ビザスクでディレクターとして働く加藤です。
ビザスクの各プロダクトを開発するプロダクト/デザイングループに所属しています。
今回は、ビザスクの社内向けシステムで新機能を開発した時の事例をもとに、複雑な業務フローを整理する工夫についてまとめてみたいと思います。
toBサービスや業務システムに関わる時、どのようにユーザーの業務理解を進めてUIに反映すれば良いか悩む場面で、役立つものになればと思います。
ビザスクは、さまざまな業界のアドバイザーから直接話を聞くことができるビザスクinterviewというスポットコンサルサービスを運営しています。
ビザスクの担当者は、クライアントからリサーチの依頼をいただいた後、社内システムを使いながら適切なアドバイザーを探してマッチングする業務を行っています。
これまで、クライアントとアドバイザーにインタビュー実施確定のご連絡をする作業は、ビザスクの担当者が手動でメールを送るフローで行われていました。しかし、手動ゆえに誤送信などのミスが発生してしまうリスクを抱えていました。
そのため、ビザスクの担当者が社内のシステム上から自動でインタビュー実施確定連絡をできる機能を開発するプロジェクトを開始しました。
今回のプロジェクトでは、ビザスクの担当者が普段行っているオペレーションを機能に落とすことが必要でした。
ただ、マッチングの業務内容はとても複雑で、かつ、お客さんの業界単位で分かれているチームではそれぞれオペレーションも異なっていたため、業務の理解をしづらい状態でした。
そこで、複雑な業務を理解するため、実際にマッチング業務に取り組んでいる担当者に各チーム1〜2名ずつプロジェクトに参加してもらいました。
まず、正確な業務の流れを整理するために、それぞれのチームの担当者がマッチング業務に取り組む様子を横で観察させてもらうところからはじめました。
観察から始めたのは、単に業務内容をヒアリングする方法だと、当人が無意識に行なっている作業を見落としてしまう場合があるからです。意識して(注意して)作業している部分も大事ですが、当人が無意識に行なっている作業にこそポイントが隠れていることも多いと私は思っています。
チーム別に比較しながら観察したことで、どのチームも共通してやっていることと、オプション的に行っている個別の取り組みがわかってきました。
個別の取り組みについては、なぜ行う必要があるのか、理由を都度ヒアリングしていき、業務フローの理解を進めます。
観察とヒアリングの内容をもとに、全体で共通する流れを業務フロー図としてFigmaにまとめました。
この業務フロー図は、自分が認識している業務と担当者の認識のズレを無くすためにつくっています。業務フロー図を各チームの担当者に見せながら、実際の行動とズレがないか一つ一つ確認します。
また、業務フロー図で現せない個別のユースケースについては、スプレッドシートに一つ一つユースケースを書き出して、それぞれのチームのメンバーに発生有無を確認していきます。
開発にかかる期間も半年近くかかりそうな大規模プロジェクトだったため、勘で進めずに、要件段階で業務の流れを丁寧に把握することに時間をかけていました。
業務フロー図と実際の業務にズレがないことを確認して、仕様とワイヤーに落としていきました。
もちろん、全てのユースケースを仕様に落とすと、とんでもない複雑なものになってしまうため、妥協点や代替の方法がないかや全てのチームで統一しても問題なところがないかなどは調整していく必要があります。
この時、デザイン面で想定に迷うところがある場合は、再度スプレッドシートを使ってユースケースを細かく確認していきます。
プロトタイプで共有して合意を得られた後、開発に取り組み、半年間を経て無事リリースを行いました。
これまでの社内向けプロダクト開発では、一部のチームメンバーのみがプロジェクトに参加して、他チームには定例などでヒアリングする程度の関わりとなっていました。
そのため、どうしても参加チーム以外への考慮が浅くなったり仕様をきちんと伝えきれないといった場合がありました。
今回は、各チームから参加してもらい、各チームの事情を詳しく確認した上で進めていたため、リリース前から仕様を理解しているメンバーも多く、スムーズに本番運用が開始できました。
ビザスクのサービスは、お客さまの大切な情報を扱っています。お客さまの情報を守るためにも、業務フローを細かく想定し尽くしてシステムに落とし込む必要があると考えています。
お客さまに対する配慮の意識が、ユースケースを細かく捉えたプロダクトづくりに繋がると思います。
今後も、ユースケースを中心にして、より良い機能を届けていきたいと思います。