MIXIデザイン本部では、2021年5月頃からB.LEAGUEのプロバスケットボールチームである「千葉ジェッツふなばし (以下千葉ジェッツ)」の公式YouTubeチャンネルの運営(以下ジェッツチャンネル)に携わっています。 多くのメンバーがMIXIのクリエイティブチームに所属し、モンスト公式チャンネルといった自社サービスのYouTube運営の経験者です。その知見を活かしてジェッツチャンネル運営に関わる様々な取り組みを行ってきました。

千葉ジェッツ公式YouTubeジェッツチャンネル
https://www.youtube.com/@chibajets

その活動は、B.LEAGUEのシーズンに合わせて以下のような流れで進みます。

※大前提として、選手、チームスタッフ、広報チームなど、様々な部署のご協力があって成立しているYouTube運営です。この場をお借りしてお礼申し上げます。

オフシーズン(6月〜9月)

インフルエンサーとのコラボ企画の実施や、前シーズンのチャンネル方針の振り返りと、来シーズンのチャンネルKPIの設定。さらには、運営チームの編成や、動画に関わるクリエイティブ(デザイン)のリニューアルを行います。

オンシーズン(10月〜5月)

日々の試合ハイライト制作に加えて、新企画の提案から撮影・編集・公開。さらには、パートナー企業様の案件や会場ビジョンで公開する特別ムービー、電車内広告の制作など、大小様々なエンゲージメントに関わるコンテンツを制作します。

MIXIチームがチャンネル運営に参画し、試行錯誤を重ねた結果、チャンネル登録者数は2021年5月にMIXIチームがジョインしてから6万人以上増加し、まもなく12万人を突破見込み(2023年10月17日時点で11.7万人)。 また、シーズン中に活躍した選手・クラブなどの功績をたたえる表彰式「B.LEAGUE AWARD SHOW 2022-23」において、ソーシャルメディア最優秀クラブを受賞するなど、少しずつ成果と言える変化が出てきています。(千葉ジェッツ公式TikTokのフォロワーも大きく増加したことがAWARD受賞に繋がっています ※TikTokは千葉ジェッツ広報チームが運営)

MIXIチームがジェッツチャンネルの運営に関わりはじめてから現在までの成果の例。

この記事では、ジェッツチャンネルの運営方法をはじめ、私達が千葉ジェッツのファン獲得のため日々取り組んできたこと・意識してきたことをまとめてみました。

また、事業会社に属するインハウスの動画クリエイター集団として、YouTubeチャンネル運営に携わる「おもしろさ」についてもお伝えできればと思います。

ジェッツチャンネルは、千葉ジェッツの公式YouTubeチャンネルです。 千葉ジェッツというチームの魅力を広めるべく、試合のハイライトや選手ごとのプレー集、レクチャー動画など、いわゆるバスケットを見たい人たちに刺さるコンテンツはもちろん、選手自身にも興味を持ってもらえるよう、バラエティ系の動画やインフルエンサーとのコラボ動画など様々なコンテンツを公開しています。

千葉ジェッツは、『千葉県をバスケットボール王国にする』というビジョンのもと、地域に根差し、バスケットボールの普及や、選手育成の強化、そしてブースターの皆さまや競技者たちに憧れを持ってもらえるような強く魅力的なトップチームを目指しています。

このビジョンを達成するためには、熱狂的なファンから今までバスケットボールに親しんでこなかった方まで、幅広い層にバスケットボールは楽しく、魅力的なスポーツだと感じてもらう必要があります。

そこで、バスケットボールや千葉ジェッツの魅力を発信し、幅広い方々にファンになってもらうためのタッチポイントとして、ジェッツチャンネルの運営に取り組んでいます。

千葉ジェッツ公式YouTubeジェッツチャンネルの位置付けについて。

冒頭で触れた通り、ジェッツチャンネルには、元々MIXIのメンバーは関わっていませんでした。

しかし、MIXIの田村征也さんが千葉ジェッツふなばしの代表取締役社長に就任。 同時に、千葉ジェッツでYouTube運営を担当していた方が、育休に入ることがきっかけとなり、現運営メンバーが所属するMIXIデザイン本部動画クリエイティブ室にチャンネル運営の依頼があり、本格的に運営に携わることになります。

MIXIと千葉ジェッツの関係性 : 千葉ジェッツふなばしは、MIXIと2017年からパートナーシップ契約を結び、2019年には戦略的資本業務提携及び株式取得を行ったことで正式にMIXIグループに入りました。

動画クリエイティブ室には、今までにモンスト公式チャンネルなど自社サービスのYouTube運営を経験しているメンバーや、映像制作に強みを持つメンバーが所属しているため、そのノウハウを活かしてジェッツチャンネルを伸ばしてほしいという期待もあっての依頼でした。

一方、運営を引き継いだ当初は順風満帆な出だしとは言えず、様々な壁にぶつかりました。

例えば、練習や試合の合間を縫っての撮影時間の確保や、選手のパーソナリティを踏まえた企画の方向性づくりなど、通常の動画制作とは勝手が異なる作業が多く発生することもありました。また、ノウハウがあると言ってもスポーツチームのYouTube運営は初挑戦であり、関係各所にご迷惑をかけてしまったこともあります。

加えて、選手や他の関係者から見ても、いきなりYouTube運営の専門チームが来たとなっても、土台となる関係値がなかったり、動画にコミットする意義を共有できていないと、関わりづらいと感じるのは当然のことだろうと思います。

そのため、何度も船橋市に足を運び、顔を合わせながら一緒に企画づくりやロケをしたり、相手の負担を減らせるような仕事の進め方を徹底していくなかで、良好な関係値を作れるよう努めました。

