Visionalのデザイナーの柿野です。ビズリーチ事業部で求職者様向けのクリエイティブを担当しています。今回は所属チームで行っている「デザインの幅を広げる」ためのインプットの取り組み、「Weekly Input Time」を紹介します。

私たちのように日頃から多くのクリエイティブを制作していて、「デザインの幅が狭い」「チームでのインプットの仕組みがない」といった課題を抱える方々の参考になったら幸いです。

私が所属するチームは新卒で入社した20代のメンバーが中心で、経験が少ないことと、「ビズリーチ」のメインユーザー層(30〜40代)とは属性が離れていることで、ユーザー層により伝わる表現に苦戦していました。

唯一、チーム内にいたユーザー層に近いアートディレクターが、クリエイティブのディレクションをすることで質を担保していましたが、その方が体制変更でチームから抜けて以降、どうしてもチーム全体で「デザインの幅が狭い」状況に悩んでいました。

その結果、新しい表現のクリエイティブ作りになかなか着手できず、過去のクリエイティブを使い回すことも少なくありませんでした。

過去のクリエイティブを引用して、バナーを作ることもしばしば

チームで成果をあげられず、どんどんチームも疲弊していくことに危機感を抱き、チームでデザインの幅を広げるためのインプット機会として「Weekly Input Time」を提案しました。

「Weekly Input Time」を始めるにあたって、まずは会のゴールを「インプットをチーム単位で行うことで、アウトプットを成果につなげる」ことに設定しました。

私のチームでは毎日30分の夕会をしており、「Weekly Input Time」をそのうち毎週木曜日に実施することに。各回でインプットのテーマを設定し、チームメンバーが交替制でプレゼンを担当します。

大まかな流れは、15分で発表者はテーマに沿って「良いと思った」デザインを持ち寄りプレゼンし、残った時間でチームメンバーでそれぞれの気付きやデザインについて議論します。この15分の流れを1セットとし、2回繰り返します。

当初は写真共有サービスの「Pinterest」を使って、ビジュアルを集めて口頭でプレゼンをしていました。現在はプレゼンや議論の内容を後で見返せるよう、Googleスライドを使って運用しています。

特にこだわっているのは事前の言語化です。発表者は選んだデザインの感想や気付きに加えて、「ビズリーチに活かすには」を事前に言語化しておきます。

「多様性(ジェンダー)」がテーマの回のスライド。事前にデザインについての言語化を行う

プレゼンの後、チームの議論で発表者以外も気付きを言語化したり、ビズリーチで活かせるアイデアを出していきます。「ただ感想を話して終わり」ではなく、議論で出たアイデアはスライドに直接記録するようにして、チームの知見として残せるよう工夫しています。

ときにはその場で新しいキャッチコピーのアイデアができることも

毎週議論を重ねた結果、表現のための引き出しが増えたことで新しいデザインや訴求も生まれ、着実にチームのデザインの幅が広がっていることも実感しています。また「ビズリーチらしいデザインとは何か」を話すようになり、「ビズリーチ」のブランドへの理解も深まりました。

訴求のデザインも、Weekly Input Timeの成果の1つ

通常業務があると、インプットの仕組みをつくっても疎かになりがちです。「Weekly Input Time」は継続しやすいように事前の準備を減らして、気軽に参加できることも意識しています。

発表者の事前準備は、スライド1枚にして、言語化するポイントもデザインの感想と「ビズリーチで活かすには?」の2つにしています。時間の使い方も、1スライドのプレゼンと議論に15分という大枠だけ決め、そのなかでの時間配分は基本的には自由とし、ゆるめのルールにしました。

毎回盛り上がりを見せるWeekly Input Time

こういった工夫の甲斐もあって、メンバーも気軽に毎回参加でき、1年以上継続している取り組みとなっています。これまでの「Weekly Input Time」でまとめたスライドは約250枚に達しました。

「Weekly Input Time」を重ねるにつれて、チームのアイデアがたくさんストックされてきました。クリエイティブを作る際は、よく過去の「Weekly Input Time」を見返しており、今ではチームに欠かせない資料になっています。

Weekly Input Timeに対するメンバーの声

「Weekly Input Time」にはマーケティングメンバーも毎回出席していて、マーケティングの目線が入った新しいクリエイティブのアイデアも生まれています。

取り組みを始めてから、クリック率やCVなどの数値も徐々に向上しています。また、作ったクリエイティブに対してSNSで好意的な感想を見かけるなど、定量/定性ともに成果が出ています。

なかでも特に印象的だったのが、他事業部のメンバーから言われた「知り合いがバナーを見て転職活動を始めた」「人を動かすクリエイティブってすごい」という言葉です。「デザインの表現一つで、こんなにも世の中に与える影響は変わるんだ」と改めて実感しました。

着実に成果につながっている「Weekly Input Time」は現在も継続しています。今後は、事前準備の負担を減らしより参加コストを下げたり、他のチームを巻き込むなど改善を続けて、これからもユーザーの心を動かす新しい訴求やクリエイティブを生み出していきたいです。

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