ZEALSでコミュニケーションデザイナーをしている志賀です。現在はコミュニケーションデザイナー特化の人事企画に近いポジション(CD Produce)で、制度設計・導入・育成、採用支援などの業務をしています。
今回は、ZEALSのコミュニケーションデザイナーが入社して最初に受ける、オンボーディングについてまとめたいと思います。
コミュニケーションデザイナーの仕事は幅広く、知る必要のある情報は多岐に渡ります。そこで、70以上に及ぶ研修項目を3つのパートに分け、適切な順序で受けてもらうことで、スムーズにキャッチアップができる研修プログラムです。単に学習してもらうだけでなく、体験してもらうことも大切にしています。
オンボーディングや研修を設計するマネージャーやデザイナーの方の参考になれば幸いです。
入社後にスピード感を持って立ち上がってもらうために、オンボーディングは非常に重要ですが、ZEALSがオンボーディングに力を入れている理由がさらに2つあります。
- ビジネスモデルが新しく、学習がしづらい
- 幅広いスキルが求められるため、覚えることが多い
ZEALSは、AIチャットボット×コミュニケーションデザインでユーザーに新たな接客体験・購買体験を届けるサービスを提供しています。
チャットボットのビジネスモデルはまだまだ新興サービスで、歴史のある領域に比べると、体系化されたノウハウも少ないため、世間に公開されている情報だけではスキルを身につけられない領域です。
UIやグラフィックなどを扱う一般的なコミュニケーションデザイナーの業務に加え、ZEALSのコミュニケーションデザイナーという職種は、マーケティング、企画、ライティングなどのスキルも必要です。
新しいビジネスモデルかつ、幅広い知識が求められるため、オンボーディングでやることは自然と多くなります。こちらは70以上ある研修内容を一覧にした管理シートです。
大量にある研修をスムーズにこなしていくには、インプットやアウトプットをするタイミングが重要です。ナレッジの種類や量が多いとどうしても詰め込み型になってしまいますが、それでも関連するワークを実施してリアリティが出たタイミングでインプットすることで、自分ごと化しやすくするなどの工夫をしています。
また、項目ごとでパートを分割しています。知識がないから理解できない状況を作らないために順序を設けている、というのもありますが、ZEALSのコアアセットであるコミュニケーションデザインの研修は、他の職種の方が受けることもあるため、職種によってどこまで受けてもらうか、を切り分けしやすくしているという意図もあります。
3日間のナレッジパートは、自社のサービスやプロダクトを理解してもらうパートです。また、必須知識であるマーケティングの基礎知識も学んでもらっています。ZEALSに入社すると、職種関係なく全員にLINEチャットボットで自己紹介をしてもらっているのですが、これも自社プロダクトの使い方を理解する一環としています。
楽しみながら理解を深めてもらうことができ、自分のことを社内の人に知ってもらえるので、一石二鳥の取り組みです。
実践パートは、業界・商材・競合などのリサーチから始まり、会話設計を体験してもらいます。また、ポップアップバナーの制作や配信計画の設計まで、大きく5ステップに渡ってワークをしていきます。
この実践パートは、2020年ごろから本格的に実施したオンボーディング研修をベースにした最も重要なパートです。ハイパフォーマーの業務分析や、単発の特別研修プロジェクトなどといった過去の知見・経験を常にオンボーディングのフレームに集約・反映し続け、日々ブラッシュアップを重ねています。
5日間の改善パートは、今回から新たに取り入れました。実装した会話のパフォーマンスを改善する業務がコミュニケーションデザイナーの業務割合の中でも多くを占めますが、全体研修ではこれまで実施できていませんでした。
早期に業務の全体像を体験してもらって考え方やワークフローを身につけてもらいたいことや、現場でのオンボーディングコストの削減、何よりも新入社員本人が現場配属後に「この次どうするんだっけ?」と迷わないように設計しました。
オンボーディングのプログラムはNotionでハンドブック化し、社員一人ひとりに渡しています。
以前はスプレッドシートで管理をしていたのですが、先日Notionへ移行しました。
Notionに移行した理由は、カンバン方式で習熟度を管理できる点にあります。
In Progress(進行中)、Completed(完了)、Keep(保留)とステータスを設けることで、研修中はもちろん、いざ現場に配属された後も、振り返ったり、立ち戻りやすくするためです。冒頭にもお伝えした通り、コミュニケーションデザイナーの業務は多岐にわたるため、この研修で全てのインプットを完了し切ることは難しいと考えています。現場で業務していくなかで、不明点が出た時に「そういえばこれって研修資料のどこどこに書いてあったな」と思い出して使ってもらえるような、まさにハンドブックのような使い方を目指しています。
オンボーディングの効果は、すぐに出るものではないので、今やっていることが明確な結果に現れるのは少し先になりそうです。しかし、オンボーディングを受けてくれた社員や、受け入れ先のメンバーの反応から手応えは感じられています。
8/1からスタートした新スタイルのオンボーディングも、現場マネージャーの感触は上々でした。
これまで何度もオンボーディングをブラッシュアップし、時間をかけて作り込んできましたが、効果が見えにくいのも事実です。だからこそ、私が心がけているのは、現場メンバーとの何気ない会話や、定期的な1on1での情報収集を欠かさないことです。日々のコミュニケーションを通して「もっとこうしてほしい」「こういうのがあると嬉しい」という声を引き出してこそ、よりよいオンボーディングに繋がるのではないかと考えています。
今回アップデートしたオンボーディングも完成形ではなく、さらに改善を重ねる予定です。また今回取り上げられなかった施策もあるので、別途まとめて発信していこうと思います。