LINE Fukuokaでデザイナーをしている中村と坂口です。LINE占いというサービスのUIデザイン・運用を担当しています。

占い総合プラットフォームであるLINE占いは、有名占い師による本格占いが楽しめる「無料占い」、チャットや電話で占い師に直接悩みを相談できる「チャット占い」、ビデオ通話を使ってリモートで対面占いができる「ビデオ占い」、アプリで有名占い師の占いを楽しめる「LINE占いアプリ」があり、ユーザーの利用シーンに合わせていつでも占いを楽しめるコンテンツを提供しています。

LINE占いのサービス開発に取り組む上で、占いを利用するユーザーの行動や課題感がイメージしづらい問題が生まれていました。

背景として、チームに実際に有料の占いを利用したことがあるメンバーは少なく、ユーザーの目線になって考えることが難しい現状がありました。

そのため、デザイナーとしても「ユーザーはなぜLINE占いを使うのか」「どんな訴求に惹かれるのか」が掴めておらず、最適なものをアウトプットできているのかがわからない状態でした。

施策や機能をユーザーに届けるためには、もっとユーザーのことを理解する必要性があると感じていました。

LINE占いに関わるデザインチームでは、チームのユーザー理解を深めるために、デザイナーである自分たちが、まずはユーザーとしてサービスを使うことに取り組んでいます。

もちろん、これまでにアンケートやユーザーインタビューなども行っていたのですが、それに加えて自身がサービスを使い倒してファンになることで、ユーザーの考えを肌から理解したいと考えていました。

実際に自分もLINE占いのチャット占いをユーザーとして使ってみて、肌感を掴む

まずは試しに自身が体験することで、ユーザーとしてサービスの価値を実感することができました。具体的には以下の通りです。

  • 馴染みのあるLINEを使用するため、操作がスムーズ
  • スキマ時間や夜間のリラックスタイムなど、自分の好きなタイミングで相談できる
  • 人には言いづらい悩みを聞いてもらえる
  • 鑑定結果を通して具体的なアドバイスがもらえる
  • 自分の性格など「当たってる!」と思うことがあり、体験として楽しい

最初に試してみた時から私は占いにすっかりハマり、いちユーザーとして頻繁にLINE占いを楽しむようになりました。そして、個人としてサービスを使い倒して価値を実感できたことで、なぜユーザーがLINE占いを使うのかを肌で理解することができました。

また、自分自身がサービスを使い倒す中で、ユーザーとして気づいたことや学びは、都度残しておいてサービスの改善に繋げられるようにしています。

例えば、他社の占いサービスを利用した時は、サイトのスクリーンショットを取り行動を分析したり、参考になる体験をメモしたりしながら、ユーザーとして体験した学びをまとめています。例えば以下のようなものです。

  • 先払いで還元率アップアップ
  • 誕生月にもらえる無料鑑定チケット
  • 鑑定前にユーザーに安心感を与えるアナウンス

デザインチームや事業部に対して生のユーザー視点を伝えるための動きも行っています。ここでは、LINE占いというサービスの一ファンとして、ユーザーとして使う中で感じた喜びや気づきを楽しげに共有することを意識しています。

さまざまな占いサービスを使いながら、気づきや学びを一ファンとしてSlackに共有している

例えば、ユーザーとして使ってみて「ここが良かった」「この部分は、もっと改善されると嬉しい」という意見は、事業部との定例MTGで積極的に共有しています。また、サービスを使った時の感想だけでなく、占い系のテレビ番組や書籍の情報、占い店舗に行った際の体験談などもチームで共有し合っています。

サービスのファンとして発信し続けることで、メンバーが施策の方向に迷った時にも「チームの中にユーザーがいるなら、その人にまず聞いてみよう」という雰囲気をつくることができています。

自分自身でLINE占いをユーザーとして使い倒すなかで得られた気づきをもとに、機能や企画の体験や訴求改善に繋げることもできています。

自分が体験した気づきをもとに体験面・訴求面の改善提案を行う

想像だけでは気付きづらい部分も「自分がユーザーとして使うなら」という視点から得た気づきを積極的に共有し、結果として数値にも繋がり始めています。

新規ユーザー向けのキャンペーンでのバナー作成の場面で、ユーザー目線から改善を行い、初心者向けのハードルを下げるような訴求やビジュアルに変更した事例があります。

「Wチャンスキャンペーン」というハードルが高いバナーを、ユーザーとしての体験を想像して心理的ハードルが低い訴求・ビジュアルに変更

これまでは、新規ユーザー向けの施策で「お得感」を訴求するために「Wチャンスキャンペーン」という名前を使っていました。

しかし、実際に自分でもサービスを利用してみて、以下の課題に気が付きました。

【Before】

  • 「チャンス」という表現が玄人向けに感じ、初心者にはハードルが高い
  • 何をしたら特典がもらえるのかわからない
  • 占いらしい世界観が薄く、サービスのイメージと乖離している(他のサービスでも使えそうな、良くも悪くも無難なデザイン)

これらをヒントに「ユーザーに自分ごととして捉えてもらい、バナークリックまでの心理的ハードルを下げること」が重要であると仮説を持ち、以下の通りバナーの改修を行いました。

【After】

  • 「〜あなたへ」という訴求でバーナム効果を狙う=自分ごと化
  • 「ウェルカムキャンペーン」という名称に変更し、歓迎されているようなポジティブな印象を与える
  • 特典GETまでのフローを明確にし、参加イメージをしやすく
  • 重すぎずPOPな占いの世界観を意識したデザイン

上記の改修の結果、バナーのCTRは0.2%、キャンペーン参加率は2.8%上昇させることができました。

LINE占いのデザインチームは、一般的なユーザーよりもアクティブにサービスを利用しているので、事業部の人も知らないことを知っていたりすることもあります。メンバーからは「良い意味で、作り手でありつつ、お客さんですね」と言われたりもします。

デザイナーとして、一定の水準でアウトプットするならユーザーのことをふんわりと理解するだけでも良いのかもしれません。

ただ、それ以上のアウトプットを出すなら、課題感を浮き彫りにする、体験を想像する、ということが必要だと思います。まるで沼にハマるように、自分自身がサービスを使い込んで、価値を実感することが大切だと思うようになりました。

サービスを使い込む中で、自分としてもサービスの良さや楽しさを体感できています。そして、その楽しさを、作り手としてお客様に伝えていきたいと思っています。

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