ログラスでは、デザイナー以外がデザインプロセスに参加できるようにするための体制づくりに取り組んでいます。

その1つとして、セールスやエンジニアメンバーが、ログラスのブランドイメージを維持したお客さま向け資料やブログ記事サムネイルをつくれるようにするために「デザイン講座」と「なんでも相談会 (デザインレビュー)」を開催しました。

ログラスでの、デザイナー以外のメンバーがデザインに関われるようにするための「デザイン講座」と「なんでも相談会」

結果として、社内の大半が自分でサムネイル制作を行うようになったりと、リソースが不足しがちな初期のデザイン組織において、全社を巻き込んでデザインを行える土壌が少しずつできてきました。

今回、デザイナー以外のメンバーもデザインのプロセスに関われるようなしくみをつくった理由は以下の2つです。

  • 外向けの資料などの品質が揃っていなかった

  • デザイナーがすべての制作物に関わることが難しい

1つは、お客さまとのタッチポイントにおける制作物 (ex. 営業資料やサポート資料) の品質が揃っていなかったことです。

お客さまとのタッチポイントにおける制作物 (ex. 営業資料やサポート資料) の品質が揃っていなかった

ログラスでは、「信頼」「シンプル」「上質」「高級感」のような印象を持っていただき、ブレないブランドをつくることが事業成長のためにも必要です。

しかし、メンバーとしてはお客さまに向けたサポートのスピードも重視していたため、例えば営業資料やサポート資料、ブログ記事など、「ログラスらしさ」を反映できていない品質のアウトプットを社外に公開してしまうことも時たま起こっていました。

さらに、このような状況を問題だと捉えているメンバーも少なかったため、内部のデザイナーに対して相談が起こることも少なく、デザイナーが関与できていないことも多くありました。

もう一つの問題は、デザイン組織としてリソースが不足していたことです。

すべての制作物をデザイナーが担当できれば上記の問題も防げるはずでしたが、マーケティング施策やプロダクト開発と比べたときに、優先度を下げざるを得ない領域(営業資料やサポート資料など)になかなかデザイナーのリソースを割けずにいました。

そのため、デザイナー以外のメンバーにもブランドを守る役割を担ってもらう必要があると考えました。

とはいえ、いきなりデザイナー以外のメンバーに品質が高いアウトプットを求めることはせず、デザインの重要性の意識付けから順序立てて施策を打つこととします。

  1. 全メンバー向け:デザインの品質を意識できるようにする (頭や目を育てる)

  2. 希望者向け:品質高いアウトプットが出せるようにする (手を育てる)

取り組みの流れ
1. 全メンバー向け:デザインの品質を意識できるようにする
2. 希望者向け:品質高いアウトプットが出せるようにする

最初に、セールス・マーケティング・CSなどビジネスサイドのメンバーを対象として、全2回の「デザイン講座」を開催しました。

セールス・マーケティング・CSなどビジネスサイドのメンバーを対象とした、全2回の「デザイン講座」
デザイン講座の全体像

デザイン講座では、「頭と目を育てる」ことを意図しています。

そもそも、いきなり手を動かして全員が制作に関わるということを狙っているわけではなく

  • ログラスにとってなぜデザインが必要なのか

  • ログラスらしいデザインとは何なのか?

という基準を浸透させることが目的でした。そのため、資料作りに携わることの多いセールスメンバー全員とその他部署の希望者を対象としています。

デザイン講座の目的は「頭と目を育てる」こと

例えば、この講座を経て「このデザインで社外に公開して良いのかな?」と気づけるようになり、最低限のトンマナを守り、クオリティが気になればデザイナーに対して相談が起こるようになれば良いと考えていました。

デザイン講座では、まず「ログラスにとってのデザインの必要性」からインプットしています。

ログラスにおいて、デザインに注力すべきである理由を、ビジネスサイドのメンバーにも受け入れてもらえるように言い換えてまとめています。

目的とゴールを伝えた資料
ブランドイメージが揃えられるようになることで、受注率が高まることを示す。また、あくまで社外向けのアウトプットに限った話と強調

また、必要性だけ聞いてもイメージが湧かず、意識が変わりづらいと考えて、Before/Afterの例を出したり、ライブデザインで資料を添削したりといった内容を講座に組み込みました。

