ウエディングパークのデジタルマーケティング本部(以下、デジタルM)は、結婚式場の集客支援に向けた広告作成や運用を担っています。現在3名のデザイナーが所属しています。
私は今回、デザイナーとしてデジタルMの新商品である「セミオーダーLPプラン」を立ち上げ、販売方法や運用体制まで設計しました。
事業の中でデザイナーとしてさらに価値を出していくために、案件が生まれてから制作をするのでなく、案件自体を生んでいけるように商品を立ち上げました。
また、自社の利益だけではなく、業界の未来まで見据えて商品設計をしたのは自分にとってもチャレンジでした。今回行ってみたことを振り返ってまとめてみます。
私たちデジタルMでは、Instagramなどのデジタル広告運用や、公式サイトから切り出した訴求を検証するためのLP作成など、結婚式場のデジタルマーケティング全般を支援していくサービスを提供しています。
結婚式場は、デジタル広告の専任担当者を置けていない場合も少なくありません。
そこで、デジタルマーケティングの企画から運用までを全体的に任せられる存在として、私たちデジタルMを頼っていただいているのがサービスの全体像となります。
すでに業界No,1の契約数を持っていたデジタルMですが、その立場をより強固なものにするために、この半年間は私たちデザイナーも含めて、デジタルMチーム全員でこの目標にコミットしました。
一方で、結婚式場へのセールスは営業担当が行っていて、デザイナーはプロジェクトが始まったあとにLPを企画/設計する動きが中心になっており、式場数を増やすための直接的な貢献は行えていない状態となっていました。
ここから、デザイナーとして、式場数を増やすことにもっと直接アプローチできないかと考え始めます。
まず、「デザイナーの影響範囲を拡張していけないか? 」という問いを持ち、本来はどこまで影響していくべきなのかを考え直しました。
ここでは、すでにデザイナーが取り組んでいるLP設計の動きを起点として考えるようにしています。
今の時点でもLP制作は受注いただけていて、完全にこれを取りやめて新しいことを始めるのではなく、LPの価値をさらに強めていくことから考える方が早く価値に繋がるだろうと考えたためです。
方向としては、「提案時の新たな訴求をつくる」「受け皿(制作可能件数)を増やす」という2つの伸び方があると整理しました。
目先ではLPをつくることにもまだまだコストがかかっていて、ここの生産性を高められれば受け皿が増えるので、提案時にもLPプランを訴求しやすくなるはずでした。
さらに、当時のLP設計は企画から運用までをフルオーダーで提供していましたが、特に小規模な式場としては「もっと安くお手軽な形でLPを試してみたい」という要望があることも分かっていました。
生産性を高めることで、もっと安価なLPプランを提供できるようになるのではないかと考え、最終的にセールスとしての新たな武器となる商品に落とし込むことができると理想だと考えます。
そこで、これまでのLPの中でも成果につながっているパターンを洗い出し、テンプレとして簡易に実験できるような「セミオーダーLPプラン」という構想を企画しました。
式場が今までとは違う訴求をしたい時に、低コスト・短納期で新しい訴求をテストできる、選択肢を用意するべきではないかと考え、この設計を具体に落とし込んでいきました。
補足すると、自社の利益だけを考えるなら、既存のフルオーダープランのまま制作工数だけを削り、価格を据え置く方が簡単かつ増益が見込めます。
しかし、私たちウエディングパークが目指しているのは「四方良し」の実現です。式場、カップル、そして業界全体を幸せにすることも体現するために、単なるコストカットではなく、「新商品の開発」を選びました。
セミオーダーLPプランの開発のために、これまでつくってきたLPの中で効果が出やすいフォーマットを分析して、勝ちパターンを見つけることから始めています。
私はテンプレート化の一番の目的は、成果の再現性をつくることだと思っています。ぱっと見の見栄えの良さや、工数の削減ができるという価値はその次に担保すべきことです。
式場の目線では、そのテンプレートを使うことで成果が保証されるからこそ “品質の高いLP” だと言えるはずです。なので、各式場の目的や、それらが本当に成果として満たされているかどうかを確かめていき、結果につながりやすいLPのパターンを分析しています。
