ビザスクのコミュニケーションデザインチームでは、2023年のリブランディングを機に、主に2021年に買収したColeman Research Group, Inc. (以下、Coleman社) を通じて展開している海外事業のセールスマーケティングデザインと、HR関連のデザインを通した、ブランディング支援を開始しました。
一番難しかったのは「デザイナーとして信頼を掴むこと」です。これは海外だけでなく国内でデザイン組織を立ち上げる時にも起こることだと思いますが、支援開始当初はお互いを認識しておらず、「このデザイナーは誰だろう?」と、信頼関係を構築するところから始まりました。
デザイナーへの依頼フローが整っていないところから、どのように信頼を掴むコミュニケーションを行い、依頼増加に至ったか。これまでの試行錯誤をまとめます。
ビザスクでは2021年に、エキスパートネットワークサービス事業(各種調査・相談のための知見者インタビューをマッチングするサービス)を米国を中心にグローバルに展開しているColeman社を買収しました。
買収時、Coleman社内には、強いマーケティングチーム及びデザインチームが存在していませんでした。
一方、営業支援ツールの制作や、HR関連のPRに関わる制作、2023年1月にはビザスク社とColeman社のシンボルマークを統一するロゴリニューアル等のリブランディングも行われたため、ロゴを既存のクリエイティブに反映するなど、多数のデザインを制作し、共有する必要性がありました。
そこで、本社/CEOに属するコミュニケーションデザインチームとして、国内事業、海外事業を合わせたグローバルな目線を持って、海外事業(海外においては、VISASQ/COLEMANというサービスブランドに統一もされました)におけるデザイン支援を開始することとなります。
ただ、ブランディング支援を開始してみると、そもそも成果を出す以前に、「デザインを依頼する文化」が成り立っていないことがわかります。
要因としては、大きく二つ。
一つは冒頭に記述した通り、組織内にインハウスのデザイナーを設けておらず社内のデザイナーに依頼する機会がなかったこと。
もう一つはOpenなコミュニケーションを取るビザスクの文化と(ビザスクは他部署やPJTメンバー以外のSlackチャンネルにおいても基本的に全社員に開示しています。)Coleman社のClosedな社内文化の違いがありました。Coleman社では当初Slackは使われておらず、メールによる個人間でのコミュニケーションが主流でした。
なので、「本社からデザイナーが入るので、気軽に依頼してくださいね。」と伝えても、そのままでは依頼がくることはありません。Coleman社のスタッフからすると、初めてコミュニケーションを取る本社のデザイナー+コミュニケーション文化の違い+そもそもデザインの依頼に不慣れ、であると気軽に依頼ができない条件が揃っている状況でした。
そのような状況を踏まえ、制作から成果を出していくためにも、まずは信頼してもらうところから変えていく必要がありました。
まずはコミュニケーションデザインチームを信頼してもらうことから始めます。さらに、信頼を得た後に、ワークフローの輸入を行い、土台を整えていきました。
今ではようやく、制作の質を高め事業成果につなげていくようなコミュニケーションが取れるようになってきています。
1. 信頼をつかむ → 2. ワークフローを輸入する → 3. 質への転換
ここからは具体的にステップごとに行ってきたことをまとめます。
まずは、「急に来た人たち」ではなく「頼りたい仲間」だと思ってもらえるように、信頼をつかむところから始めていきます。
リブランディング後から暫くの期間はテキストコミュニケーションで関係性を掴む取り組みを行ってきましたが、より深く関係性を切り拓くきっかけとなったのは、元々はビザスク国内事業でマーケティング業務に携わっていたYutaさんのCEO室加入と、現地訪問でした。
現地を訪れ、2ヶ月間、現地のメンバーと直接コミュニケーションを取りながら働き、デザインにまつわる課題を回収してくれました。
そこで出てきたデザインタスクの中で、「すぐにできること」「ニーズが高いこと」を優先して、スピーディーな制作によって一つ一つ潰していきます。
