わらせないプロトタイプ・ユーザーテスト

ユーザー像や抱えている課題が明確に見えた後は、どのような価値を提供するとその課題が解決されそうかというアイデア出しや、実際にサービスに落し込んでみた上でのプロトタイプを作成していきます。

また、作成したプロトタイプを実際にユーザーに見てもらいながら、設定した検証項目に対しての結果がどうだったのかを確認していきます。メモは下の画像のような形で、インタビュー1回につき、各参加メンバーで付箋にメモをとっていきます。

以前取り組んだ新規事業の例では、リアルタイムでユーザーテストを見ていましたが、「自分のことを後押ししてくれるサービスだと思いました..!」というような声もいただけてうるっと来る瞬間もあり、検証結果としても想定した課題や価値が当てはまることが確認できたので、そういう時にはデザインスプリントとしての成功を実感することができます。

このような流れでデザインスプリントを実施しており、最初に設定した検証項目に対しての結果がどうだったのか明確に答えを得られるようにすることで事業を進められるか判断できるようにしているというのが、サービスデザイングループの実践するデザインスプリントの一連の流れです。

まとめ

どのアイデアでも、生みの親にとっては非常に可愛い我が子のように思えてしまいますが、先入観でサービスの企画を進めていては、実際にリリースをした時に全く利用者が増えなかったということも起こり得ます。その場合は企画開発のコストが無駄になってしまったということになりますし、どこをどう間違えているのかもわかりません。

届ける相手を間違えているのか、届けたい価値が間違っているのか、それとも届け方が良くないのか。これらも、企画フェーズからステップバイステップで正しい仮説検証を繰り返していくことで、短期間かつ最小限のコストで進んでいくことが可能になります。

そのためには、ユーザーの解像度を限りなく上げたり、事業としてGOサインを出すために必要な検証項目の整理や、価値となるコンセプトやユーザー体験が必須になってきます。そして、一人で作るよりも、デザイナーやエンジニア、ディレクターなど多様なメンバーの集合知で作る方が、より良いものが出来ます。

上記を一手に解決するポテンシャルを秘めているのがデザインスプリントであり、そのポテンシャルを引き出すのが私たちサービスデザイングループです。

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