エイチームコマーステックでデザイナーをしている真野です。

 2019年の7月ごろから、cymaという自転車EC事業に携わっており、昨年ようやく事業を単月黒字化させることができました。

もちろん私だけのものではないのですが、5年ほど赤字だった事業が、単月黒字化したタイミングに少しでも貢献できたので、デザイナーとしての振り返りを残してみようと思います。

ビジネス面にももっと染み出していきたいデザイナーの皆さんのお力になれると幸いです。

私がcymaの事業に、デザイナーとして配属された2019年ごろ、チーム全体は50名程度、デザイナーは6人ほどでした。

ジョインしてから、事業や組織の課題感を把握するために、デザインチームメンバーに集まってもらって、キャッチアップも兼ねて「現状の課題だと思うこと」を皆に書いてもらいました。

すると、

そもそもデザイン制作する環境が揃っていなかったり、チームメンバー同士がお互いが何をやっているのかわからない状況であったり、自分が取り組んでいることが事業へどう貢献できているのかを把握できていなかったりと改善ポイントがいくつか見えてきました。

また、メンバーとそれぞれ1on1を実施してみると、今までの悩みや不安が爆発し泣き出してしまうメンバーも数名いる状況で、改善の余地が多大にあると感じました。

普段、チームの雰囲気は明るく、前向きなメンバーも非常に多いのに、仕事の話になると一転、暗く重たくなってしまう状況に少々焦りも感じました。

周囲のデザイナーや、チームの状況を改善するために、マーケチームと連携し、共通の目標を作ったりどこにフォーカスするか決め、今まで作業だけをしていたデザイナーにも施策の企画段階から入ってもらい、ボトムアップ型のチームとして改善施策をいくつか試していきました。

しかし、全然大きな成果を出すことが出来ませんでした。事業は当然赤字のまま...。

どうしたものかと思って、一緒に働く社内でもトップクラスのマーケターTさんや、代表の望月さんに相談をしました。

話していると、どちらも「事業が…」と、主語が自分と大きく違うことに気づきました。

自分でも、事業が大事だと思いつつ、つい「デザイナーが…」「(デザイン)チームが…」というデザイナー目線でしか考えられておらず、事業を黒字化させるためには何を優先すべきか、が頭から抜けてしまっていました。

そこで、(もがきながらも) 目線を変えてみて、「事業」を主語に話すようにしてみました。

まず黒字化させることで、結果的にデザインチームのメンバーの働き心地も変わるし、不安も解消されるだろうと頭をしっかり切り替え、事業の黒字化を最優先に動くことに。

そしてこの頃から、マーケターのTさんやAさんとともに動くことを増やし、デザイナーの自分にできることを模索していきました。

TさんやAさんはいわゆるビジネスサイドで、数字意識、ユーザー理解などは非常に優れていましたが、思うように形にできないと頼ってくださり、私は「1台あたりの粗利が上がるような売り場 (EC) の具現化」を担っていくことに。

具現化といっても、自転車領域への理解も浅く、デザインツールを使ったプロトタイプをつくってみるものの、マーケのTさん (ユーザー理解が強い) やAさんに見せてみても全然反応が良くありませんでした。

もちろん自分でもしっくりこなかったため、家の近くの自転車屋さんや近くの家電量販店などにマーケメンバーとも足を運び、「どんな順番で商品を見せているのか」「どこに目線がいくようにしているのか」などなど、徹底的にリサーチしました。

すると自転車を売る際の、接客の順序やタイミングや売場の設計が徐々にわかってきました。

段々とプロトタイプの精度も上がっていき、ついにTさんからも良いだろうという反応をもらい、施策のリリースを進めていくことに。

デザイナー個人としては、もちろん「本当はここのビジュアルをもっと詰めたいな」「もうちょっと細部までUIを作り込みたい気持ちが…」と、思うことはたくさんありました。

それでも、「事業の黒字化」が最優先だったため、冷静に優先度を判断し、要件を絞っていきました (自分の中でも転換期だったように思います。)

「自然に購入してしまうような体験」を「限られたリソースで」行うというのは、事業目線とコスト意識の両方が必要で、この時にようやく理解できた気がします。

 施策は無事に良い結果となり、自転車一台あたりの売上も大きく改善され、単月黒字化に寄与することが出来ました。

単月黒字化とともに、自分の意識も大きく変わったタイミングでした。

今でも自分への教訓としていることですが、「赤字の事業において、ビジュアルやUIが綺麗になっても、事業が潰れてしまったら、意味がない」というのは、ビジュアルに責任を持つ者として大事にしておきたいことだなと思っています (この教訓を受け入れるのは自分でも大変でした…)。

そして、事業が黒字になった今、ようやくビジュアルやUIのクオリティアップにも取り組めます。

最後に、一緒に黒字化に伴奏してくれた望月さんとマーケターのTさんからもコメントをいただけたので、貼っておきます。

とても尊敬しているので、ありがたいコメントです…

事業目線でデザインすることについて、これからも発信していきますので、続編をお楽しみに。

ご覧くださりありがとうございました。

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