こんにちは。Visional コミュニケーションデザイン室の土居です。
OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」のマーケティングに関わるデザインを担当しています。
今回はビズリーチ・キャンパスの「イベントバナー制作の工夫」を紹介します。現在、毎月40以上のバナー制作を1人で担当しており、クオリティを維持しながらバナーをつくるための工夫をまとめたので、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。
今から1年前の新卒2年目の中ごろに、前任のデザイナーから「ビズリーチ・キャンパス」の担当を引き継ぎました。
「ビズリーチ・キャンパス」では、企業様と共催で大学生の方に向けた就活イベントを開催しています。イベントは月に40回以上あり、イベントごとにバナーをつくっています。
毎回イベントのバナーをつくる時は、各企業様を担当しているカスタマーサクセス(以下、CS)のメンバーから相談があります。多い時は1日に6つの相談があり、情報の抽象度もまばらな中でデザインのクオリティを担保しながらバナーをつくる必要があります。
担当になった当初は、どのようなデザインの方向性やあしらいが「ビズリーチ・キャンパスらしい」か分かっておらず、このまま闇雲にバナーをつくってもサービスが持つイメージとズレてしまうと考え、まずは「ビズリーチ・キャンパスらしいデザイン」とは何か理解するところから始めました。
「どのようなあしらいが多いのか」「どの程度遊び心を入れて良いのか、逆に入れてはいけないものはどういったものか」「イラストを使う時はどういう時か」など、前任のデザイナーから引き継いだデザインデータをひたすら観察し続け、解釈していきました。
これらのデザインデータを、CSのメンバーから相談時にもらうキーワードをもとに分類してみたり、それらのキーワードをどう表現したのか過去のSlackをさかのぼったりして、理解を深めていきました。
そのような取り組みを続けていき「写真は1枚で目立たせて表現する」「繊細というより、勢いがあるような表現」というように少しずつ「ビズリーチ・キャンパス」らしいバナーの表現を言語化していきました。
CSのメンバーからバナーをつくりたいと相談があった時、その時点での情報は企業様の情報や、イベントのコピー、バナーのビジュアルを表す抽象的なキーワードで、具体的な完成形のイメージがあることは少ないです。
ですので、限られた情報からCSメンバーの意図や企業様の思いを汲み取って、デザインに落とし込む必要があります。
大事にしているのは、その企業様が学生の方にどんな企業と思われたいか、イベントでどんな気持ちになって欲しいか、イメージを膨らませることです。
よく行うのは企業様のホームページや採用サイトなどのリサーチです。事業の内容や幅広さ、ホームページに使われている写真や採用サイトのトンマナから、企業が何を押し出しているかを理解して、ビジュアルのヒントとしています。
例えば、「IT企業らしさ」を押し出している企業様の場合は、その企業様が押し出したい「IT企業らしさ」は何かを考慮します。
使用する写真1つとっても、「事業の幅広さ」を押し出しているなら社会に与えるインパクトをイメージできる壮大な写真を意識して使ったり、「働きやすさ」なら働く姿をイメージできるオフィスの写真を使ったりして、企業様が押し出したいイメージを考慮して写真を選ぶようにしています。
また、バナーでイベントに対する期待値を調整することも意識しています。バナーのデザインが企業様の想いや実態とかけ離れていると、学生の方がイベント前後で企業様にギャップを感じてしまうからです。
他にも企業様のロゴデザインを参考にしたり、過去にバナーを作成した企業様なら作ったものを見返したり、あらゆる情報からイメージを膨らませて、デザインに落とし込んでいきます。
次に、CSメンバーと協働する制作プロセスについてです。
CSメンバーから相談を受けたあと、早い段階でデザインを共有することで、アウトプットに対してイメージとズレがあるかどうかを調整することを意識しています。
企業様のイメージや想いから外れていないか、「ビズリーチ・キャンパス」らしさから逸脱していないか、学生の方が参加したくなる要素は強調されているかなどを考慮しながら作成し、相談から3日程度でデザインを共有します。
そのときに、イメージがズレていれば、新たにパターンを複数出して細かいニュアンスを調整しながら完成へ近づけていきます。
CSメンバーの意図を汲み取りつつ、より目的を達成できる形があればグラフィックだけでなく文言も提案して、一緒につくるように進めます。
例えば、『様々な業界の「働く」を見て、聞いて、体験する、体験型インターン』というコンセプトで開催されたイベントのバナーをつくったときには、「業界CAMP」というイベント名を決める段階から一緒に取り組みました。
何度も協議を重ね、サブタイトルや画像の色温度、レイアウトなどを調整しながらクオリティを高めていきました。
また多くのバナーをつくるなかでクオリティを維持するため、毎回バナーを納品する際には、必ずデザイナーチームのアートディレクターにも目を通してもらうようにしています。
担当を引き継いだ当初は、私もバナーづくりの経験が少なく、「文字のジャンプ率」「タイトルを目立たせる」など基本的なところで指摘をもらっていました。
このレビュー体制があったことで、自分がバナーづくりに慣れる前から、1つ1つのクリエイティブのクオリティを維持しながら、高速でつくることができました。
また同じミスを防ぐため、今までの指摘やミスをまとめた「QAチェックリスト」を自分で作成して、毎回バナーを納品する前にセルフチェックしています。バナーづくりへの慣れとこのリストのおかげで、現在は基本的な指摘をもらうことも減りました。
効率化の面では、毎回新たなデザインをつくらず、可能なものはテンプレート化して最小限の作業でつくれるような仕組みを整えています。
何度も開催されるシリーズもののイベントは、色のパターンを変えてすぐにバナーができるようテンプレート化したり、あらかじめいくつかのパターンを用意しておき、相談があったタイミングでCSメンバーにパターンを選んでもらったりして、効率よくバナーをつくれるフローを整えました。
このような工夫をしながら、今でもクオリティを維持しながら、毎月40個以上のバナーをつくり続けています。ほとんどのイベントで集客目標を達成することができており、CSメンバーからもバナーに対して嬉しい反応をもらいながら、楽しんでバナーづくりに取り組んでいます。
配属された当初は「バナーづくり」は、時間をかけず簡単にできるものだ、と考えていました。
けれどもいくつかバナーを制作していくなかで、その考えを改めるようになりました。
文字の近接や強調、要約、写真の扱い方、ジャンプ率、配色、コントラストの付け方など、これらを限られた小さなサイズで表現するのはとても高度なことで、バナー制作にはデザインの基礎が詰まっていると知りました。
CSチームが企画したすばらしいイベント、それらをパッケージングするのは私のつくるバナーです。このイベントバナーが「学生の方が今後キャリアを築くうえでの最初のきっかけ」となることを忘れないようしたいと思っています。
ビジュアルの印象一つで、興味のなかったイベントへの参加を促すこともできるはずです。反対に、少しでも印象が暗かったり写真に違和感があったりすれば、本来提供できたかもしれないキャリアのきっかけを失うかもしれません。
このような重要なきっかけづくりを担うべく、今後もより学びながら、事業部が目指すOB/OG訪問の文化づくりに貢献していきたいです。