その結果、徐々に関係性も深まっていき、今ではただの動画制作チームではなく、一緒に成長を喜べる間柄になったと思います。

選手やメンバーと打ち合わせをしている時の風景。

また、運営チームの体制についても、改めて整理を行ってきました。

YouTubeの運営を行うなかでは、同時に複数の案件が動きます。また、確認する項目も企画書から、台本、サムネイル、タイトル、動画のクオリティなど多岐に渡るため、誰に何を確認すると次に進めるかが曖昧になったり、スピード感も落ちやすくなってしまいます。

そのため、ひとつひとつの案件にスピード感を持ち、旬を逃さずクオリティの高い動画を出し続けられるように、担当ごとの裁量を明確にしていきました。

チャンネル運営の体制を再整理した時の図解。

結果として、人数は変わらずに今までの1.5倍の動画を配信できるようになり、YouTube運営チームの体制についてもようやく形が整ってきた印象があります。(まだまだ改善はしますが)

その1つがコラボショート動画への注力です。

2021年までは、一般的な横長動画での投稿がメインとなっていましたが、より「新規ファンの獲得」を強めることを目的としてショート動画への注力を企画立案しました。

一方、選手を起用した横長動画は既存の千葉ジェッツのブースターからの需要が高かったため、横長動画は「エンゲージを高めるもの」として位置づけています。

まず着手したのが、バスケと親和性のある人気インフルエンサーの中でも、特に「ショートに特化している新進気鋭のインフルエンサー」のキャスティングです。

今までに公開したコラボショート動画の例。
https://www.youtube.com/@chibajets/shorts

2022-23シーズンでは、「スクワッド」「えんどれす」「すみぽん」「ウンパルンパ」(敬称略)と合計34本のコラボショートを公開し、約1.6万人の新規ファンを獲得することができました。「なかやまきんに君」さんはネットとの相性やご縁あってコラボ実施になった特例ではありますが、ショート動画は一番伸びました。

2022-23シーズン (2022年7月1日〜2023年6月31日)でのデータ。
コラボショートと、それ以外の動画では登録者増加数や、平均再生数に大きな差が生まれていました。

そして、私達の狙いはこのような数値面の増加だけでなく、もう少し先にもありました。それは、彼ら彼女らのようなトップクリエイター達から直々に「ショート動画に対するノウハウ」を学ばせてもらうことです。 ショート動画は、最初の数秒でほとんど視聴離脱される厳しい世界です。どのように工夫して視聴離脱を防ぎ、視聴回数を上げ、新規ファンの獲得に結びつけるか。トップクリエイターと一緒になって制作することで、ショート動画に対する確かな手応えを実感できました。 また、そのノウハウはチーム内でも共有し、コラボ以外のショート動画の時にも制作ノウハウを取り入れていくことで、以前よりクオリティの高いショート動画制作ができるようになり、継続的に新規ファンの獲得に繋がっていきました。

さらに、日頃から企画や動画、サムネイルなどの品質を高められるような取り組みも行っています。

例えば、過去に制作して配信が完了しているサムネイルを皆でリデザインし、忖度なくフィードバックを行うワークショップ「サムネ道場」を実施したりしています。

グラフィックとしての品質や、見た時のインパクト、内容を適切に伝えるアイデアなど様々な観点からフィードバックし、それで得た知見を次の制作物へ落とし込むサイクルを作りました。実際にクリック率も高まっており、意味があった取り組みだと感じています。

「サムネ道場」でのフィードバック例。

千葉ジェッツの公式YouTube運営に携わり、関わるメンバー全員でこのような試行錯誤を重ねていった結果、少しずつ成果をあげられるようになってきました。 YouTubeを見てくださっている方からは、「YouTubeショートから千葉ジェッツが大好きになって、いつも楽しみにしています!」「YouTubeをみて〇〇選手が好きになった!」といった声もいただいています。

YouTubeチャンネル視聴者からの声。

ジェッツチャンネルをきっかけに試合へ足を運んでくれる人を一人でも多く増やすことを目標に、引き続き、魅力あるコンテンツをお届けしていきます!

YouTube運営に携わっていると、登録者数や視聴回数が可視化されるため、定量的な側面に目が向きがちです。もちろん私達もKPIを設定し、定量的な指標を追いかける仕組みはしっかりと作っています。

ただ、数字も重要ですが、一番大切なのは、千葉ジェッツという魅力的なバスケットボールチームを「知ってもらう、見てもらう、好きになってもらう」ことです。効率重視や、適当に動画を作っていては絶対に視聴者やブースターに見透かされてしまいます。選手やチームにリスペクトを持ちながら、クオリティに関しては妥協せずにチームと交渉していく。そういう日々の「細かい調整」と「楽な方へ絶対にいかない」という姿勢が大事だと考えます。そうなんです・・「熱量」がないと、しんどくて続けられません。(笑)

時には自分自身が一番のブースターとして「今見たいもの」をシーズンの時期に合わせて企画。さらには「バスケに親和性のあるクリエイターや有名人とのコラボ」「新規獲得のためのショート動画」といった施策を軸に認知を拡大させ続け、運用チーム全員が熱量をもって粘り強く試行錯誤を重ねていくことでしか結果は得られないと感じています。

また、結果が出てくると、選手や関係者の熱量も徐々に高まり、ファンの方からの反響も大きくなっていきます。このように、千葉ジェッツを知ってくださる方が増えたり、盛り上げていこうという輪が広がっていく感覚を得られるのは、インハウスでYouTube運営に携わるからこその面白みだと思います。

これからもバスケットボールや千葉ジェッツの魅力が伝わり、より大きなムーブメントとなっていけるよう取り組んでいきますので、今後にご期待ください。

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