特に初期は、難易度の高いことではなく、やれば確実に結果が出そうなニーズが高まっていることや、すぐにできることを優先することで「お!この人たちにお願いすれば、すぐにクオリティの高いものを出してくれそうだぞ」と現地のメンバーに思ってもらうことを重視していました。
例えば「とある施策のペライチの資料のテンプレをつくって欲しい」という依頼をセールスメンバーからもらい、それをすぐにアウトプットしたり。
また、ブランドの浸透のために、リニューアルされた海外事業のロゴ(VISASQ/COLEMAN)を必ず適応させていくようにコミュニケーションしたりと、多岐にわたるアウトプットを出していきます。
ここで意識したのは「時差を感じさせないこと」です。依頼されたら即レスで対応する。すぐにアウトプットする。そうするとどんどん反応が変わっていきます。
例えば、最初はYutaさんに直接相談が起こったあとに、やり取りを引き継ぎスピーディーなコミュニケーションを意識していくことで、以降は私に相談してもらえるようになったりする、というようなイメージです。「あ、この人に頼んだらいいんだな」という印象を持ってもらえるようにコミュニケーションを工夫します。
信頼を掴めてくると、向こうとしてもデザインを依頼したいニーズが高まっていきます。
このステップで行ったのは、国内から良い仕組みをどんどん輸入していき、ワークフローを整えることでした。例えば輸入した仕組みをいくつか紹介します。
ビザスクでは国内向けにも「#rq-design」という制作物をSlackで依頼できるチャンネルを用意しています。
これを海外向けに転用して「#g-rq-design」という名前で、海外のマーケ / HRデザインの依頼を受けるSlackチャンネルの運用を始めました。
ただ、実際に運用してみると、例えば「もともと依頼文化がないのでヒアリング項目はしっかり置いておかないと機能しづらい」「依頼チャンネルの使い方がわからずDMで依頼してしまう人がいる」などの問題が発生してしまいます。
そこで、依頼時点で要望を回収できるように、ヒアリング項目をより丁寧にフォームに組み込むように改善したり。
フローをまだ理解できていない人から、誤ってDMで相談をもらった時に「こういう風にフォームを使ってください」と都度伝えるようにしたり、と細かな浸透を繰り返していきました。
結果的に、今では基本的に「#g-rq-design」の依頼フォームから制作依頼がくるように改善されており「コミュニケーションデザインチームにデザインを依頼する文化」がColeman社の中で醸成され始めています。
より関わりを深めていくために、マーケチーム、HRチームの2つで、国内・海外合同メンバーでの定例mtgを置くようにしています。
当初はmtgの場で依頼を回収するようなことも行っていましたが、今では進捗の整理や、制作へのレビューなどより具体的な内容のアジェンダが中心となってきています。
このような定期的なコミュニケーションの機会を置くことで、さらに信頼が生まれ、次のステップである「質への転換」のための具体的な会話が行いやすくなっています。
ここまでの取り組みによって、海外メンバーから信頼が起こるようになり、依頼数が明確に増えてきています。
前述したように、ようやく信頼をつかみ、ワークフローを整えるフェーズが終わってきたので、ここからは質への転換を目指していきます。
例えば、定例mtgの中でも、「つくるべきもの / つくらなくても良いもの」を議論したり、要件が不明確なものを追加ヒアリングを行うなど、どんどん中に入り込んでいっています。
ちなみに、海外でも柔軟にコミュニケーションができるよう、ビザスクコミュニケーションデザインチームでは、現地とコミュニケーションが取れるデザイナーとして、英語が堪能なセバスさんが採用されています。
日本国内だとしても、海外だとしても、構造としては同じで、まずは信頼を掴むことが大事です。
いきなり信頼が生まれることはありません。自分たちから課題を見つけ、早く求められるものをつくる。相手の行動に合わせたワークフローを整えていく。
そうしていくと、目線が合ってきて、事業成果に対して質を高めていく議論ができるようになります。
ビザスクの海外マーケティングは、やっとそのフェーズになってきました。土台を整えたうえで、チャレンジングな制作にどんどん取り組んでいきたいと思います。