三井住友カード(以下、SMCC) のデザイン組織「UI/UXデザインスクワッド」(以下、UIUXデザインSQ)。

2023年9月より、TISの「XD Studio」が連携して、デザイン組織の拡大を伴走支援しました。

XD StudioとしてSMCCのデザイン組織拡大を支援

デザイン組織として全社支援を開始した昨年10月のタイミングでは、社内にデザイナーは数名。対して、全社からデザインの支援に対する期待は高まっており、専門性の拡張が急務でした。

その中で、SMCCデザイン組織として「伴走型パートナー活用の拡張」に踏み切ります。

その一つのパートナーである「XD Studio」は、SMCC入会サイトのリニューアルや、BtoB向けアプリデザイン、プレゼン資料、メールデザイン、各種デザインレビューなど幅広いデザインを行い、社内デザイナーのチームづくりや、全社からの引き合いの増加へと繋げていきました。

制作したアウトプットと効果

今回は、その裏側の動きをSMCC側、XD Studio側の両面から切り取り、「いかに事業会社とデザインパートナーの連携を生むのか」というテーマで事例としてまとめていきたいと思います。

SMCCデザイン組織「UIUXデザインSQ」のプロダクトオーナー、伊藤です。ここからは私が行ってきたデザイン組織立ち上げについてまとめます。

SMCCデザイン組織「UIUXデザインSQ」の行ったこと

SMCCでは、お客さまにより良いサービスを届けるため、全社で様々な機能・サービス開発が進んでおり、使い勝手や見た目のわかりやすさといったUI/UXの重要性も高まっていました。

そこで、2023年4月に「UIUXデザインSQ」というアジャイルチームを組成。デザイン組織立ち上げが始まりました。

その後、2023年10月に社内の全デザイン領域の案件支援を開始することを宣言します。社内からも早期から期待が集まっており、コンセプト設計・ユーザー像の定義・マーケ関連の画像制作・営業資料...などさまざまな相談をいただくようになっていました。

全デザイン領域の案件支援を宣言した時の資料。無数の案件の相談が来るように

一方で、UIUXデザインSQに所属するデザイナーはまだ数名。社員のデザイン経験もまだ浅い中で、全社から一挙にデザイン案件が集まってくると、対応することができない可能性がありました。

そこで、信頼をつくるために、どのようにデザイン組織として早期に専門性を拡張していくのかが課題となっていました。

無数の案件に対応するため、デザイン組織として専門性を早期に拡張する必要

このような状況で、UIUXデザインSQとして意思決定したのは、伴走型のデザインパートナーとの連携を中心に、組織を拡大し、各部からの案件に対応することでした。

このタイミングで、外部のデザインパートナーを巻き込む選択をした理由は2つあります。

外部のデザインパートナーを巻き込んで組織拡大を行う

1つ目は、「デザイナー採用」という難易度の高い選択肢よりも、早く人員が集められること。これまでのSMCCでは、総合職の採用が中心。デザイナーのような単一のジョブで採用することは会社としても未知の選択肢でした。一方で伴走型のパートナーであればそれを待たずに人員を拡張できます。

2つ目は、守備範囲の広さを獲得することです。前述の通り、すでにUIUXデザインSQに所属する社員のデザイン経験はまだ浅く、全社から依頼される無数の案件に対応するためには、守備範囲が広いプロフェッショナルなパートナーに伴走してもらうことが必要でした。

そこで、巻き込んだパートナーの一つが、TISのデザイン専門チーム「XD Studio」でした。

XD Studio

XD Studioは、前述したような観点に加え、TISという巨大な組織の中でデザインに特化した組織として立ち上がっている、いわば同じ状況の「同志」のような存在でした。

2023年9月にジョインしてもらい、SMCC入会サイトのリニューアルや、BtoB向けアプリデザイン、プレゼン資料、メールデザイン、各種デザインレビューを伴走支援してもらいました。

ここからは、TISのデザイン専門チーム「XD Studio」の責任者、加藤の目線で、支援内容についてまとめていきます。

XD Studioサイドの動き

XD Studioは、2023年9月、SMCC「UIUXデザインSQ」として全社支援を開始する直前のタイミングから、都度必要な案件に入り込んでいくような関わり方をします。はじめは3名のデザイナーがXD Studioから参画しました。

