2023年10月、LINEとヤフーの統合にともなって、新たなコーポレートロゴが設定されました。
このロゴが生まれた後も、LINEヤフーのデザインとして、ブランドが正しく運用され、浸透していくように試行錯誤を繰り返しています。
今回は、特にブランドの運用や浸透という観点において、新会社発足後にどのような取り組みを行なってきたのか、まとめてみます。
LINEヤフーにおけるブランドの管理・運用は、ブランドコミュニケーション本部が担っています。
ブランドコミュニケーション本部は、ブランド企画部とクリエイティブ推進部の2つに分かれ、社内外へのブランド管理や浸透を役割としています。
例えば、コーポレートロゴをはじめ、LINEヤフーのブランドが正しく扱われるように、社内向けのブランド運用ルールの整備を行っています。
相談内容に応じて、各事業部やサービス、法務や知財とも適宜連携を取りながら対応しています。
2023年4月、新会社となるLINEヤフーのコーポレートロゴの制作プロジェクトが始まります。
コーポレートロゴ制作については、こちらの記事に詳しいプロセスが残されています。
LINE、ヤフー、LINE Plusという3社から30名のデザイナーが参加し、協業する形で新たなロゴをつくりあげました。ブランドコミュニケーション本部のクリエイティブ推進部からもデザイナーが参加しています。
デザインコンセプトとして「Stay Closer, Go Further=両者の結束によって革新を生み出しながらユーザーに寄り添い続ける」が掲げられ、両者の特性を混ぜていくことが意識されています。
同じ思想のもと「LINE=グリーン」「ヤフー=レッド」という各社の強いブランドカラーを踏襲しつつ、新たなブランドカラーとして「ネイビー」が追加されました。異なる両者を調和し、新たな会社としての期待感を抱かせる効果を意図しています。
新たなコーポレートロゴが生まれたあとも、どのように会社全体に反映していくのか?という論点が生まれます。
具体的には以下のような問いに答えていく必要がありました。
どのような場合に新ロゴを反映するのか?
3色のブランドカラーをどう使い分ければ良いのか?
LINEとヤフーそれぞれのキャラクターの使い方・併用方法は?
各社異なるブランドの申請フローをどう統一するのか?
これらに対して、ブランドコミュニケーション本部と、ブランドデザインを専門に扱うVXD本部が、一緒に社内向けのブランド運用フローを整備していきました。
コーポレートロゴやカラーの扱い方について明記した「ブランドガイドライン」を制作しました。
作成にはVXD本部と、ブランドコミュニケーション本部が関わっています。実は、両者でどのようにガイドラインに落とし込むか話し合った時に、LINE側とヤフー側で、ガイドラインの項目は少しずつ違っていたことがわかりました。
そのため、それぞれの良い部分を取り合って、ガイドラインを作成していきました。
ブランドを正しく使用するための情報を集約した、社内向けのポータルサイトを運用しています。
具体的には、以下のようなことをこのポータルサイト上から行うことができます。
ブランド使用、ネーミング審査、キャラクター使用の申請
申請フローやガイドラインの確認
サービスロゴやアイコンの制作依頼
統合前からヤフーでおこなってきたブランド管理フローをベースとし、LINEヤフー全体に適応したブランド管理フローへと更新しました。
同時に、ブランドコミュニケーション本部としては、新しくなったブランドをいかに社内外に浸透させていくのか?という論点についても取り組んでいます。
一部の施策を紹介します。
LINEヤフーのめざす姿を伝えるために、ミッションとバリューを「Our Mission & Values」というブックに落とし込み、社内外に公開しています。
新会社となったタイミングで、LINEヤフーという組織が大事にしている想いを社内外へ伝えられるように、ブランドコミュニケーション本部もデザインに関わり、制作しました。
LINE、ヤフー、PayPayがもっとおトクになる会員サービス「LYPプレミアム」のロゴもブランドコミュニケーション本部で制作しています。
- 「LYPプレミアム」のサイトでロゴが浮かないこと
- 小さくても視認性が高く、かつ悪目立ちしないこと
- 「特別」な印象があること
- 3サービスを横断した、一体感やダイナミックさ
これらのポイントに合わせて、「特別」はマークの吹き出しで、3サービスの一体感は書体で表現しつつ、それぞれの個性を出すことなど、伝えたい点を念頭に置きながら、可能な限りデザインに組み込んで作り上げています。
さらに、それらの扱い方をガイドラインにも落とし込み、正しく運用されるように管理しています。
このような新会社発足後のブランド管理・浸透施策の結果として、以前のLINEやヤフーでのブランド運用よりもわかりやすく、コーポレートロゴやカラーを扱いやすくなったという声が社内からもあがっており、これまで以上にブランドが守られています。
ブランドを維持する組織としての観点でも、経営統合によってお互いの良さを活かし合えるようになりました。
例えば、コーポレートロゴやブランドガイドラインは、プロセスとしても両社の強みを活かして協働で制作することができました。また、ブランドポータルは全社員が共通認識を持てる分かりやすい仕組みになっています。
さらに、両者の重なる点を伝えていくことでブランドとしてもより強固になっているように感じています。CEOメッセージにもあるように、LINEも、ヤフーも、どちらも毎日の暮らしに寄り添う「ライフプラットフォーム」であるという共通するバックグラウンドを持っています。
そのような世界観を浸透させるため、ブランドコミュニケーション本部では、まずはブランドが意図しない使われ方をしないようにし、違和感を無くす。その上で世界観を届けていく、ということを意識しています。
LINEヤフーという存在がより社会に愛されるように、今後も正しくブランドを運用していきます。
本事例の公開と同時に、統合によって約500名のデザイナーが所属することとなったLINEヤフーが、どのように組織体制をつくり、事業成果を生んでいるのかをまとめた事例を公開しています。こちらもぜひご活用ください。