こんにちは、トライブグループという会社でCDOをやっている原田です!

サービスデザインというものを考えた時に、デザイナーの仕事の進め方がブラックボックスになっているのはよくあることだと思います。 例えば「どんな風にデザインの意思決定をすればいいのか」「どう進めたら出戻りが少なくなるか」などに困っている人は多くいるのではないでしょうか。

今回は、エンタメマッチングプラットフォーム「pato」を事例に、サービスデザインの進め方をどう考えているかについて書き残していけたらなと思います。

最近リリースした「ゲストコミュニティ」という機能があります。 この機能は、利用するユーザー同士のアクティビティがタイムラインとして流れてきたり、ランキングが見れたりするものになります。

デザインツール: figma

関わった人: PdM: 1名 デザイナー: 1名 エンジニア: 2名

リリースまでの期間: 6週間

サービスデザインの進め方に特にこれといった正解はなく、暗中模索ので完成に向かうものだと思いますが、私がいつも行なっている進め方の中でも2つのコツを紹介したいと思います。

2つのコツ 1.いきなり手を動かさない、いきなりUIから作り始めないこと 2.デザインの完成までの地図を思い浮かべ「誰がどこを決めると良いか」を洗い出す

仕様設計がある程度済んでいる施策があった時に、まずUIのビジュアルを先に作り出すことはよくあることだと思います。 でも、これはよくないんです。

施策の目的や背景を十分に理解しないままUIを作り始めても、「本当にXX (目的) は達成できる?」「これは必要?」「もうちょっとボタンは大きい方が...」など、抽象度も方向性もバラバラな意見が飛んできて、議論の焦点が定まらず、結果まとまらないからです。

なのでまずは、設計された仕様を元にユーザー体験の深掘りをしていきます。「誰に、どんな価値を、どう届けたらいいか?」の問いを中心に、 ・達成したい状態、KPIなどの定量的ゴール ・対象となるユーザーの具体的な利用シーンの洗い出し ・機能を使った時の理想的なユーザーのゴールや喜び ・ゴールを達成するのに現状ボトルネックになっている課題 ・課題を取り除くための具体的なアイデア など、ユーザー体験を中心に一度整理してみることから始めます。

UIのビジュアル以前に「どんな方向性にするのか」をここでまず深掘りしてから走り出すことで、トータルの出戻りを少なくすることができます。

私はさらに、この作業に入る前に「この施策は今取り組むべきか?」という問いを必ず持っておきます。これはサービスデザインの範疇を越えているように見えるかもしれませんが、実はそんなことはありません。

あるユーザーの課題を考えた時に、取り組もうとしている施策より他のアイデアの方が優れていそうな場合、そちらを先に優先すべきで、これはユーザー体験を考えた当然の結果と言えます。

このように、ユーザー体験を深掘りするのにある程度決まった型はありますが、それらをアレンジしてチームでの共有言語としておくことが大事です。サービスの特性やフェーズに合わせて、「ここは必ずUIを作る前に考える」そういった体験設計書なるものをチーム内ですり合わせながら作っていきましょう。

特にデザイナーは、ビジュアルというアウトプットを武器に一番フィードバックを受けやすい立場にいると思うので、全員からのフィードバックを収集し、共通言語となる考える型を作って可視化するといいと思います。

ゲストコミュニティ機能では、以上のように紙ベースで施策の設計をUIに落とし込み、サービスデザインを進めていきました。

ポイントは、この時点で思考が進まないものに関してはきっぱり諦め、その情報を持ってそうな人に先に思考を当てにいくことです。デザイナーはユーザーについて一番考える機会が多い立ち位置にいますが、一番ユーザーに詳しいかどうかとはまた別問題です。

考えが進まない部分は、自分にユーザーインサイトが足りないか、そもそも集めるべき情報が足りていない場合がほとんとです。なので、ビジュアル作りをする前段階のうちに、設計者と目線を揃えて進めるとスムーズにいくと思います。

サービスデザインの進め方の二つ目のコツ、それは「デザインの完成までの地図を最初に思い浮かべ、誰がどこを決めると良いか」を先に洗い出して進めておくことです。

今回のゲストコミュニティ機能では事前に、 ・タイムラインに流すポストのパターン仕様 ・プライベート設定、emptyステータスの文言 を作っておかないと、デザインの完成がしづらい状態でした。

仕様書が線密に作られていても「UI作成にあたって決めなければいけないこと」がデザイナー以外には見えていないことは多々あると思います。 ビジュアルという具体的な武器を操れるデザイナーはそれらの想定漏れに気付きやすい存在です。なので、その時点で「ここをこういう風に決めてくれると動きやすいです」といったことをデザイナー発信で伝えておくと、「こんなつもりじゃなかった、、」を激減することができます。

上記のように、今回はタイムラインポストのパターン出し、一部のemptyステータスの文言が足りていないことがあったので、UI作りを始めた段階で再設計と文言修正の依頼を出しました。

うちのチームではこの動きをfigma上で進めています。デザイナー以外もfigmaを使えるようにしてあって、漏れている仕様の設計の追加や、文言修正などは極力UIベースでビジュアルで見てわかる形していきます。この追加情報を元に、またデザイナーがUIを修正していくという流れです。

デザイナーはユーザー体験の最後の砦です。一番最前線でユーザー体験のこと考えられるポジションにいることを自覚して、設計の漏れ、文言一文までのこだわりを持ってサービスデザインを進めていこうと、チーム内で口うるさく言っています。

結果的にUIは以下のような形にまとまりました。

少し抽象的でしたが、サービスデザインの根本だと感じる「意思決定の仕方」についてまとめてみました。小さな施策であっても、新規事業のプロダクト作りであっても、重要な部分は変わらないかなと感じます。

会社ごと、サービスごとに様々な進め方があるかと思うので、「うちはこうしたらうまくいった!」というアイデアがあれば一緒にお話しましょう!


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