2024年4月にSUPER STUDIOの採用サイトをリニューアルしました。本リニューアルは、採用サイトのデザインに加えて、1年程前から取り組んできたコーポレートブランディングのプロジェクトをCustomer Experience室 (以下CX室) を中心に、人事や広報などのメンバーと協力して推進してきました。

2024年4月にリニューアルした SUPER STUDIO 採用サイト
https://careers.super-studio.jp/

プロジェクトを通して、採用サイトにおけるアクティブユーザー数500%以上改善、エンゲージメント20%以上向上、ブランドイメージの改善などの成果が生まれると共に、社内メンバーからの反響も非常に大きく、今後の指標となっていく取り組みとなりました。

このような成果を生むことができた要因は以下の2点です。

  • 当初から「SUPER STUDIOのコーポレートブランドを確立し、それによって採用成果を生み出すこと」を目的に、体験設計の観点から、採用サイトに限らず様々な施策を推進したこと

  • 人事や広報、ボードメンバーなど、社内メンバーの当事者意識を引き出し、一丸となってプロジェクトに取り組めるプロセスを確立できたこと

これらを推進したCX室のメンバーとして、どのようにプロジェクトを推進していったのか、具体的な取り組みを踏まえてまとめていきたいと思います。

SUPER STUDIOにおけるコーポレートブランドを確立していく必要性を強く意識したのは、約1年前に遡ります。

事業・組織ともに急成長し、採用の難易度も高まっていく中で、採用進捗の鈍化や、SUPER STUDIOの印象・イメージのズレが生じていました。

  • 新入社員へのアンケートで入社前のSUPER STUDIOの印象・イメージを聞くと、「怖い」と感じていた方も多く、実態が正しく伝わっていない状態になっていた

  • メイン事業であるSaaS事業のecforceの認知度と比較して、SUPER STUDIOという社名での認知度はまだまだ伸びしろがあった

  • コーポレートブランド周りのテコ入れができていなかった

  • 情報の更新性を担保できていなかった

今までのコーポレートブランドのイメージ
旧コーポレートサイト(左)と旧採用サイト(右)の一部

このような背景から、SUPER STUDIOのコーポレートブランドを確立していくこと、そして今後さらに成長していく事業を支える組織を盤石にするためのプロジェクトを実施することになります。

CX室としては、全体のプロジェクト推進や体験設計、制作面をリードしました。プロジェクトの初期段階でロードマップを作成し、以下のような流れで進めていきました。

「コーポレートブランドの確立」と「採用体験の構築」の二段階に分けて実施

まずはじめに、SUPER STUDIOとは何かを的確かつ視覚的に伝えられるように、改めてコーポレートブランドを可視化し、アセット化していきました。

具体的には、SUPER STUDIOにおけるMISSION・VISION・VALUEやCULTUREを、「キューブ」になぞらえた表現に落とし込んでいます。

キューブは、SUPER STUDIOがミッションとして掲げる「コト、モノにかかわる全ての人々の顧客体験を最大化する」というメッセージの、"コト、モノ"をミニマルに表現した姿です。 我々の情熱を内包した"コト、モノ"が核となって、集合や変形を繰り返し、豊かな社会と未来の形成に貢献していきます。

さらに、このタイミングでカラースキームなどのデザイントークンも詳細に定義しています。

SUPER STUDIOのカラースキーム

そして、これらをコーポレートサイトや各種資料テンプレートにも反映し、公開しました。

SUPER STUDIOコーポレートサイト
https://www.super-studio.jp/

次に、コーポレートブランドを踏まえた、SUPER STUDIOにおける理想的な候補者ジャーニーを作成していきました。具体的な候補者像や、認知から内定、入社までの各フェーズでどのような体験をしてもらうことが最適かをまとめており、これらをベースにしながら採用サイトや、その他の採用施策についての設計を行っていきました。

