2023年7月8日から9日にかけて開催された、モンスターストライクをはじめとするゲームの世界を全身(からだ)で感じる未体験ライブエンターテインメントショー『DREAMDAZE』
私達は、DREAMDAZEの開催にあたって、ロゴやキービジュアル ・各種アイテム・会場デザインなどのアートディレクション・デザインを担当しました。
元々はXFLAG PARK(通称フラパ)として毎年開催していたイベントでしたが、モンスターストライク(以下モンスト)が10周年を迎える節目をより盛り上げていきたいという狙いで新ブランドとして展開することになったのがDREAMDAZEです。
今まで多くの方に親しんでいただいていたイベントのブランドを刷新し、ロゴやキービジュアルなどのアートディレクションを担当するにあたって意識したことや工夫したことをまとめたいと思います。
先述の通り、DREAMDAZEは2016年から毎年開催してきたXFLAG PARKが、モンスト10周年を節目に生まれ変わったイベントです。
構想段階からイベントプロデューサーと議論しながら、コンセプトやビジュアルの方向性を固めていくことになるのですが、特に重要視した点は次のようなものです。
今まで数年にわたって親しまれてきたイベント名やロゴが変わると、ユーザーにとっては馴染みがなく、DREAMDAZE自体を認知してもらえない可能性があります。
そのため、DREAMDAZEとして新しくなったブランドをしっかりと認知してもらいながら、今までXFLAG PARKに親しんできた方々にとっても、よりワクワクと期待感をもっていただけるような工夫が必要になるだろうと考えました。
また、今までとはイベントの開催形式が大きく変わることもポイントの一つでした。 今までのXFLAG PARKでは会場内にいくつかのブースがあり、歩き回りながら楽しむようなスタイルでしたが、DREAMDAZEではアリーナ型の会場を貸し切り、ステージを取り囲むように設置された観覧席に座って楽しむようなスタイルとなりました。
体感型のエンタメイベントという特性も踏まえると、参加者がどのような体験でイベントを楽しむのかは大事な要素です。
そのため、ロゴやキービジュアルについても、アリーナ会場での没入感やワクワク感を想起できる必要性があると考えていました。
このような観点を踏まえ、DREAMDAZEではどのようなコンセプトでビジュアルを制作すべきか、イベントプロデューサーと議論しながら定めていきます。
最終的には「没入感」「立体感」「D」という3つをキーワードとして設定しました。
この3つを設定した意図は次のようなものです。
1. 没入感 DREAMDAZEのイベントコンセプトであった「没入感によって一瞬で過ぎ去るような2日間」に基づき、重要なワードとして留意しました。
2. 立体感 アリーナ型会場という立体的な空間での体験を、ビジュアルでも最大限演出するために設定しています。また、今までのXFLAFG PARKとは異なる、新しい見せ方を模索しました。
3. D DREAMDAZEの頭文字であるDを、新ブランドがより認知されやすくなるためのシンボリックな造形として提案しました。
次に、コンセプトを踏まえてDREAMDAZEのロゴを制作していきます。
まずはじめに、どのような方向性でロゴを制作するかを定めるため、ラフ案出しと、ポジショニングマップでの整理を行いました。
DREAMDAZEは2023年以降も開催していくので、丁寧にコンセプトとのつながりを考え、今後も継続的に使い、ユーザーからも認知されるロゴにすることも大事な視点でした。
エンタメ・アート・平面的・立体的など、コンセプトから具体化した観点で4象限をつくり、メンバーで議論を進めた結果、6案ほどのアイデアに絞り込みました。
絞り込んだ方向性から、さらに没入感を感じられるような造形・色味・動きを目指してアイデアを具体化していきます。
このタイミングで、コンセプト理解を深めるためにアリーナ型の会場で開催する舞台をメンバー皆で見に行ったのですが、想像以上に没入感があり、そこで得られたインスピレーションもロゴ制作に活かしていきました。
3人で手分けしながら、計18案ほどのロゴ案を制作し、イベントプロデューサーとも議論を行いながら、ブラッシュアップを重ねていきます。
