こんにちは! DeNAデザイン本部 横山です🙋♀️
2022年6月に、LIVEコミュニケーションアプリ「Pococha(ポコチャ)」の主要機能であるイベント機能のUIをリニューアルしました。
サービスが大きくなってくると、たとえ小さな変更でも「馴染みのあるUIが変わるのはちょっと...」といったネガティブな反応も出やすくなってきます。
その中で、使いやすさ・先を見据えた拡張性の向上と、ユーザーハレーションを抑えたリリースにするための工夫を、今回のリニューアルを踏まえてまとめたいと思います。
Pocochaでは3.5万人のライバー(配信者)が日々ライブ配信を行っています。
アプリ内には「イベント」というものがあり、一定期間イベントへ参加し入賞すると、プライズ(オリジナルグッズやメディア出演権など)を獲得できます。
参加すると特別なプライズがもらえたり、配信枠が盛り上がりやすくなったりするため、ライバーにとっては配信のモチベーションに、リスナーにとっては応援のモチベーションになる重要な機能です。
多くのユーザーが熱量高く利用する機能であるため、改善を行う上でも「今まで使っていたユーザーが不満を持たないか」「ハレーションが起こらないか」に対して細心の注意を払う必要があります。
今回のリニューアルは、ユーザーの「参加したい・興味のあるイベントが見つけづらい」という声がきっかけとなり始まりました。また、見つけづらさが原因となりユーザーが適切にイベントを探せないことで、イベント企画そのものの効果検証が的確に行えないという運営側の課題もありました。
「見つけづらさ」とは、具体的には「一覧性が低いこと・絞り込みができないこと」です。
小さな改善であればリリース後に反応を見て修正することもできますが、今回はパッとリリースしてしまうにはあまりにも影響範囲も変更幅も大きい…。
そのため、少しずつユーザーに改善の背景を理解していただきながら、機能の改善案自体も磨いていけるよう、以下のような進め方をしました。
- イベントの発見性を高めるための、プロトタイプ
- 方向性を確かめるための、ユーザーインタビュー
- 細かなユーザビリティを磨くための、ユーザーインタビュー
- リリース前に、ユーザーを巻き込んだ機能説明会の実施
- リリース後は、定期的にフォローアップ会を開催
まずはじめに「イベントの探しづらさ」が何によって起こっているのか、本来どのようにイベントに関われれば理想なのかを整理し、プロトタイプを作りました。
この時点で既に開発には動いていたのですが、本当にこの改善がユーザーにとってポジティブなのかを肌感を持って確かめたく、ユーザーインタビューを行うことに。
ユーザーの方に実際にプロトタイプを触ってもらって、検証したい項目に対して点数をつけてもらい、どこに課題感がありそうか、どこが好感触なのかを整理。
1度目のインタビューを元に修正したプロトタイプをつくり、再度ユーザーインタビューを実施。
1度目のインタビューでの点数と比較して、2度目のインタビューでの点数が改善されていたため、この方向性でリリースを進めていくことになりました。
また、より多くのユーザーに改善の背景を理解していただけるよう、リリース前に「新イベントタブのこれから」という機能説明会を、企画チームのメンバーと同席して実施しました。
当日は、イベントタブの変更内容や目的・今後の方針についてお話しし、最後に参加されたユーザーの方にアンケートに答えてもらいました。
結果的に、約半数が「納得できた」と答えていただいた一方、納得できないわけではないが「使ってみないとわからない」という声も約半数ありました。
しかしながら、一定ハレーションが生まれることを前提に、リリース後に使ってもらった声を元にさらに改善を進めることを計画していたため、改善計画をお伝えしてリリースを進めることに。
現在リリースしてから3ヶ月程経っていますが、大型アップデート以降も、「終了時間が見にくい」「カテゴリでフィルターしたい」「出てくるイベントの並び順に違和感がある」といった声に対して、優先順位をつけながら改修のリリースを少しずつ行うことで、よりユーザーの皆さんにとって使いやすいイベント機能になるように進めています。
また、今後も継続的に振り返りレポートを公開しながら、安心して使い続けてもらえるように改善を進めているところです。
Pocochaは、ユーザーとの距離感が近く、今回の開発チーム以外のチームでも定常的にユーザーと接点を持っています。ライバーもいればリスナーもおり、一人ひとりが異なる考え方を持っていらっしゃいます。そうした多様なユーザーが様々なご意見を真摯に伝えてくださる状況では、全てに答えることは難しいです。
チームとしての方針を判断し、適切にユーザーへ意図を伝えるということは、非常に繊細で気力が必要です。チームメンバーも常に「これで良いのだろうか?」と自問自答をしつつ開発をしてきました。開発が難航する中でも、今回「これはユーザーの意見を直に聞こう」という判断に至ったのは、まさにPocochaらしい開発のあり方なのではと思います。
初めてのことばかりで反省すべき点や失敗も多かったですが、これを学びとして今後ともユーザーと共創するという意志で開発を進めていこうと感じました。