私たちが運営する『Wedding Park』は、2004年にスタートして以来、20年以上にわたって多くのカップルに使われ続けている、日本最大級の結婚準備クチコミ情報サイトです。

私はWedding Parkのデザイナーとして、ユーザー視点でプロダクトの課題を抽出し、企画・デザイン・改善など施策を推進する役割を担ってきました。

結婚式に関する捉え方はどんどん多様になっていて、人によって求める情報は変わってきています。Wedding Parkのプロダクト改善においても、幅広いユーザーのどの課題に応えていくのかを見極めることが大きな課題でした。

そんな状況で私は、日々の施策推進に加えて、事業全体の検証を進めるための「課題のマッピング」に挑戦し始めています。

この事例では、「課題マップ」を使って、私がデザイナーとしてWedding Parkのプロダクトマネジメントに入門してみた記録をまとめてみようと思います。

Wedding Parkは、国内最大級の結婚準備クチコミ情報サイトです。

結婚式場を探しているカップルが、Wedding Parkに掲載されているクチコミ、会場紹介、フェア紹介などのさまざまな情報に触れ、自分が理想とする結婚式場に出会うまでの体験をつくっています。

私は2024年にウエディングパークにデザイナーとして新卒入社し、Wedding Parkのプロダクトの改善に関わってきました。

私はデザイナーとして、自分の責任範囲を広げていくことにこだわり続けてきました。初めはUIデザインがメインでしたが、デザインレビュアー、仕様設計、企画策定...と、この数年間で少しずつやれることが広がっていきました。

しかし、企画を自分で立ち上げてはリリースしていく動きを繰り返す中で、「施策を出しても出してもなかなか成果につながっていない」ということに気付き始めます。

今振り返るとこれは、私が “点” としてしか施策を捉えられていなかったからでした。1つ1つの施策のつながりや優先度を考え切れておらず、当時は「良さそうに見える施策を決め打ちして、とにかく速く出していく」という闇雲な進め方になってしまっていたと思います。

Wedding Parkは大規模なサイトで、何か1つの施策だけで爆発的に成果につながるようなことは起こりづらいと思います。

だからこそ、一つひとつの改善施策を “点” で捉えるのではなくて、継続的な事業成果につなげるための全体の戦略を考えていく必要があるのだと気付きました。

そのような問題意識からつくってみているのが「課題マップ」です。これは、プロダクトとして検証したいユーザー課題を並べた上で注力すべき課題に絞って施策を考えられるようにするための仕組みです。

現在は、ver1の課題マップをもとに施策をリリースし、その結果を踏まえてver2の課題マップができています。

課題マップで施策設計を続けると、最も事業成長につながりそうな施策を迷わず決められるようになり、事業としての検証も徐々に進んでいきました。

私が担当している「クチコミ領域のプロダクト改善」を例に課題マップの運用イメージをまとめます。

まずは、クチコミ領域にまつわるユーザー課題を並べてみることから始めます。Wedding Parkで過去にインタビューしてきたユーザーの情報や、他プロジェクトでの検証結果を踏まえて、強そうなユーザー課題を探っていきました。

過去のインタビュー情報から、想像できるユーザー課題を並べてみる

そこから、このQで解決するユーザー課題を1つだけ絞ってみることにしました。

あれこれ課題に取り組んでも、検証にならない上に、リソースも発散するので事業成長にもつながりません。

なので、間違っていても良いので、今のところ一番成果につながりそうだと確信できる課題を1つ絞るようにしています。私はこの時は「クチコミを読みたいけど探すのに時間がかかって負担」という課題にフォーカスすることを決めました。

Qで取り組むユーザー課題を1つに絞る

取り組む課題が決まったら、素早く企画・施策をリリースします。

私の中で意識が変わったのは「施策は一度外れたとしても、リカバリーできる」ということに気づいた時でした。

施策が当たればもちろん良いのですが、狙った成果が生まれないことも時にはあります。その時にも「この方向は違いそう。なら次はこの課題解決をやってみよう」などと冷静に捉えられる方が事業検証としてより良い状態だと思います。

大きく早く学習を回すためにも、素早くリリースして、早く仮説を検証するようにしています。

課題や戦略の良し悪しを早く判断するために、施策はすぐさまリリースする

今回は「クチコミを読みたいけど探すのに時間がかかって負担」という課題が決まったあとに、「クチコミの絞り込み」「クチコミのUIの視認性改善」という2つの施策をリリースしてみました。

施策の結果が分かった段階 (1〜2週間後) で、振り返りとして「この課題にそのまま取り組み続けるのか」を判断します。

例えば、リリース後の結果が悪かった時には「ソリューションの磨き込みが足りなかった」「もっと違う施策ならハマるかも」と考えたくなります。

ただ、ここまでのプロセスでできるだけ考え切って施策を動かしてきたはずなので、ここでは「実は、課題感が薄かったのでは」と課題選び自体を間違えている可能性を疑うようにしました。

今回の「クチコミの絞り込み」「クチコミのUIの視認性」の改善では、一定の反響はあったものの意図していたほどの結果は生まれませんでした。私はここで取り組む課題から変える必要がありそうだと考えます。

そこで改めて、Wedding Parkのジャーニーに沿ってユーザー課題をマッピングし直しました。これが「課題マップ ver2」です。

こうして整理すると、「クチコミを読みたいけど探すのに時間がかかって負担」という課題は優先度の低い課題ではないかと思えてきました。

今クチコミを読んでいない人が、クチコミを積極的に読むようになるためには非常に多くの検証が必要となってしまいます。それよりも、すでにクチコミを頻繁に見ているけど申し込みに至っていないような人にフォーカスする方がより早く結果に繋がりそうだと思いました。

ジャーニーを眺めてみると「ある程度式場の理解が深まったけれど、決め手に欠ける」という場面で、クチコミの重要性が強まっていることが分かってきました。データ的にもこのような層は一定数いることが裏付けられました。

ユーザーのタイプ分類から、取り組む課題の強さやターゲットを改めて見極める

そのような思考から、次に取り組むのは「クチコミを積極的に読んでいる層」の「確信を持てる決め手が見つからない」という課題だと判断できました。

考えをまとめて、「注力するターゲット層・課題を変える」「このような課題に対して、こういう企画をやるべき」とプロダクトオーナーや営業メンバーに提案します。検証を通しての学習で根拠もあったので納得感はかなり高く、スムーズに企画に合意でき、期待感も生まれました。

スムーズに企画に合意し、期待感をもらうこともできた

このように「課題マップ」を使うことで、スピーディーな施策推進から、大きな事業戦略の検証を進めていくことができるようになっています。

これまで私は、デザイナーとしての役割を広げようとしてきましたが、十分に成果につなげられていませんでした。

その理由はおそらく、「役割を広げていこう」「施策を早く進めよう」「施策から結果を出そう」といった “点” だけに目が向いていたからでした。

今回は、施策の大元になるような課題に目を向けて、一つひとつの施策から事業検証を進めることに向き合うことができました。これはつまり “線” の視点だったのだと思います。

“点” から “線” へと視点が変わった

「課題マップ」を使ったプロダクトマネジメントを始めたことで、「もしもこの施策が外れたとしても、他にも仮説はあるから大丈夫」と思えるようになりました。

今は、常にいくつかの勝ち筋が見えているような感覚になれています。課題の全体像を整理したことで、やっと “線” として事業を見れるようになってきたのだと思います。

あとは、結果につなげていくことが全てです。Wedding Parkというサービスがさらに時代や人々に適したものになるように、より良いプロダクトへと進化させていきます。

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