デザイン講座の内容例「Before/Afterで良し悪しのイメージを伝える」
デザインの4原則を、セールスメンバーにも伝わりやすいような言い方で説明している

結果として「意義は分かったけど、どうやって実践していけば良いんだろう」という声があがり、頭や目を育てるという目的は十分達成されていそうなことを観測することができました。

次に、希望メンバーに向けて、制作した資料やバナーのレビューを行う「なんでも相談会」という場を用意しました。

「なんでも相談会」では、週2日、30分ずつの定期開催で、制作物を持ってきてもらって、直接対面レビューを行っていました。

希望者に対して、制作物へのレビューを行う場「なんでも相談会」

「なんでも相談会」の狙いは、高品質なアウトプットを出せるように、「手を育てる」ことです。

なんでも相談会の目的は「手を育てる」こと

頭や目を育てるためのデザイン講座を経て、自分でも「ログラスらしい制作物」をつくれるようになりたいというメンバーが生まれてきていました。

このような方に対して、スキルを育てる機会をおくことで、当初課題としていたリソース不足の課題を解決していこうとしました。

「なんでも相談会」では、実際に制作したアウトプットを持ち込んでもらい、その場で赤入れしながら一緒にデザインをし直すように進めています。

なんでも相談会での、赤入れの様子

「デザイン講座」や「なんでも相談会」を経て、自分で手を動かすメンバーが増えたことはもちろん、制作物に対してブラッシュアップの観点でデザイナーへの相談が起こるようにもなりました。

デザイン講座やなんでも相談会に参加したメンバーが、率先してバナーの制作を行うようになっている

セールス資料についても、クオリティ意識の高いメンバー中心にセールスチーム内でレビューし合うような動きが起こったりと、デザイナーを介さずにトンマナが守られたアウトプットが出揃うようになってきました。

また、Canvaという誰でも簡単にグラフィックデザインができるツールを利用し、ブランドキットを用意した上で解放したことで、スライド資料にわかりやすい挿絵を仕込むメンバーが生まれたり、ほとんどのメンバーが自分でブログ記事のサムネイルを制作するようになったりと、自由にデザインする組織になっていきました。

一方で、多くのメンバーが制作に関わるからこそ、品質にばらつきが生じてきていることも事実で、スライド資料やバナーのテンプレート化などにも取り組んでいます。

品質維持&制作スピード向上のためにnoteサムネイルのテンプレートを用意した

デザイナーのリソース不足の解消だけでなく、セールス・エンジニア本来の業務にも影響が出ないように、さらにはスピードを加速させるために、次はここを整えていくことも重要だと考えています。

ログラスのデザイン組織では、Design Maturity Levelsと呼ばれる、デザイン組織としての成熟度を表す指標を採用しています。

引用: Design Maturity / デザイン組織成熟度とデザイン思考 (Community)
デザイン組織としての成熟度を表す指標として「Design Maturity Levels」を採用

ログラスはLv3へと成熟するフェーズだと捉えているため、「デザインをどのように配布するのか?」という問いに対して取り組んでいる

現在のログラスは、Design Maturity Levelsの “Lv3” へと成熟するフェーズだと捉えています。

Lv3における重要なテーマの一つとして「デザインをどのように配布するのか?」という問いがあります。つまり、デザイナーだけでなく、全社でデザインに関われるようにしていくことが、デザイン組織としても必要とされているフェーズということです。

2023年1月、私も「全社デザイナーを名乗ろう」というOKRを掲げ、ここに向けて動いていくこととしていました。

今回の取り組みはその一環として行ったことでした。結果として、お客さまとのタッチポイントにおける品質の基準を揃え、かつデザイナー以外も手を動かしていく行動が増え始めています。

デザイン組織としてのさらなる成熟を目指し、どのタッチポイントにおいても「ログラスらしさ」を感じてもらえるよう、引き続きブランドづくり・組織づくりに取り組んでいきます。

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