アドウェイズの広告制作に関わるクリエイティブチームには、93人が所属しており、クライアントから依頼を受けて、幅広い媒体で動画やバナーなどの広告をつくっています。
そんなアドウェイズでは、制作した広告クリエイティブに根拠を持たせるために、過去の広告クリエイティブ制作ナレッジを、チームで蓄積するしくみづくりに取り組んでいます。
広告制作に特化しているからこそできる、ただつくるだけではない、アドウェイズならではの体制づくりについてまとめてみます。
アドウェイズの広告制作は、以下のような体制で行われています。
ゲーム・漫画・金融・エンタメ・ECなど幅広い業種のクライアントから依頼を受け、動画・バナー・LPなどさまざまな種類の広告クリエイティブを毎月制作しています。
当時、アドウェイズのクリエイティブチームでは、過去事例の共有が個々で行われており、クライアントに対して広告の企画を提案する際にこれまでの知見を活かしきれていないという問題を抱えていました。
例えば、以下のようなことが起こっていました。
それぞれの事例が、チームに共有されていない
それぞれの事例が、各プロジェクトに浸透しきっていない
過去の類似事例を知ってる人もいれば、知らない人もいる
担当する業界や扱う媒体が変わると、キャッチアップが難しい
そのため、クライアントに対しての過去事例に基づいた企画提案が属人的になってしまい「なぜ成果が出るのか」という点においても、示しづらくなっていました。
これは、営業、運用、ディレクター・デザイナーが分業していることによって、部署をまたいで知見を共有する仕組みがなく、案件ごとの知見がチームに共有されづらいことが原因でした。
このような制作フローを見直して、職種間の関わりを増やすことで、チームとして知見を蓄積できるようにしていく必要がありました。
そこで、クリエイティブチーム全体で、各案件の事例から生まれた知見をチームで活かせるようにするための、ナレッジ蓄積のしくみを整え始めました。
制作の根拠をあつめる
提案の幅をひろげる
連携の仕方をそろえる
これらはすべて、職種をまたいだ連携を促し、チームで広告制作を進めやすくするためのしくみです。
それぞれ詳しくまとめていきます。
まず一つ目は、過去の制作事例の成功要因や、検証結果をまとめた「クリエイティブナレッジ共有」のしくみです。
社内データベースに、過去にアドウェイズで制作された広告事例を蓄積しており、新しく類似の案件に取り組むときに事例を引用できるようにしています。
キャッチコピー、アテンション、BGMなど、広告制作における要素を洗い出し、成果につながる要因ごとにタグを用意して、それぞれの事例に紐付けることで、過去の事例を探しやすくしています。
事例ページの中には、施策の結果や、効果が出た理由についてまとめられています。
貯められた事例は、企画提案時や、制作時に引用され、ディレクターやデザイナーは「なぜこのようなクリエイティブを制作したのか」という根拠のある理由を、過去の事例をもとに語れるようになっています。
二つ目のしくみは、提案の幅をひろげる目的で行われている「お題でサンプルを収集」する取り組みです。
営業・運用・ディレクター・デザイナーでおこなう定例ミーティングの中で、「XXXの案件の参考になる広告を集めて」とお題を提示しています。そのお題に対して、クリエイティブチームの担当者が、参考になりそうな他社広告やユーザー投稿などをサンプルとして集めて蓄積しておくことで、幅広い提案ができるようになっています。
アドウェイズの広告案件は、一つの案件でも多くのパターンを出さなければならないことがよくあります。それを、ディレクターが一人で企画するのは負担が大きく、効率も悪くなってしまいます。
お題という形式で案件のサンプルを集めるしくみによって、チーム全員で企画の幅出しを行えるようになり、結果としてクライアントへの提案が通りやすくなっています。
またデザイナーとしても、TwitterやTikTokなど、媒体に合わせた広告の特徴を他社事例・ユーザーの投稿から把握しておくことで、制作の幅を広げることができるメリットがあります。
三つ目のしくみは、案件が終わったあとに、ディレクターとデザイナーの連携の仕方をそろえるために、クリエイティブチーム全員でおこなっている「制作振り返り会」です。
制作振り返り会では、毎回一つの案件をピックアップ。
案件に関わったディレクターとデザイナーをゲストに迎え、企画の提案段階と、クリエイティブ制作段階に分けて、どうすればもっとうまく進められたのか、どう連携すればもっと良いプロセスになったのか、というテーマをもとにワークショップ形式で振り返りを行います。
表層的なデザイン表現についての議論にとどまらないよう、ターゲットやクリエイティブの目的などを明確にしていき、より効果的な広告を制作するためにどういった情報の連携が必要なのかをすり合わせていきます。
振り返りの最後には、学んだことをあとから見返しやすいように、「今日の格言」というシンプルな形でまとめてもらっています。
これらの取り組みの結果、ディレクターやデザイナーの連携が強まり、再現性を持って効果が出る広告クリエイティブをつくれる体制に変わりつつあります。
さらに、提案するクリエイティブの根拠を示しやすくなり、企画提案に対してクライアントに共感してもらえることが増えています。
広告クリエイティブは、制作の頻度も高く、分業も起こりやすいため、どうしても一人の知見がチームに広がらないことが起こりがちです。
アドウェイズのように複数人でクリエイティブをつくるチームでは、個々の知見をチームのものにして、過去のナレッジをもとに成果に繋がるクリエイティブをつくりやすくしていくことが必要だと思います。
今後もアドウェイズでは、広告の効果分析やパターン化などを通して、成果を再現できる広告づくりにチームで取り組んでいきます。