エウレカで、PairsエンゲージのPdMをしている @chihokotaro です。同プロダクトで、UI/UXデザイナーを経て、PdMとして活動しています。

今回は、オンライン結婚相談所サービスであるPairsエンゲージでの体験設計について書いてみたいと思います(※ 先日登壇したhttps://dezasaka.peatix.com/?lang=ja">インハウスデザイナー酒場でお話した内容を再構成したものです。)。

まずはPairsエンゲージについて。

エウレカでは、マッチングアプリのPairsを運営しており、こちらの印象を持っている方も多いかもしれません。

↑ Pairsのメインビジュアル

Pairsでは、気になる相手に「いいね!」を送り、メッセージができるようになっています。ジャンルとしてはデーティングアプリです。

↑ サービスページより抜粋

一方で、Pairsエンゲージでは、「オンライン結婚相談所」をテーマにし、実際にコンシェルジュがついて結婚までの活動をサポートするようなサービスになっています。

独身証明書などを提出したり、コンシェルジュからのカウンセリングを受けたりとデーティングアプリとは違うポイントがいくつかあります。

簡単にお伝えすると「アプリが提供する体験」と「コンシェルジュが提供する体験」の2軸でサービス体験が構成されているのです。

このあたりが体験設計が難しく、「アプリの体験をよくする」だけではないことが求められる理由です。

2019年8月にサービスを開始したPairsエンゲージですが、実験を繰り返す中で「コンシェルジュとの関係性」が大きく満足度に影響することがわかってきました。

デーティングアプリと違い、婚活は身分証明書を提出したり、慎重に相手を選んだり、コンシェルジュに相談をしたりと、比較的長い期間の体験を扱っています。

そのため、途中で挫折してしまう場合もあるため、細かくリワードを感じられる設計にする必要があるのです。

そこで、早期離脱を防ぐ1つの解決策として、コンシェルジュとのカウンセリング機能をリリースしました (リアルな結婚相談所でも、仲介人が親身にサポートしてくれます)。

表面では、コンシェルジュとの日程調整をして、オンライン通話をするという流れです。

一方裏側では、コンシェルジュに「どのような会話をしてもらうのか」など、プロダクト上の体験と、コンシェルジュから提供される体験が一致するように、プロダクトチームとコンシェルジュチームで常に連携しながら機能を提供しています。

また、「デーティングサービスに比べてマッチングしにくい」という課題がありました。

当初はアプリ上の課題として捉え、オンラインデーティングで当たったことがある施策を踏襲し、「紹介数を増やす」「いいね!を促す」などの施策を試してみました。

これらは、デーティングアプリだったら効果が出るはずのものだったのですが、Pairsエンゲージの場合思ったほど効果が出なかったのです。

原因を探すために、コンシェルジュチームにヒアリングを重ねたり、ユーザーの利用状況を調べてみたりしました。

すると、「プロフィールの写真に課題がありそう」という仮説にたどり着いたのです。

というのも、当時のプロフィール写真の基準は、結婚相談所ルールに準拠した写真のみ登録可能だったのです。

※結婚相談所ルールに準拠した写真とは 結婚相談所のプロフィール写真には、

  • バストアップで正面を向いている
  • 頭のてっぺんまで見切れず入っている
  • 帽子やサングラスはNG

などの基準があります。

結果、普段の自然な様子などは登録不可になってしまい、「結婚相談所ルールに準拠した写真を持っていないのでその場で撮影した自撮り写真を登録していた」「登録された写真枚数が少なく、どのような雰囲気の人なのかわからない」など、プロフィールからその人の魅力が伝わらず、いいね!が送られないようになっていました。

そのため、以下のような打ち手を打つことに。

・無料でプロフィール写真を撮影できる「撮影会」をもっと訴求する

・コンシェルジュから写真についてのアドバイスを直接行う

・メイン写真とサブ写真に分けてユーザーに登録してもらい、カジュアルな写真も登録できるよう写真登録の機能をアップデートし、審査基準も見直した

撮影会については、コロナ禍中のため緊急事態宣言が発令されると中止せざるを得ない、という状況の中、例えば「東京は緊急事態宣言下だけど関西と東海地方は宣言外なので開催しよう」など、模索しながらやっています。

一見するとアプリ上の課題に見えるものもPairsエンゲージの場合は、それ以外の要素があることがほとんどです。そのため、アプリ上の使い心地などを改善するだけではなく、コンシェルジュとのコミュニケーションや、オフラインでの施策もうまく組み合わせることによって解決してきました。

このようにPairsエンゲージでは、アプリだけではなく、アプリ外の体験や、コンシェルジュから得られる体験も含めて、サービスとして提供しています。

結婚相談所に通う体験を、オンラインのアプリとコンシェルジュで実現しようとしていることもあり、「そもそも結婚相談所に通うというメンタルモデルを表すUIがない」「人が介在するから満足度が上がる部分と、アプリだから便利な部分をどう両立させるか」などなど、難しい点が多くあります。

その分非常にやりがいがあり、まだない行動をアプリもその他の手段も合わせて設計していくサービスなので、興味がある方は是非エウレカサイトをご覧いただけると幸いです。

それでは、ご覧いただきありがとうございました。