MIXIデザイン本部 ブランドデザイン室長の安井です。MIXIでは2013年頃から新卒デザイン職採用、そして2015年から新卒デザイン職研修を実施してきました。また、2022年度からは現在ブランドデザイン室にある、デザイナーリレーショングループが新卒デザイン職研修の設計に携わっています。
私としては、2023年度の研修から本プロジェクトのオーナーとして設計に関わっており、前年度の研修の型を引継ぎつつ、私なりに改めて何のために新卒デザイン職研修を実施するのか、どのような内容であればよいかを言語化しながら進めました。
新卒メンバーの活躍と、それによるMIXIにおける事業成長を両立させていくためにも、彼らが入社後に何を学び、どんなパフォーマンスを発揮していけるかを描くことは非常に重要だと思っています。
そのために新卒デザイン職研修という場をどのような視点で設計していったかについて、まとめたいと思います。私たちも試行錯誤の過程ではありますが、参考になる点があれば幸いです。
前提として、MIXIの新卒デザイン職は毎年3~5名ほど入社しており、UI/UXやグラフィック、動画、ディレクションなど、様々な専門性を学んできています。
また、入社後は入社式・ビジネス研修・デザイン職研修・現場配属のような流れで現場に入っていきます。デザイン職研修は、概ね2週間ほどの期間で行われます。
研修の目的として大事にしていたことは、「学び続けることの大切さに気付くきっかけの場」となり、新卒メンバーが成長し続け、長く活躍できるデザイナーになってもらえるようにすることです。
学生時代に学んできたことにはもちろん価値がありますが、これからの長いキャリアの中でぶつかる課題や、世の中の変化に対応していくためには、自身をアップデートし続ける必要があります。
これは「新卒」といった年次の括りや「デザイン職」といった職能の括りに限った話ではありませんが、社会人としての一歩を踏み出したタイミングで「学び続ける大切さ」に気付き、実際に成長し続けられるようになることはとても大事なことだと考えています。
また、MIXIだけで見ても多様な事業・職能の幅があり、デザイン職としての活躍の仕方も多岐に渡ります。そのため、今まで学んできたからという理由だけで1つの領域に縛られず、幅広い領域を知ってトライしてみることで、今後の活躍の幅も広がりやすいと考えています。
より詳細な内容については、2022年新卒向けのものではありますが、こちらにもまとめています。
このような背景をもとに、新卒デザイン職研修では「学び続けることを意識づける」ことを目的に据え、MIXIデザイン職としての経験に基づく活きた知見を「多種多様な職能の研修」を通じて伝えていくという座組みで設計しています。
特に次のようなポイントを意識しながら、講師陣と具体的な内容を詰めていきました。
1つの職能に限らず、幅広い職能に一気に触れる
先輩や同僚デザイン職との繋がりをつくる
新卒デザイン職は、UI/UXやグラフィック、ディレクターなどの枠で採用していますが、それぞれの専門領域で個別の研修内容にするのではなく、MIXIにおける幅広いデザイン領域に一気に触れるような内容にしています。
具体的には、要件整理 / グラフィックデザイン / CGデザイン / 動画 / サウンド / Web制作などの座学・実践を全員で一気に行っていくイメージです。
新卒メンバーにとっては、自身が学んできたものに限らない領域に一気に取り組んでいくことになるので、一定のストレスがかかる内容であることは理解しています。
ただ、今後1つの領域だけに閉じて、その領域のメンバーだけと会話してモノづくりに取り組むことはありませんし、幅広い領域をカバーし、異なる領域のメンバーと共通言語を持ってコミュニケーションしていくことが重要です。また、これだけ広い職能があるのだと知ることで、今後のキャリアパスや活躍の幅が広がりやすくなると考えています。
実際の研修内容については、こちらにもまとめています。
もう一つは、今後関わっていくことになる多くのデザイン職との繋がりをつくれるようにすることです。
単にメンバーと仲良くしましょうというものではなく、隣接職種のメンバーがどんな視点で何をしているかを深く理解したり、課題にぶつかった時に相談できる環境を持っておくことは、今後デザイン職として活躍していくうえで大切な武器になると考えています。
そのため、研修を通して新卒メンバーが関わる人をなるべく多くすることを意識しており、結果として今年の新卒研修では1人あたり30名ほどのメンバーと関われるような場となりました。
本来、新卒研修が価値あるものであったかどうかは、数年後に参加者がどのような活躍ができているかで測られるべきだと考えています。例えば、終了後のアンケートで満足度が高ければ、素晴らしい施策だったと評価できるかというと難しいところです。
そのため、短期的な成果よりも未来の成果を意識するようにしています。
ただ、新卒メンバーが新卒研修を通して何を感じ、今の業務に対してどう活きているかをきちんと把握しておくことも重要ですので、参加者へのアンケートも実施しました。
あくまで一部の抜粋にはなりますが、具体的には以下のような点で価値を感じてくれているようです。
モノづくりを通して事業価値を高めていくために、他職種・他分野と同じ言語で語れることの重要性を入社直後に認識できたことは、実務でもかなり活きていると思います
全体を通してどのように仕事を進めていけばスムーズに進むか、改めて体感できたのが大きな収穫でした
講師からのフィードバックに関して、自分と同じ目線になって良いものを作り上げようという気持ちが伝わってきて嬉しかったのを覚えている
サービス系やゲーム、イラストなど、様々な事業のメンバーと一緒の研修だったため、着眼点や制作する上での考え方などの違いが出て新鮮だった
デザインを仕事にする実感が湧きました
これらの声を真摯に受け止めながら、今後もより意義のある機会にできるようにアップデートしていきたいと思います。
組織によって、または担当する人によっても研修のあり方は異なると思いますし、私たちもまだまだ試行錯誤を重ねている段階です。
ただ、新卒メンバーがこれからデザインの現場で過ごすことになる期間は、学生時代に学んできた期間よりも遥かに長く、時代とともに求められる役割も必要な力も大きく変わっていくことは間違いありません。
その中で、限られた範囲で「デザイン職はこういうことをしていたら良いんだよ」と伝えてしまうより、自身をアップデートしていく必要性を感じ、そのための手がかりとなる経験を得られる場をできる限り届けていく方が、今後10年20年と続いていくキャリアにおいて価値があるのではないかと私たちは考えています。
学び続けていく力を勝ち取った若手メンバーが、フレッシュな目線で世の中の変化を捉え、MIXIにおけるサービスやコンテンツをアップデートしていってくれることを楽しみにしていますし、私自身もその成長幅に負けないように、学び続けていきたいと思います。