しくみ製作所でPdMをしている穂積です。しくみ製作所は、お客様の新規事業の構想から伴走し、一気通貫でプロダクト作りを支援する会社です。

しくみ製作所のプロダクト作りでは、ユーザーの課題と価値を検証する「探索サイクル」と、リリースと改善を繰り返す「リーンサイクル」という大きく2つに分かれたフローを採用しています。

今回は、しくみ製作所のワークフローの前半を担う、顧客の価値と課題を検証する「探索サイクル」について、顧客の課題を迅速かつ手軽に検証するプロトタイピングの手法を紹介します。

開発に入る前のプロトタイプ検証の進め方の一例として、参考になれば幸いです。

しくみ製作所のプロダクト作りにおける「探索サイクル」では、徹底的にユーザー課題と価値検証を行い、ユーザーが求める価値を提供できないと判断した場合、「つくらない」という選択をとることもあります。そのくらい重要視しているプロセスです。

探索サイクルで重要なのは、

  • 納得できるまで、仮説の精度を上げていく

  • そのためになるべく多くの回数、ユーザーに仮説をぶつける

  • 具体のUIではなく、UX・ストーリーを検証する 

の3つ。

このサイクルをスムーズに回すために、方針転換を工数をかけずに行えて、簡単に改変できるプロトタイプをユーザーに見せ、リアルな声を集めて仮説検証を行っています。

実際の案件である太陽光発電の監視サービス「ぷらマネ」を例に、探索サイクルのプロセスを紹介していきます。

探索サイクルの主なステップは以下の通りです。

  1. 探索の準備:プロジェクト企画

  2. 探索の実行:改変を繰り返すプロトタイピング

プロジェクト企画書をアウトプット先に、まずはターゲットは誰なのか、ターゲットはどんな課題を抱えているのかを整理していきます。

今回は当初「太陽光発電所の資産管理を効率化する」方向性でサービスを作ろうとしていて、プロジェクトの主なターゲットは、発電所オーナーと発電所の維持管理事業者です。

お客様へのヒアリングや市場調査を経て、ユーザーが抱える課題のたたき台を作ります。

初期はターゲットを発電所オーナーに絞り、以下2つの課題を抱えていると仮定してスタートしました。

  • 発電量や売上をエクセルで管理しており管理コストが高い

  • 参照しているデータが発電量と売上のみで、発電がちゃんとできているのか判断が難しい

ここからが探索の実行です。課題と理想像を明記したうえで、機能のイメージを簡易なビジュアルに落とし、ストーリー形式でまとめて、ユーザーにぶつけます。

このプロトタイプを作る/見せる際には、

  • 最初に課題と理想像の仮説を見せ、合意をつくる

  • ステップで区切り、解決するまでのユーザーストーリーを検証できるようにする

  • ビジュアルはなるべく簡易にする

の3つを意識しています。

なお、すぐにこのプロトタイプを作れるように、パーツをコンポーネント化しています。

探索サイクルでは、ユーザーヒアリングを元にスピーディーに仮説を更新することが重要なので、プロトタイプを作る時間はあまりかけないようにしているのです。

(弊社で使っているコンポーネントライブラリを公開しているので、興味ある/真似したい!という方がいればこちらをご覧ください!)

1巡目のヒアリングが終わったら、学んだことをもとに課題と理想像をアップデートし、コンポーネントをもとに素早くユーザーストーリーを組み立てます。

そして再びプロトタイプを作っていきます。回数は指定していないですが、肌感覚ではだいたい3巡くらいして、探索サイクルを抜けることが多いです。

最終的に、ターゲットは発電所のオーナーから維持管理事業者に変わりました。

それに伴い、課題も理想像も大きく変わり、アラート通知を軸としたサービスとして開発に入ることを意思決定しました。

探索サイクルを終える明確な基準は設けてないですが、課題から理想像までのユーザーストーリーを追体験したうえで、仮説に納得感を持てるようになるまではサイクルを繰り返すことが多いです。

探索サイクルのあとは、実際の開発プロセスである「リーンサイクル」に入ります。

リーンサイクルは、探索サイクルのアウトプットである課題とストーリーの仮説をもとにプロダクトを作って、細かくリリースし、ユーザーの反応をもとに改善をし、またリリースを行うという流れです。

しくみ製作所は「プロダクトを作り切って納品」という形ではなく、このようにお客様と伴走しながら、プロダクトの改善を繰り返していきます。

実際の第一弾リリースの画面がこちらです。

当初企画書時点で想定していた形から、探索サイクルを経て、大きく磨かれたように思います。お客様からも「課題解決のストーリーがわかりやすいから、出てくるものが毎回腑に落ちる」というポジティブな反応が得られ、ユーザー課題の見極めに時間をかけてよかったと思いました。

探索サイクルでは、何回も仮説の再構築を繰り返します。自分たちで立てた仮説を実際のユーザーにぶつけることで、課題のズレを修正したりストーリーをより具体化することが大切だと考えています。

ユーザーとの対話がたくさんできるように、コンポーネント化など、プロトタイプ作成の効率性を求めています。この「探索サイクル」のおかげで、ちゃんとリリースされた後に使われるものが開発できているように思います。

これからもユーザーにとって価値のあるものを作っていきたいです。