この段階で、カラーコンセプトとして「没入、起動、進む」というアイデアをいただき、PCの起動ボタンや青信号などでも使われるグリーンを取り入れることにしました。
最終的には、Dの中央の空間を夢の世界への境界と見立て、音の振動と熱狂の振動がお互いに呼応しながら、大きく拡大していくストーリーを込めたこちらの案を採用しました。
ロゴと併せて、DREAMDAZEのキービジュアルも次のような視点を意識して制作していきました。
ロゴだけでは表現しきれない没入感を追求
エンタメらしいワクワク感の演出
新ブランドロゴの認知拡大のため、ロゴを主役にした構図
これらを意識しながらデザインを検討していった結果、ロゴを中心とした集中線で、DREAMDAZEの世界観に引き込むような方向性に向かって制作しました。
さらに没入感や立体感、引き込まれるようなワクワク感を演出できるよう、ブラッシュアップを行い、キービジュアルが完成しました。
DREAMDAZEの開催にあたっては、会場のデザインから、特設サイト、販促物のデザインなど多岐に渡るアイテムを制作します。
それらのアイテムに対して、DREAMDAZEのコンセプトが一貫して反映されるように監修することも私達の役割でした。
具体的には、ビジュアルガイドラインを用意したうえで、制作パートナーとなる方々と協力してデザインを進めていきます。
ここからは、いくつか具体例を紹介します。
DREAMDAZEの特設サイトでは、特にファーストビューで表示されるキービジュアルの動きにこだわって監修しました。
没入感というコンセプトを最大限演出できるよう、Dのロゴマークに「アソビにDIVE!」というタグラインが飛び込んでいく(DIVE)表現や、光線の差し込み方、音の振動を模したロゴマークの動きなど、細かな点も議論を重ねながら進行していただきました。
DREAM DAZE特設サイトのファーストビュー。 キービジュアルをもとにしたアニメーションで、より没入感を得られるように制作いただきました。
DREAMDAZE会場外の壁面には、高さ4m・横幅約28mの装飾を施しました。
タグラインの「アソビにDIVE!」を体感できるエントランスとして考え、「DREAMDAZEに来た!」というインパクトや、ここから始まるワクワク感を抱いていただけるよう内製しています。
Tシャツやキーホルダー、タオル、ぬいぐるみ、イラストなど、DREAMDAZEのコンセプトを反映させた、様々なグッズを社内外のクリエイターと協力して制作しています。
モンストに登場するキャラクターである「ちはや」「ヤクモ」の描き下ろしイラストでは、衣装をメインカラーであるグリーンを基調としたり、頭文字の「D」をポイントで取り入れたりと、担当イラストレーターの創意工夫を交えて制作いただき、ユーザーからも好評でした。
DREAMDAZEは日本と同日に、台湾・香港でも開催しました。
海外イベント担当の方が、キービジュアルを海外仕様にうまく展開してくださり、同じキービジュアルを使いつつも現地ならではのデザインにローカライズされています。
このような流れでアートディレクション・デザインを行い、その他数多くの関係者やユーザーの皆様のおかげでDREAMDAZEを開催しました。
会場と配信を含め最大約40万人の方に視聴いただくなかで、、「最高の時間をありがとう」「本当に楽しかった...!」「モンストしてて良かった...」など嬉しいお声や歓声を直に聞くことができました。
モンスト10周年の門出として、クリエイティブで盛り上げへの一端を担うことができたと感じています。
また、モンスト10周年を記念した「モンストキャラバン」という企画でも、ユーザーがDREAMDAZEのオリジナルTシャツを着て参加してくださっていたことも、嬉しい出来事でした。
これほど大規模なイベントのなかで、初期からデザイン職として関わり、プロデューサーの方々とアイデアを出し合いながら進められたことは、とてもありがたい経験でしたし、そのおかげで一貫したコンセプトをもとにしたクリエイティブへの挑戦ができました。このような進め方ができるのは、MIXIのデザイナーならではだと感じています。
DREAMDAZEは来年以降も続いていきます。これからも今まで以上の感動をデザイン面から届けられるよう取り組んでいきたいと思います。