株式会社diniiの村上です。飲食店の店舗オペレーションからCRMまで一気通貫で繋ぐモバイルオーダーPOS「ダイニー」のプロダクトマネージャーを担当しています。
忙しい飲食店を支えるダイニーは、様々なオペレーションの飲食店の方に使っていただいており、日々多くの要望等をいただきます。今回はそれらの「顧客要望」をプロダクトに活かす、Notionを使った仕組みについてお話したいと思います。
顧客からよく要望をいただくけれど「顧客要望をうまく管理・活用できていない」などの課題感がある方に、少しでも参考になれば幸いです。
私たちは、飲食店のリアルな現場状況を理解し、真の課題に対して、最適解を提供していきたいと考えているため、顧客の声を聞けることは大変ありがたいです。
また、プロダクトへの要望をいただけるのは、プロダクトやdiniiという会社への高い期待値の現れでもあるので、しっかりその期待に応えていきたいと思っています。
前述の通り、ダイニーは多くの飲食店様にご利用いただいていて、店舗によって現場の状況や、店舗オペレーションなどは様々な中、月に約100件の要望をいただいており、それらをCSやセールスのメンバーがSlackに投稿していました。
これまでの方法では、顧客の声をストックすることはできていましたが、うまくプロダクト改善に活用しきれていませんでした。Slackの投稿を別ツールを使って一箇所に記録していたのですが、見られる人が限られている & 各要望の状況がアップデートされておらず、ごく一部のひとが頭の中でのみ分かっている状況でした。
また、顧客から要望をもらう際にも、「◯◯してほしい」という声だけで、「なぜ困っているのか」などの背景まで聞けておらず、真の課題が理解できず、開発の優先度を付けづらい場面も多々ありました。
そこで作ったのが、Notionを活用した顧客要望を管理するデータベースです。
主に顧客と接することが多いCSやセールスのメンバーがSlackのフォームに投稿した顧客からの要望や提案が、Notionのデータベースに自動的に記録されるようになっています。
顧客の声を、重要度や背景もセットでフォームから投稿してもらうことで、背景理解が行いやすく、プロダクト開発に活かしやすくなっております。
Slackフォームに投稿された要望はNotion上で一覧化されます。
利用用途に応じて、対応状況別、リリース別、要望元の法人別などのViewを用意しており、利用者・利用目的に応じてViewを切り替えることで、要望の進捗が分かりやすくなりました。
このデータベースを見ながらCS・Dev・PMの3職種による定期MTGで背景理解・優先度づけを行い、開発スケジュールに組み込んでいます。
ここからはよりイメージがつくように、実際にこのフローでどのように顧客要望が開発まで進んだのかを実際の例を用いて説明します。
ある店舗から「レジで1回のタップで会計完了させられるボタンがほしい」という要望が出ました。
詳しく背景をお聞きすると、
- ランチ時の忙しいときに、立て続けに何人ものお客さんの会計をしないといけない
- ランチ時は現金で支払っていただくことが多い
- いまのレジだと、「支払方法を選択 」「金額欄をタップ 」「金額を入力」「会計する」の4タップが必要で面倒
- なかでも、特に面倒なのは金額の入力(入力ミスも起こり得るので、慎重に操作しなくてはならない。以前使っていたPOSレジでは、いきなり1タップで現金を領収できる「現金会計」というボタンがあった。)
というものがありました。
数社から同様の声をいただいていて、ランチなどで同様の体験をする店舗が多いので、優先度を上げて取り組むことに決定しました。
最初は、要望通りに現金会計ボタンを置くことも考えましたが、「押し間違いも起こりうる」 「デザイン的な制約がある」「不要という店舗も一定数いる」などの理由から、違う方法を検討することに。
お客様が求めているのは「より少ないステップで、スピーディーに会計できること」。特に、数値の入力が体感としてストレスが大きいことはヒアリングからわかっていました。
結果として、主要な会計方法をプレビューさせておく > いずれかを選択 > 自動的に満額入力された状態 > 会計する、という形でレジのUIを刷新。最短2ステップで会計でき、ミスが起こりにくいUIにアップデートしました。
このUI改善は、以前いただいていた会計関連の要望への対応も含んでいます。Product別にタグを付けていて、すぐに過去の要望から探したいものを探せるので、同時に対応できました。
このように、要望をSlackに投稿する際に背景までセットで記載するようになったことで、精度高く優先度付けを行い、現場の状況を踏まえた最適解を提供できるようになりました。また、要望ひとつひとつに関連領域などのタグ付けも行っているため、ひとつの領域の改善に取り組む際に、過去の顧客要望を参考に改善を進めることも可能です。
結果、直近3ヶ月で50件以上の顧客要望を改善できており、この数値は以前の数倍です。実際に、要望の多かった課題が解決されたり、多くの改善が進んでいることで、顧客からも喜びの声をいただいています。
誰もが見られるNotion上に常に最新の進捗が可視化されていて、見る人の目的に応じたViewをつくっているため、要望への対応がどのような進捗なのかを顧客とのコミュニケーション時に伝えることもできるようになりました。
顧客の声がしっかり反映されていくことで、顧客により愛用いただき、また要望や提案をいただけるという好循環にも繋がっています。
これまでプロダクト管理ツールにそこそこの費用を払っていながらも、うまく活用できていませんでした。今回、すでにみんなが使っていて親しみやすいNotionで仕組みを構築することで、費用がかかることなく、既存のデータベースなどとも連携された便利な管理ツールを作ることができました。
これからもNotionなどを活用しながら、プロダクト開発を効率化していきたいです。
また、飲食店のオペレーション支援だけでなく、diniiだからこそできる、飲食をもっと楽しくおもしろくすることにも取り組んでいます。
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