rootでは1年ほど前から、マネーフォワードケッサイ (以下 MFK) のコミュニケーションデザイン領域における制作業務や、体制づくり、業務フロー改善などのコミュニケーションデザインOps立ち上げを支援してきました。
MFKでは、サービスが成長する中で、プロダクト・コミュニケーション領域でのデザイン業務が少数のデザインチームに集中し、常に大量のタスクに追われている状態となっていました。
そこから、rootがコミュニケーションデザイン領域の伴走支援を開始し、制作業務や体制整備を担ってきました。結果として、無理なく効率的なオペレーション体制が生まれると共に、MFKのデザイナーがブランディングなどの重要なプロジェクトに集中できるようになってきています。
プロジェクトを振り返りながら、今までに取り組んできたことや意識したことをまとめたいと思います。
マネーフォワードケッサイ株式会社は、BtoB・企業間後払い決済/請求代行・ファクタリングサービスを提供する企業です。
サービスが成長する中で、プロダクトデザイン・コミュニケーションデザインなど様々な領域でデザインの案件が、加速度的に増えていっている状況でした。
また、当時はメインで稼働しているデザイナーが1名となっており、あらゆる制作依頼がそのデザイナーに集中。制作業務に追われてしまい、身動きがなかなか取りづらい状況となってしまっていました。
このような状況の中で、rootに対してデザイン支援の依頼をいただきました。
状況について深くヒアリングさせていただき、コミュニケーションデザイン領域をrootで伴走支援することで、MFK側のデザイナーは制作業務の比重を下げ、ブランディング等の領域に注力できるような体制にを作っていくことにしました。
また、コムデ領域の制作業務を担うとともに、体制づくりや業務フロー改善を行っていくことで、MFK側のデザイナーがより重要なプロジェクトに集中できたり、今後の組織拡大に踏み切りやすいような状態を目指しました。
そのために、root側からは制作に強みを持つデザイナーに加え、体制づくりやコミュニケーション力に強みを持つPM (私) の2名が中心に支援を行っていくことにしました。
支援が始まってからは、毎週の定例ミーティングを区切りとしながら、日々の制作業務と業務フローの改善を両輪で行うようにしてきました。
特に業務フローの改善については、日々のやり取りの中から問題を発見し、適宜改善を行っていくというプロセスをPMとしてリードしてきました。
今までに取り組んできたことの例をピックアップして紹介します。
マーケターからデザイナーへ案件依頼を行う際に使用するフォーマットを整備しました。
今までは、大小様々な多数の案件について記載内容や共有方法がばらばらで、制作後の手戻りなどのコストが生まれてしまっていました。
そこで、案件依頼のフォーマットを用意することで、目的やターゲット、訴求、情報の優先度などを齟齬なくやり取りできるようにしてみました。
結果的に、事前情報を常に共有していただけるようになり、制作が進めやすくなりました。
サービスサイトやLPなどで活用するコンポーネントの整備を行いました。
今までは統一されたルールや、コンポーネントなどが用意されておらず、制作コストが高まってしまっていました。そこで、サービスサイトやLP内でよく使用するパーツをまとめてコンポーネント化しました。
結果として、一貫性のあるデザインの作成や、ルールを統一化することで制作コストを抑えられるようになりました。
制作物の品質を担保できるように、レビューフローを整備していきました。
具体的には、root社内とMFK社内で、二重のレビューサイクルを回せるようにしています。基本的にはPM・デザイナーの2名がフロントに立ってMFKの支援をしているのですが、root社内でもう1名、シニアデザイナーがレビューを都度行うような仕組みにしています。
root社内では、例えば以下のような観点でチェックを行っています。
デザインクオリティとして問題ないかへのチェック
MFKらしさを表現したデザインになっているかなど、トンマナに関するチェック
経験豊富なデザイナーを数多く抱えるrootだからできる仕組みであり、これが制作物の品質を維持したり、高めていける理由の1つになっています。
制作案件に対するアサインやリソース調整の流れについてもアップデートを重ねています。
当初は、MFK側のデザイナーがマーケティングチームからの依頼を整理し、定例ミーティングの際に、施策リストの中からroot側に依頼するものを伝えるというような流れでした。
現在は、root側ですべての制作案件を把握し、MFK・rootそれぞれのリソース感や強みを踏まえて、アサインを提案するような双方向のコミュニケーションができるようにしています。
外部パートナーに依頼するとなると、どうしても「多く頼みすぎると申し訳ないし...」といった遠慮が生まれる場面もありますし、「パートナーに何をどこまでお任せできるのか」を把握できていない場面もあります。
そのような壁を取っ払って、1つのチームとしてデザイン業務に向き合えるようにしていくことも大切にしています。
このような取り組みを継続的に行ってきたことで、現在はほとんどすべての制作案件を、rootメンバー主体で担当できる状態になってきています。
定常的な制作業務をrootが担い、さらにオペレーション体制も改善してきたことで、MFK デザイナーのリソースにも余白が生まれ、より重要な施策にコミットできるようになってきています。
MFKのデザイナーからは、rootとの協業について以下のようなコメントをいただいています。今後も継続的にパートナーとしてしっかりと支援をしていきたいと思います。
今回は、マネーフォワードケッサイのコミュニケーションデザイン領域に対し、rootが伴走支援するなかで取り組んできた、デザインOps立ち上げについてまとめてきました。
事業の成長とともに案件数も右肩上がりに増えて行く中で、日々の制作に追われ手が回らなくなってしまった結果、本当に取り組むべきことに目線を向けづらくなることもあるかと思います。
ただ、デザイン組織としては手を動かすだけでなく、ブランディングや、より大きな価値づくりなど、本来活躍していける余地が大いにあるものだと思います。
その際に、rootのような専門性を持ったパートナーを活用することで、現状を打破し、次のステップへ進める可能性が大きく広がるのではないかと考えています。
rootでは、プロダクト立ち上げや、コミュニケーションデザイン、デザイン組織づくりなど、幅広い領域での伴走支援を今後も続けていくので、ぜひご相談いただければと思います。