パーソルキャリア株式会社 UXリサーチグループです!

日本の労働人口6700万人の方々が、普段から「はたらいて、笑う」ために、 私たちは、一人ひとりに寄り添うような新規サービス創出に取り組んでいます。

リサーチャーはサービスの様々なフェーズで関わります。 今回は2019年末にリリースされた『転職同期』というサービスでのリサーチを取り上げ、 パーソルキャリアのUXリサーチャーの動き方についてお話します!

2019年12月に我々の主力転職プラットフォームであるdoda会員限定でリリースされ、 2020年の3月より、誰でも利用できるサービスになりました。

今回ご紹介するリサーチは、それからちょうど2カ月経った頃のものです。

UXリサーチの実施期間

1.5カ月

プロジェクトメンバー

・UXリサーチャー(リード1名 メンバー2名) ・転職同期プロダクトマネージャー(1名) ・転職同期企画メンバー(5名) ・転職同期デザイナー(3名) ・転職同期エンジニア(7名)

プロジェクト開始にあたり、必ず関係者にヒアリングを行います。 今回の、『転職同期』に関して、プロダクトマネージャーからは、 「転職同期へのアクセス数は増えてきており、データは集まってきているものの、 ”誰”のためのサービスか分かりづらくなっている。その”誰”を決めていきたい」という話を伺いました。

↑コアユーザーは分かるようになってきたが、コアユーザーだけのためのサービスではない

UXに詳しい人であれば、”誰”と来たら、すぐに「ペルソナ」と判断するかもしれません。 しかし、リサーチャーがここまでの情報のみで判断し、インタビューを行って正確なペルソナを作ったとしても、プロジェクトの状況によっては、意思決定には繋がらないかもしれないと考えました。

↑別プロジェクトで作成したペルソナ。メンバーの共通認識のために活用。

さらにヒアリングを進めたのが、「プロジェクトメンバーがどのように思っているか」という視点です。リリースからは約半年、さらに16名もの関係者が居るため、それぞれのメンバーが考えている「ターゲット像」があるはずです。まずは、それらを引き出すことで、意思統一が図れるのではないかという想いのもとプロジェクトをスタートさせました。

この際に提案したのは、ペルソナではなく、「プロトペルソナ」というものでした。 プロトペルソナは、インタビューなどに基づかず、仮説で作成する簡易人物像プロファイルのことです。

「プロトペルソナ」は、本来であれば、データがないような初期段階に、スピード感を重視して使用されることの多い手法ですが、今回はペルソナの最大価値である「共通認識」を揃えるために、プロジェクトメンバー全員から意見を貰い、そのデータを元にプロトペルソナを作っていくことに決めました。

↑いきなりペルソナを作っていくのではなく、自分自身が課題としていることをヒアリング。

本プロジェクトは、関わるメンバーも多いため、 意見が出やすいように「匿名」使用できるサービスを使ったことにも拘りました。

出てきた意見は、メンバー全員で確認し、『転職同期』は”誰”のためのサービスなのか?を 決めるために、チームで目線を揃えていきました。

↑メンバーが考えるユーザーのブレスト。意見が出やすいように匿名サービスを利用。

今回のUXリサーチプロジェクトにおけるリサーチャーの最も大きな役割は、 ここまでの情報を元にプロジェクトメンバー全員で出した意見を集約していくことです。 ここで、現実離れしたプロトペルソナを作ってしまっては、折角集めて集約した意見やデータが無駄になってしまいます。

↑意見を集約している様子。別のミーティングソフトで会話しながらの作成。

リサーチャーのリード1名 メンバー2名がディスカッションを進めながら、 「現実にこういう人いるよね」を合言葉に、バランス注意しながら、3人のプロトペルソナを作りました。

プロトペルソナが出来上がったあとも、内容の確認だけでなく、 「現実に居ると感じられるか」といった目線でもメンバーに評価して貰っています。

このことによって、空想上のユーザーを作り出さないだけでなく、全員が意見を確認し、 集約された結果も見ることになるので、メンバーの納得感もでてくると思います。

結果として、メンバー全員が「3人とも現実に居そうである」と評価をしてくれました。

↑ジョブを中心にまとめ、3人のプロトペルソナとしてアウトプット。

そのうえで、最もサービスとして積極的にコミュニケーションを取っていくべきであるのは、3人のなかで「木村さん」であるという、プロトペルソナの使い方の説明・提案までを行い、一旦、今回のUXリサーチプロジェクトは完了となりました。

もちろん、その後も関わりは続き、このプロジェクトが終了した後も、 転職同期で「木村さん」と言えば、プロトペルソナの木村さんことを指します。

プレゼンテーションでの企画書やfigmaでデザインを実施する際も、 多くの場合、この木村さんを参照できる状態でデザインが進んでいきます。

↑積極的にコミュニケーションを取っていくべきとしたプロトペルソナ「木村さん」

↑UXブループリント作成の際にプロトペルソナの木村さんが登場

↑プロトタイプ作成の際にもプロトペルソナの木村さんが参照された

UXリサーチチームに来る質問のなかでユニークなのもの1つに、 「(プロトペルソナの) 木村さんならどうしそうか一緒に考えて欲しい!」 というものもあります。ここまで、プロトペルソナが浸透しており、しかもそれを徹底的に 使ってくれているということは、非常にありがたい限りです。

↑木村さん視点でのディスカッション依頼

「リサーチャー」という立ち位置は、ビジネスにおける医者である という言葉を先輩から教えて貰ったことがあります。患者が風邪であると言ったときに、 診断をせずに風邪薬を渡してしまっていたら、それは患者の素人意見によって判断しており、医者(プロ)による診断がなされていないと言えます。

リサーチャーは「ペルソナ」を作りたいといった手法ありきの相談がきたとしても、 完全に鵜呑みにするのではなく、ヒアリングを通じて、本当の課題はどこにあるのかを探し、それを解決するようなリサーチを提案します。

パーソルキャリアのサービス企画開発本部は、新規サービスを生み出すグループであるため、分析できるデータが潤沢ではありません。だからこそ、課題の発見が最重要だと言えます。 さらに、その課題を解決するための手法が、「使ってもらえる=効果がある」ものになるように意識して活動しています。これらのためにも、日々、ディスカッションできるようなチーム体制も整えています。

プロダクトマネージャーが意思決定するためにどういった情報が必要なのか、プロジェクトのメンバーがスムーズに動けるためにはどういったことを優先度高くすべきか等、リサーチャーが多角的な視点から捉え、解決策が見つかるまで、チームとしてプロジェクトと伴走していくことも大切にしています。

UXリサーチャーってなにやっているの?と言われることもありますが、今後も仕事内容や動き方を発信していこうと思いますので、ぜひチェックしてみてください!

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