SmartHRのコミュニケーションデザイングループ(コムデ)でデザイナーをしているchihariです。 Brand Designユニットというチームで、普段はノベルティ制作やイベントのクリエイティブデザイン、デザインシステムの運用など幅広い業務に関わっています。(入社してもうすぐ1年になります。時の流れのはやさにびっくり)。 2022年の1月に入社して、最も長く関わってきたプロジェクトが「SmartHR Blue カラーチップ」(SmartHRのブランドカラーである SmartHR Blue を印刷する際に色味の基準となるアイテム)の制作・運用に関わるプロジェクトなのですが、ようやく一区切りついてきました。

実際につくったカラーチップ。印刷物を制作する際にSmartHR Blueの色味の指定や確認に使用します。B5サイズと大きめなので広い面で色味を確認することができます。(撮影:山城功也)

ブランドカラーのSmartHR Blueは、SmartHRのアイデンティティを表すうえで重要な役割を担っており、私たちにとってとても大事な色です。

SmartHR Blueの色味の認識を社内外で揃え、色味を一定に保っていくことで、ブランド品質の安定化に繋がっていくと考えています。 そのためにやってきたことや考えをまとめてみようと思います。

もともとこのカラーチップは、SmartHR Blueを印刷する際に色転び(印刷した際に、狙った色とは違う色になってしまうこと)が起こりやすかったためにつくられました。

色転びの例。左はカラーチップを色見本として印刷を依頼したもので、右はカラーチップをつくる前に印刷を依頼したもの。右の封筒は意図せず色が明るく出てしまっています。(撮影:chihari)

SmartHR Blueは絶妙な色であるがゆえに、紙の材質や気候、印刷所や機械の違いなどさまざまな要因により色味が変化しやすく、一定に保つのが難しいという課題があります。

そこで、自分たちで色味の基準となるオリジナルの「カラーチップ」をつくって、印刷会社やデザイナー間での色味の指定や色合わせ、校正時に色見本として参照できるようにしよう!と誕生したのが「SmartHR Blue カラーチップ Version1.0」です。

詳しい背景や、カラーチップができるまでのプロセスはsekigさんのこちらのnoteをご覧ください。

カラーチップの概要や使い方は、デザインシステム「SmartHR Design System」に「印刷ガイドライン」としてまとめています。

カラーチップ一式は、コート紙(加工なし)、コート紙(ニス加工)、上質紙、クラフト紙など、材質や加工の異なる7種類の紙が、日焼けなどによる色の変化を防ぐため遮光性のある銀色の封筒に入っています。(撮影:山城功也)
また、それぞれのカラーチップには実験的に図柄も印刷しており、印刷時のサイズや見え方を確認することができるようになっています。

このカラーチップができたころに、コムデ内でカラーチップを使う機会が多いメンバーで振り返りを行ったのですが、「使い方の説明もあってありがたかった」「大きいカラーチップ、意外にいいかも」「(印刷時など)色合わせのへの意識が良い意味でピリッとした」などポジティブな声が寄せられました。

振り返り時のMiroの様子の一部
サイズや社内の認識、制作パートナーの方々との認識合わせなど、さまざまな観点で意見や感想が出ました。

一方でカラーチップは、主に印刷物のデザインや印刷会社とのやりとりを行うコムデのメンバーが使うためのアイテムでしたが、デザインに関わるメンバーだけでなく社内みんなが使うことのできるアイテムに展開していきたいという想いがありました。

次のステップとして目指したのが、「社内みんなで(コムデ以外も)SmartHR Blueを大事に扱っていく」ことでした。

コムデメンバーだけでなく社内のメンバーみんながSmartHR Blueの価値や色味の課題を理解し、一定に保っていくことで、さまざまな制作物を通して一貫した「SmartHRらしさ」を体現できるためです。

そこで「カラーチップとしても使うことができるアイテム」の制作に取り掛かりました。

全社員が使うこと、手軽に正確な色味を携帯・確認できる、などの理由から、まずは名刺裏面のSmartHR Blueをカラーチップと同じインキで印刷することに挑戦しました。

印刷の立ち会いに行った時の様子
株式会社サンコーさんにご協力いただきました!(撮影:chihari)

印刷の立ち会いに関して、詳しい様子はこちらにまとめています。

そして、こちらが実際にできた名刺です。

撮影:猪飼ひより(amana)

今回のリニューアルでは名刺の情報やデザインの変更はほとんどなく、変更したのは「SmartHR Blueの色をカラーチップと同じインキで印刷する」「用紙の変更」という点のみです。 一見地味なリニューアルですが、ブランド品質の安定化に繋がる重要な取り組みだと私たちは感じています!

名刺は手元で手軽に色を確認できる小さいアイテムでしたが、逆に大きいサイズでも色を確認できるアイテムとして、現在ポスターの制作を進めています。

オフィス内に設置予定で、社員の日常生活の中で、正しい色味に自然に触れてもらうことを狙いとしています。

また、カラーチップがB5サイズと比較的大きかったことが「色の印象を確認する上でも役に立った」とコムデメンバーにも好評だったため、屋外広告やイベント造作など、大きなサイズでSmartHR Blueを扱う際の見え方を確認するという用途でも役立てていく予定です。

ポスターはB0サイズ(1030mm × 1456mm)で制作中で、RGBやCMYKのカラーコードなど最低限の情報のみを記載しています。

FIXしたポスターのデザイン

検討の過程では、ポスターの情報やビジュアルだけでなく、「どこに設置すると社内のメンバーの印象に残りやすいか」を考え、実際に原寸大でプロトタイプを作成し、社内のあちこちに貼ってみて検証をしました。

デザインの検討段階の様子(Miro)
A3用紙を貼り合わせて作成したプロトタイプを、オフィス内のあちこちに貼って検証した時の一枚(オフィスの印刷機で簡易に印刷してみたものなので、色のムラがすごいですが...)。(撮影:chihari)

こちらの施策はまだ動き出してまもないことではありますが、社内で「SmartHR Blueっぽい色のもの」を採集することもやってみています。

Slackのチャンネルに集められた、さまざまな「SmartHR Blueっぽいもの」を集めたMiroのボード。
お米のパッケージから、自転車、漫画まで、さまざまなものが寄せられました。

まず私たちの色をよく理解するところから始めよう、と用例採集をすることに。 今の時点では、今後どう動いていくのかまだ決められていない部分も多いですが、この取り組みも一貫して「社内でSmartHR Blueの理解を深める」に繋がればいいなと思って取り組んでいることです。

SmartHRに入る前はもともと広告系の制作会社にいた私ですが、自社独自のカラーチップの制作などは今回が初めてでした。カラーチップってオリジナルでつくれるんだ〜!という驚き。

案件単位の制作とはまた違って、「ブランドの根っこを、より強く安定したものに育てていく」ような感覚で、カラーチップやその運用に取り組んでいます。

SmartHR Blueという「色」が、SmartHRのアイデンティティを表す大事な要素であるため、今後もさまざまな検証を重ねながら、SmartHR Blueをより大事に扱っていきたいなと思っています。

地道な活動の積み重ねがSmartHRのより良い認知につながっていくといいな〜!それでは〜👋

サムネイル撮影:猪飼ひより(amana)

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