エイチームライフスタイルのデザイナーのxiolkeeです。

今回は社内で行ったLTイベントの特設サイト制作を例に、普段アートディレクションで意識しているポイントについてまとめてみたいと思います。

コロナ禍で会社が在宅勤務に移行する中、リモート環境下での職能・事業部の垣根を超えたコミュニケーション促進を狙いとして企画されたLT大会にアートディレクターとして携わり、特設サイトをデザインしました。

制作にかけた時間:合計40時間程度 (実装込み)

チーム構成:・アートディレクター 1名・webデザイナー 1名・グラフィックデザイナー 1名・エンジニア 1名

エイチームは経営理念を大切にしている会社です。

経営理念の実現に向けてエイチームでは“人”がもっとも大切なものだと考えており、それはエイチームの文化の上に成り立っています。

雑談などの些細なコミュニケーションや立ち振る舞いから社員同士の信頼関係の構築、エイチームらしい働き方などの文化継承が行われ、そこを基盤として革新的なアイデアが生まれ、会社の成長に繋がることからエイチームではチームが同じ空間で働くことを大切にしていました。

しかしコロナ禍で在宅勤務を余儀なくされ、チームが同じ空間に集うことは少なくなりました。

作業に集中する分にはとても効率的でありがたいリモート環境ですが、空間が遮断されていることでコミュニケーションハードルが上がり、部署間の雑談や相談などの気軽なコミュニケーションは減少。

オフィス勤務時は無意識的に行えていた情報のキャッチアップが、一人一人の意識的な発信や行動に依存する状態が課題となりました。

在宅勤務によって交流が減ってしまった状況を打開すべく、有志によって企画されたのが今回のLT大会です。

エイチームライフスタイルで働く全員が参加したくなるような仕掛け作りに向けて、運営メンバーでまずはどんなLT大会にしたいか、コンセプトを固めることから始めました。

企画が始まったらまずはコンセプトだし。どんなLT大会にするのかを運営メンバーで決めていきます。

職能間の越境はもちろん、複数の異なる事業を運営しているエイチームライフスタイルだからこそ、事業部間の越境を実現できるとこれまでにないイノベーションが生まれるのではないかという期待を込めて、明るく楽しく元気よくみんなでわいわい楽しみながら知見を共有する「ライフ秋の越境祭」というコンセプトになりました。

今回はLTに慣れ親しんでいるエンジニアやデザイナーだけでなく、営業やマーケ職の人も気軽に参加できるように、LTテーマは厳格には設けないようにし、みんながフラットに参加できる体験づくりを意識しました。

コンセプトが決まれば、そこから情報構成やビジュアルに入っていくのですが、LT大会自体はエイチームグループの横串で行った実績があり、特設サイトの情報項目はフォーマットができていたので、今回はロゴとビジュアル作りに注力。

制作に携わるデザイナー3名で、まずはコンセプトから連想するキーワードを発散させました。

各々で発散したキーワードの中から共通項を見つけ出し、グラフィックの方向性を固めていきます。

言葉で方向性がある程度固まってきたら、次は具体的なグラフィックのイメージをつくっていきます。

Pinterestを使って感性の趣くままムードボードを作りながらどんなグラフィックにしていくのかを検討しました。

メンバー共通でイメージが合致するものをピックアップし、加えて良いと思った要素やキーワードになるものをさらに言葉で付け足していきます。

ムードボードで、大体イメージが固まってきたら、グラフィックを試しに制作してみます。

グラフィックは後輩デザイナーのM.Hさんがメインで作ってくれました。

ムードボードをもとに制作した最初のグラフィックがこちらです。

グラフィックは兎角好き嫌いで議論してしまったり、感覚的になることも多いので、議論は慎重に行いました。

私が重要視していたのは、「違和感は、それ自体よりも感じた理由に着目」、「意見が合わない時は、言葉で認識を揃える」ことでした。

当初できあがったグラフィックは、良さそうな雰囲気だけど何か違和感...?という声が自分含め他のメンバーからも上がり、コンセプトに立ち返ってなぜ違和感かを言語化することに。

越境というコンセプトを表すのに、越境した先に生まれるもの(融けあうような状態、新しい形が生み出された状態)を表現すること。

フェスっぽい雰囲気を纏うエイチームライフスタイルらしさを残しつつも、みんなで楽しめることを実現する上で尖りすぎず人を選ばないテイストにする(親しみや柔らかさを持つ)ようにと再度言語化しました。

そうして出来上がったキービジュアルがこちらです。

ロゴタイプからフェスっぽい雰囲気を保ちつつも、グラデーションを用いた色の融和とそれによって生じる柔らかい印象から“越境”というコンセプトと、“みんなで楽しめる”イベントにする上で多くの人を受け止められる優しさを表現することができました。

コンセプトの言語化→グラフィックを何度もつくる というような「言葉→グラフィックの一方通行」ではなく、「言語化⇄グラフィック」を小さく繰り返すことで無駄なくグラフィックが仕上がったと思います。

最終的に完成した特設サイトはこちら。

みんなのテンションを上げるサプライズとして、より融和している様子を表現するためにも、キービジュアルはモーフィングによりゆらゆらうごめくようにしています。

動きの中で生まれる新しい形や色の重なり合いを越境した先に生まれる新たな取り組みとして解釈できるよう表現しました。

そして、サイトオープン時の反響がこちら。

「かっこいい!テンション上がりますね!」「職能と所属事業が色とアイコンで示されてるのめっちゃ良いですね素敵」「フェスみたいでテンション上がる!!!」「わぁーーーーすごーーーーーい♪楽しみ度が増しますねー!!!」

など、狙い通りのコメントをいただきました🙌

LT大会はオンラインで開催されましたが、当日も大盛り上がり。組織施策としてもよかったように思います。

アートディレクションについて私が意識しているポイントをまとめてみました。

言葉とグラフィックを行き来することで、コミュニケーションの齟齬が少なく、なおかつコンセプトや企画意図を適切に表すグラフィックが作れるのかなと思います。

お付き合いいただきありがとうございます。

サービスデザインの事例も公開していく予定なのでそちらも楽しみにしていただけたら幸いです。

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