2026年1月から3月までの3ヶ月で、デザイナー兼チームリーダーとして、新サービス『ぽんとね!』を立ち上げました。
ぽんとね!の前身となる『survox』というサービスのリデザインが意思決定されてから、短期間で新サービス開発、結婚式場への提供開始までを進めています。
私はデザイナーでありつつ、新プロダクト開発をリードする立場として、このような不確実性の高いプロジェクトを前に進めるために「プロトタイピングドリブンな進め方」を意識しました。その、ぽんとね!の新規事業開発におけるプロトタイプの扱い方についてまとめます。
ぽんとね!のリリースに至った背景には、前身である『survox』というプロダクトのリデザインが経営的に意思決定されたことが影響しています。
立ち上げ時点のsurvoxは、「結婚式場に自分たちの本音を共有しづらい」というカップル (ユーザー) の声を受けて、結婚式場がカップルのインサイト情報を見えるようにする価値に絞って立ち上げられました。
一方で、事業運営の中でsurvoxと結婚式場との関係が深くなるにつれて新規の期待をもらい、それに合わせて機能がだんだん追加されていきました。(ex. 式場の接客体験を改善するためのAI機能)
結果として、survoxはいくつもの異なる価値が搭載された大規模なプロダクトになってしまっていました。
このまま価値が絞られなければ、サービスとしてブレてしまうし、内部の開発コストもどんどん大きくなってしまいます。
そこで改めて「survoxとして提供する価値を絞りましょう」と、経営からリデザインの意思決定が起こりました。
survoxのデザイナーとして活動してきた私は、このリデザインプロジェクトのチームリーダーにアサインされました。私がこだわったのは、あらゆる場面で、可視化されたアウトプットで意思決定を促すことです。
多岐にわたる機能をつくってきたsurvoxでリデザインを進めるためには、いくつもの不確実さを越えていく必要がありました。
私は各判断ポイントで、議論を前に進めるプロトタイプを常に用意し、それによって3ヶ月という短期間の新規事業立ち上げをリードしていきました。
まずはじめに「survoxをリデザインするとして、具体的にどのような方向に事業をつくり変えていくのか」を経営と合意する必要がありました。
この合意のために、事業部長がテキストでリデザインコンセプトを整理して代表に提示していたものの、はじめはうまく合意できていませんでした。
ここで意思決定をつくりやすくするために、コンセプトを可視化してみた理想的なプロトタイプを用意して、事業部長と代表に提案してみました。
ここでは、コンセプトの良し悪しを判断するために、ユーザーの行動を想像しやすくすることを意識しています。
コンセプト文言と合わせて「具体的には、このような形で実現できると思っています」とGeminiでつくった動くプロトタイプを見せて、空中戦になりそうなところをグッと引き戻して議論することができるようになりました。
結果として、「当初のsurvoxの原点に立ち返り、ユーザーの本音に注力する体験は良さそう」と代表ともリデザインの方向性に合意でき、プロジェクトが動き出します。
リデザインの方向が決まったものの、まだ具体的にどんな価値を提供するのかはチームですり合わせできていませんでした。
私は代表との会話を経て、デザイナー兼チームリーダーにアサインされ、チームメンバーに向けて「カップル向け・クライアント向けの価値」を文言で整理してみていましたが、まだまだ提供価値をすり合わせきれていないように感じていました。
そこで、チームで提供価値をさらにすり合わせるために、プロダクト設計を始める前から、クライアント向けの媒体資料をまとめ始めました。
もともとsurvoxの媒体資料は刷新する予定があったのですが、このタイミングで提供価値を再整理するためにもリデザインに合わせて媒体資料を変えるところから着手し始めたのが背景です。
結果的に、プロダクトとして何をつくるかだけを議論するのではなくて、「お客様にとって価値は何で、どう伝えれば価値が伝わるか」を営業と話しながら先に媒体資料に落とし込んでいくことで、何がコアバリューなのかがだんだん見えてきました。
結果としてプロダクトのコアな価値やポジションが、お客さまに伝わりやすい言葉や表現で整理できました。
ここで顧客の期待値(価値/ポジショニング)を考えておいたことで、プロダクトの設計と、クライアントへの提供価値への理解にギャップが起こらないように認識統一しながら進めることができたと思います。
新サービスとして切り出すことが決まったものの、まだ「既存のsurvoxの機能はどうするのか」「どこまで新しくシステムをつくり直すのか」といったプロダクト設計方針は固まっていませんでした。
チームで開発の方向性を固めてすぐに実装に入っていくために、開発チームで合宿を開催しています。
この合宿では、膨大な論点の意思決定をスムーズに行えるように、チームのデザイナーにあり得るソリューションのパターンを事前にプロトタイピングしておいてもらいました。
この具体的な解決イメージとセットで論点を見ていくことで、「こういう機能であれば、既存のsurvoxから切り離す方がやはり良さそうだね」など、決めづらい論点に対しても会話がスムーズに進められました。
最終的に、今回はsurvoxのデータやシステムを一部引き継ぎつつも、完全に新しくシステムも設計し直して、システム面としても新規サービスとして開発を進めることが決められました。
こうして、事業としてのリリースコミュニケーション方針や、設計指針が固まってきたので、一気にデザインと実装に進んでいきました。
この段階でも、論点は必ず可視化したアウトプットをすぐに用意して潰していくように心がけています。
例えば、新サービスの名称やロゴについても、媒体資料を固めていく中で見えてきたコンセプトや事業ポジショニングを踏まえて数十のパターンを用意して検討を進めました。
また、実際にリリースに至るタイミングで、これまでsurvoxを活用いただいていたクライアントの方々にうまくコミュニケーションを取れるように、過去にクライアントからいただいていた声を確認しながら、媒体資料の設計を調整していきました。
このようなプロセスで、無事に2026年3月25日にぽんとね!がリリースされました。
現在は、これまでsurvoxを活用いただいていた各式場の方々に順次ご案内をしているタイミングです。
式場の方からも無事に期待をいただくことができており、これからコミュニケーションを重ねつつプロダクトをブラッシュアップしていければと思っています。
私は今回初めて、新プロダクト開発をリードする立場として動くことになりました。
デザイナーである私がどうチームに貢献できるのかを考えた結果、行き着いたのが今回まとめたような「とにかく可視化し続けて、不確実性を低くする」というプロトタイピングドリブンな方法でした。
ウエディングパークではカップルや結婚式場に向けて、新規事業を多くつくっています。そのためウエディングパークに所属するデザイナーには、価値検証をリードできる力が求められています。
ウエディングパークの他のデザイナーは、徹底してインサイトを回収して価値検証を進めていたり、チームでプロダクトの体験への認識が揃うようにディレクションしたりと、新規性が高いプロジェクトをさまざまな強みでリードしています。 私もそのような力をもっと身につけていきたいなと思いますし、逆に今回のようにプロトタイプを中心として事業を前に進めていくようなアプローチをもっとウエディングパークに広められると良いなと思っています。どんなプロジェクトでもデザインから付加価値の高い体験を届けられるように、ウエディングパークのデザイナー組織として専門性を磨いていきます。