分析の結果、大きくLPプランの使われ方は3つのパターンにまとめられそうなことが分かってきました。
これらのパターンの中で、効果が分かりやすく出ていて、各式場が載せたい情報の差が少ないものとして「フェアの訴求」をしたい時のLPをテンプレにしていくことを決めました。
訴求や情報の流れが分かってきたので、運用も見据えてテンプレートに落とし込んでいきます。
テンプレートをつくるためにも、改めて効果の出ているLPを並べてみて、必要な情報項目を整理しました。
結果として、フェアの訴求をするときは「お付き合いを始める時」と同じような流れでコミュニケーションを取るのが良さそうなことが分かってきます。
例えばいきなり「私と結婚するといいことがある」と言われてもまずは性格や価値観が合っているのか、どんな人なのかを知りたくなると思います。
結婚式場選びも同じように「このフェアに来るとこんなメリットが!」とPR的に始めていくのではなく、写真やこれまでフェアに参加した人の声などで良さを感覚的に理解してもらいながら、最後にメリットを伝えていく方が自然と問い合わせに繋がっていくのだと整理できました。
モリモリに情報量を入れると離脱することも分かってきたので、「会場紹介」と「フェア参加者の声」はどちらかしか使わない、など入れ込む情報の調整も判断しやすいようにしています。
これらの考えで、テンプレートの情報をまとめていきました。
また、式場によって押し出したいトーンが違うことも分かったので、「華やか」「シンプル」「カジュアル」という3つのパターンのフォーマットを用意して、式場に選んでもらえるようにしました。
最終的に、テンプレはSTUDIOに落とし込んでいます。セミオーダーLPプランでは、基本的にデザイナーは各コンポーネントをいじることはしないことにしていて、パズルのように情報を組むだけでLPが設計できるようにしています。
(もしさらにアレンジがしたい式場がいた場合は、フルオーダープランに切り替えてもらうように線引きをしました。)
既存のフルオーダーLPプランでは、Figmaでゼロからデザインデータを作成していました。この手法はデザイナー・営業・式場の3者の完成イメージのズレが生じやすく、工数が膨らみやすい部分でした。
セミオーダーLPプランでは、最初からSTUDIO上で着手することでデザイナーの作業工数を削減できることに加えて、あらかじめ最終成果物をイメージしやすくなることで式場様とのコミュニケーションも驚くほどスムーズになり、最も重かったデザイン確定までの工数を劇的に削減することに成功しました。
セミオーダーLPプランの提供準備ができてきたので、これをセールスのタイミングでも提案できるように営業と連携をしていきます。
営業資料の中でも、これまでのLPプランとの違いが分かるようにセミオーダーLPプランのイメージを組み込みました。
また、実際に運用が始まった時にも、セールスが簡単に情報を回収してこれるようなフォーマットも用意し、コミュニケーションコストをできるだけ下げるようにしています。
このような流れで、セミオーダーLPプランの提供を始めることができました。
結果として、セミオーダーLPプランには多くの引き合いをいただくことができ、この提案がフックとなって他プランの契約も増加しています。
最終的にチームとして追いかけていた契約式場数の目標も無事に達成することができ、受け皿が増えることで維持費での増収も叶えることができました。
今回、デザイナーとしてより直接的に事業課題を解決していくために、新商品の企画から運用設計までを推し進めていくことができました。
ウエディングパークでは、事業成長をリードするデザイナーが求められています。私は、デザイナーとして事業成長をリードするためには、まずは制作担当という役割を超えていくことが必要だと考えています。
日々のデザイン活動をどうスケールさせれば、事業目標の達成に届くのか。この問いに向き合うことで、モノをつくる力を持つデザイナーは、より事業を動かしていけるのだと学べました。
今回の取り組みは、あくまでデジタルMとして提供するサービスの一部の課題解決です。さらに関わる範囲を広げて、デジタルM全体が再現性をもって成長し続けるような状態に近づけていければと思います。