FiTは現在4期目となるスタートアップです。次世代型フィットネスジム「LifeFit」を運営しています。
LifeFitは実店舗型のサービスです。全国に店舗を持っており、それらの内装・販促物・屋外広告など幅広い制作物を扱っています。これらを内部のデザイナー中心にディレクション・制作をしています。
先日、LifeFitのクリエイティブの品質を揃えるために、ブランドブックを制作しました。
サービス開始から2年目、関わるデザイナーも5名(正社員2名、業務委託3名)と早いタイミングで、ブランドを統制するためにブランドブックを作成した背景についてまとめていきます。
FiTは2020年12月に創業、全てアプリで完結する次世代フィットネスジム「LifeFit」は2022年2月にオープンし、これまでに累計6万人のユーザーに利用されています。
しかし、事業の拡大に伴って、全国に店舗展開をしていくこととなり、それに伴いクリエイティブもバリエーションが増え、今後は品質を落とすことなく、統一感を高めていく取り組みが必要となりました。
LifeFitではフランチャイズも含め、自分たちでジムを持ち、すべて同じブランドとして運営しています。
そのため、例えば1店舗増えるだけでも、以下のように幅広い制作が必要になります。
店舗に掲載するポスター
LP
Web広告グラフィック
広告用の動画
写真の撮影
店舗付近の看板
etc…
店舗の数が増えてくると、どうしても依頼の数が莫大になってしまうため、パートナーとして関わってもらう人も増えてきていました。
一方で、LifeFitらしいブランドについて阿吽の呼吸でわかるのはFiTのデザイナーだけだったので、制作物の品質に統一感がなくなってきていました。
店舗拡大、ユーザー拡大に伴って、マーケ・広報、フランチャイズのオーナー、フランチャイズ店舗とやり取りするSV(店舗サポート担当)、看板施工や撮影を依頼する外部パートナーなど、制作に関わる人が多様になってきていました。
結果として、良かれと思ってつくったクリエイティブが、LifeFitらしい印象ではないものになっていたりと、統制が取れていない状態が続いていました。
そこで、今後さらに店舗拡大のペースが増し、関わる人数も増えてくることを見越して、先回りして問題の解決に取り組むこととします。
まだ阿吽の呼吸で何とかなる段階ではありましたが、LifeFitの成長ペースを考えると、早めに「LifeFitらしさ」を言語化し、浸透することが重要だと考えました。
具体的には、ブランドブックという形でアウトプットしています。
ブランドブックの制作は、以下のような流れで進めていきました。
1. LifeFitのあるべき姿を整理 ・ターゲットなどを整理しつつ、骨子作成と並走して進めています 2. LifeFitブランドブックの骨子作成 3. デザインチームで連携・制作(デザインチーム) 4. コーポレート・経営とSync ・骨子・おおよその流れをベースに活用方法を模索 ・ブランドブックで記載すべき内容がより明確になりました 5. 内容の追加(デザインチーム) ・FiT社としてのブランド・目指す世界観も追記 6. 全体周知
いきなりブランドブックにする前に、あるべき姿を整理した上で、骨子を作成しています。
ターゲット
ターゲットのインサイト
機能的便益
感情的便益
ブランドの擬人化
など、テキスト情報だけでLifeFitのブランドについて言語化していきました。
見栄えから設計するのではなく、骨子をもとに内容や活用方法を議論し、そこから足りない項目を追加・ビジュアルの磨き込みを進めていったことで、手戻りなく進めることができました。
ブランドブックの内容には、カラーやタイポグラフィー、ロゴの扱いなどのガイドライン的な内容に加えて、「LifeFitらしさ」に納得感を持ってもらえるよう、会社とブランドの関係性、ターゲット、ベネフィットなど、戦略的な内容までまとめています。
また、実店舗を持つLifeFitだからこそ、写真のトンマナや、空間設計のトンマナについてもブランドブックにまとめています。
完成したブランドブックを浸透させる方法としては、全社のメンバーが集まる総会を活用しました。
ただ「こんなもの出来たよ」と配布するだけでなく、その意図まで話すことが浸透には大事だと思っていたので、全社員が集まるオフラインの場で、ブランドブックを印刷し、直接手に取ってもらいながらその意図をプレゼンしました。
狙い通り、ブランドブックを活用した会話が多く起こるようになり、結果として制作物の品質が統制され始めています。
例えば、制作の依頼や、制作物へのレビューのタイミングで、なぜこういうデザインが良いのか、を説明する上でエビデンスとして使えるようになっています。
また、外部パートナーの巻き込みも行いやすくなりました。新店舗の看板のデザインを地方の業者の方に頼むときにも、ブランドブックを見せながらイメージをすり合わせることができるようになっています。
さらに、ユーザー向けのCS対応を業務委託の方に任せる時にも、ブランドブックを渡してどういう人格で話して欲しいと伝えられるようになったりと、すでに多くの活用が生まれています。
LifeFitという実店舗型のtoCサービスの性質上、ブランドに投資することは非常に重要です。
ただ、ブランドは一夜にしてなりません。無数の制作物を自社で内製しながらブランドを築き上げる上で、ブランドブックをこのタイミングに制作したことは、この先も見据えて、非常に意味があることだったと思います。
一方で、FiTのデザインの範囲は、今回ブランドブックにまとめた範囲だけでは収まりません。例えばアプリデザインや、現状のマシンジムだけではない業態を模索することにも、今後さらに力をかけていきます。その時には改めてブランドを更新し、定義し、浸透することが必要です。
終わりのないブランドづくりを、今後も続けていきます。