候補者ジャーニーを可視化した資料の一部

次に、SUPER STUDIO 採用サイトのコンセプト設計、情報設計、ビジュアルデザイン、開発を進めていきました。特に意識していたポイントについてまとめます。

進行フローはスクラムをベースにすることで、複数の部署が絡み、かつ長期的な取り組みでありながらも、常にメンバーの目線を合わせて進捗していけるように意識しました。

具体的には、プロジェクトのゴール、進行フロー、アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い、それぞれの役割などを、丁寧にすり合わせた後にプロジェクトをスタートしました。

プロジェクトの進行フローの認識合わせを行った際の資料の一部
スクラムに馴染みのないメンバーも関わるため、丁寧にすり合わせを行いながら進めていきました

まず、採用サイトで伝えるべきメッセージや印象、そのために必要なコンテンツをプロジェクトメンバーを巻き込みながら設計していきました。

IGNITE YOUR HEATというコーポレートのタグラインを起点に、採用サイトにおけるキーワードを洗い出し、「あらゆる人の心に火を灯せ。WE IGNITE YOUR HEART.」というコピーや、「自分たちが仕事にワクワクしていることを印象的に伝える」などの方向性を定めています。

採用サイトのコンセプト設計を行っていた際の資料の一部
このコンセプト設計に最も時間をかけ、メンバー間の深い共通認識を作ることで、確たる軸を持ってスムーズに制作を進めることができました。

また、今回の採用サイトのコンセプトと、SUPER STUDIOらしさを組み合わせて、デザインモチーフを設計しました。

前述の「キューブ」に加え、炎を模した「グラデーション」で心に火が灯る様子や情熱を表現し、「働く人」を押し出した写真 / 動画 / テキストコンテンツによって社員の実際の人柄を伝えられるようにしています。

採用サイトのデザインモチーフ

これらのデザインモチーフを基にしながら、「メンバーの心が動き、仕事にワクワクしている様子」が伝わるビジュアルを詰めていきました。

具体的には、メンバーが仕事にワクワクしている様子を印象的に切り取った写真や、手書きの有機的な矢印、イラストなど、細かな表現を取り入れています。

SUPER STUDIO 採用サイトのデザイン
https://careers.super-studio.jp/

SUPER STUDIOの会社としての魅力を知り、入社いただくまでのタッチポイントは、もちろん採用サイトだけではありません。

より良い候補者体験をつくり、結果として採用目標が達成される流れをデザインするために、人事や広報など様々な部署と協力し、候補者体験に関する課題を解決する施策を展開していきました。

採用戦略の概要を設計していた資料の一部

例えば、SUPER STUDIOの仕事、制度、オフィス環境、働き方、カルチャー、インタビュー記事など、社内のあらゆる情報を集約したバーチャルマップ「SUPER STUDIO 360°ツアー」を制作し、公開しました。

候補者向けに公開している「SUPER STUDIO 360°ツアー」

また、社内メンバーがリファラル採用に関わる際に、どのように魅力を伝えてアトラクトしていくと良いかをまとめた「リファラルガイド」も作成しました。

積極採用職種で活用する「リファラルガイド」

このような流れで採用サイトの公開を進めていきました。公開から2ヶ月ほど経過した現時点では、以下のような効果が生まれており、継続的な母集団形成に貢献できていると考えています。

  • 採用サイトにおけるアクティブユーザー数が500%以上改善

  • 採用サイト内のエンゲージメントが20%以上向上

さらにコーポレート全体として、ブランドイメージやSEOの面でも効果が出ています。

  • 「ecforce」で検索した際のコーポレートサイトの検索順位向上 (7〜10位程度の検索順位向上)

  • 実態と異なるイメージの払拭

また、今回のアウトプットや全社を巻き込んだ取り組みに対して、社内からの反響も非常に大きく、今後の指標となっていくプロジェクトになったと感じています。

採用サイト公開後にいただいた、メンバーや外部の関係者の方から声

「デザインによってユーザー体験を構築し、事業成長に貢献する」という観点でプロジェクトをリードし、関わるメンバーの熱量を高めながら取り組めたと思います。また、コーポレートブランディングに限らず、様々なプロジェクトで活かせる学びを多く得られました。

これからも部署や職種を超えて、より大きな成果をメンバーと一緒に追い求めていけるよう、デザインに取り組んでいきたいと思います。

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