XD Studioとして意識していたことは、受発注の関係ではなく、SMCCの皆さまとの仕事仲間として「ユーザー観点でのデザインをリードする」ことでした。

我々はデザインのプロフェッショナルとして振る舞い、SMCCの皆さまにはカード会社としてのお作法や制約などのドメイン知識をリードしていただく。そうして、強みを補いあうことが必要なのだろうと考えていました。

具体例として、入会サイトのリニューアルについての例をまとめます。

2023年9月に加入した直後、UIUXデザインSQが受け持つ入会サイトのリニューアルの案件にXD Studioも関わらせてもらいました。

三井住友カード入会サイトのリニューアル

入会サイト担当チームの方も、我々と会うのは初めてです。また、何をリニューアルしたいのかも具体的な要件としては見えていないことからはじまります。さらには、デザインプロセスに関わった経験もそこまで多くはありません。

そこで、まずXD Studioから「起こしたい体験の理想状態」を概念から丁寧に説明しました。画面案だけ共有するのではなく、同じ考えを持って議論が可能になるように前提の説明は怠らないように意識しています。

起こしたい体験の理想状態を、概念から説明

そして、その概念にのっとって「ユーザーとして理想的である画面改善案」を提案するようにします。これに対して入会サイト担当チームの方から、SMCC側の制約条件として「これはできる、これはできない」というレビューをもらいながら進めていくようにしました。

前述した通り、制約条件がわからない中でデザインすることになるため、何とか汲み取ってデザイン案を出そうとしたとしても、必ず考慮できていない観点が生まれます。

そうではなく、自分たちは「ユーザー観点でのデザインをリードする」ことに注力する。逆にいうと「ドメイン理解や制約観点は、補ってもらう」と役割分担を明確にしたことで、お互いに頼り合って制作していく関係性をつくることができました。

役割を明確に分担する

このようなフローを取っていたことで、SMCCの方からもデザインに対する要望が多く生まれるようになり、結果的に一緒にデザインを仕上げていくような関わり方ができるようになりました。

さらに、XD Studioとしては、最終的に自分たちがチームを離れても大丈夫なように「プロセスを残す」ことを意識していました。

例えば、入会サイト担当チームの方が、その他関係部署とのコミュニケーションを取りやすいように、資料を用意。必要であれば一緒に会議に出て、サポートをするなどの動きを行っています。

関係部署とのコミュニケーションをサポートするための資料を用意

また、今後保守運用していくチームも運用がしやすいように、ガイドラインを整備。前述した、入会サイトで起こしたい行動を伝えたり、疑問を共有してもらえるようにしていきました。

リニューアルしたSMCC入会サイトも無事リリースされ、保守運用に入っています。関係部署から、非常に運用しやすくなったという声もいただいています。

XD Studioでは、その後も社外向けの登壇資料、メール文章のデザインなど幅広いデザインを支援していきました。

結果として、UIUXデザインSQに所属する社内のデザイナーの経験も増え、さらに初期のデザイン組織にも関わらずクオリティ高いアウトプットを守備範囲広く打ち返せるようになったことで、全社から引き合いが増加しています。

XD Studioとして支援してきたもの

さらに、SMCCデザイン組織として貢献できる範囲も見えてきたので、さらに専門性に特化したパートナー巻き込みを進められるようになっています。

社員に加え、外部パートナーも増加したことで中規模な組織になっており、さらに拡大していく予定です。

今回は、XD Studioが支援させていただいたSMCCデザイン組織拡大のための伴走の事例をまとめました。

XD Studioでは、単なる受発注の関係を超え、まるで同じ会社で働く仕事仲間のような関係で、伴走支援することを心がけています。

今回も、SMCCの皆さまがXD Studioのことを「同志」として捉えていただいていたことで、うまく役割をすみ分け、一緒に制作を進めることができました。

この事例を読んでいる方がデザイン組織の立ち上げや拡大に関わるとき、「伴走型のパートナー巻き込み」という選択を取りやすくなれば良いなと思います。何か相談があれば、XD Studioにいつでもご連絡ください。

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