2023年6月に開催された社内アワード「MIXI AWARD 2023」。AWARDのロゴやキービジュアル、受賞者に贈られるトロフィーなど各種アイテムから会場デザインまでアートディレクション・デザインを担当しました。
MIXI AWARD 2023での制作過程を振り返りながら、企業理念浸透に繋がるビジュアルコミュニケーションデザインの考えや試行錯誤についてまとめたいと思います。
MIXI AWARDは、MIXIで毎年開催されている社内アワードです。
昨年はオンラインでの開催でしたが、今年は受賞者とノミネートされた方は会場で参加し、それ以外の従業員は配信で観覧するというオフライン/オンラインが混合するハイブリッド開催となりました。 さらに今回のアワードにおいては、MIXIの企業理念であるPMWV (パーパス、ミッション、ミクシィ・ウェイ、バリュー)の刷新後初めての開催となることを踏まえ、「理念浸透」の位置付けを強く期待されていました。このPMWVが選考基準の軸としても組み込まれています。
私たちはMIXI AWARD 2023のアートディレクション・デザインを担当することになり、企画を主催する人事からは以下のような課題や目的を共有されました。
これらを踏まえ、アートディレクションを担当する立場としてどのように関わるべきか検討し、以下のクリエイティブ目標を設定しました。
ただMIXI AWARDの雰囲気を盛り上げる演出を考えるのではなく、どうすれば「理念(PMWV)が浸透するか」を考え、前後の体験を踏まえたビジュアル・ツールを制作すること
MIXI AWARDとしての独自性を高め、参加者の記憶に残り続けるものとなること
この2点を目標としながら、アートディレクション・デザインを進めていきました。
まずはじめにどのようなコンセプト・ビジュアルにしていくべきかを検討していきました。
メインとなるロゴ・キービジュアルを作成し、それをトロフィーやピンバッチ、会場デザインなどに展開させることで一貫したビジュアルコミュニケーションを目指します。
上記で整理した課題や目的とクリエイティブ目標を踏まえ、以下の三点を軸にビジュアルを制作しました。
ポエムではなく、コンセプトとして機能しているか 「アワード」から連想される華やかさなどのイメージをビジュアル化させるのではなく、理念浸透の場として「MIXI AWARD」を存在させられるか
MIXIらしい人格を備えているか 主要なイベントの1つとして会社の空気感を捉えられていて、MIXIらしいものだと認識してもらえるか
アワードとしての独自性を備えているか MIXIらしさは捉えつつ、このイベント独自の差別化ができているか
いくつかの案出やブラッシュアップを経て、MIXI AWARD 2023ではこちらのロゴ・キービジュアルが採用されました。
企業理念の浸透を目的に据えた時に一番懸念していたのは、「理念をただ押し付ける一方通行のコミュニケーションとなってしまうのではないか」ということでした。そういった押し付けがましいものではなく、自然と受け入れられるような空気感の醸成を目指しました。
キービジュアルで配置しているオブジェクトは、企業理念やその説明の中で使われている言葉をモチーフに作成したものです。
言葉のイメージを抽象化して形にすることで、企業理念の先にあるMIXIらしさへとつなげていきます。
ロゴマークは、今回のターゲットである「アワードの受賞者/それを今後受賞を目指す人たち」がMIXIを形作っていくという意味を込めて、「A(AWARDの頭文字)」を組み合わせて表現しています。
来年、再来年と状況によって開催する内容や表現も変わっていくかもしれませんが、そうなっていっても受賞者が誇り続けられるように、このマークだけはシンボルとして変わらず残り続けられるようなものを目指しました。
次に決定したロゴ・キービジュアルをもとに、会場デザインと受賞者に贈るトロフィーをはじめとした各種アイテムの制作を進めていきました。各種アイテムをつくる上で意識していたのは以下の点です。
当日だけでなく、その後も記憶に残り続けるもの
アイテムを通して、企業理念やMIXIらしさを身近に感じられるもの
配信を見る人にとっても効果的で、印象に残りやすいもの
会場のデザインから関わるのは、今回が初めての取り組みとなります。
キービジュアルとMIXIのロゴを意識し、会場の左側を赤、右側をオレンジのライトで照らすことにより、MIXIらしさを空間から感じ取れるようにすることを目指しました。
会場の外には受賞者が写真撮影を行うためのフォトスポットを設置しました。
キービジュアルをあしらった背景と受賞者がより映えるよう黒を基調とした背景の2種類を用意し、プロのカメラマンによる撮影も実施。
フォトスポットで撮影した写真を活用し、MIXIのメディア「ミクシル」の記事などMIXI AWARD 2023開催後も使用できる受賞者紹介用のビジュアルも作成しています。ここまでの展開を想定しておくことで、イベント外でも一貫したビジュアルコミュニケーションを試みました。
はじめに、アワード受賞者に贈られるトロフィーについて。 今回制作したトロフィーは、キービジュアルをあしらったデザインとなっており、新人賞・チーム賞など、賞毎に個別のフォルムで制作されています。
過去のアワードで制作されたトロフィーは、クリアガラスに年度・賞タイトルが彫刻されたものとなっていましたが今回は理念浸透を意識したキービジュアルを作成したので、そのビジュアルがトロフィーでも残せるようカラーで印刷ができるトロフィーを選定しました。
ピンバッチは今回初めて採用したアイテムであり、アワードのロゴがあしらわれたデザインとなっています。
アワード当日に胸元を飾ることで受賞者らしさを演出することに加え、その後も社員証のストラップ等に付けられたりと、当日の情景を思い起こしやすいツールとなることを意図して制作しました。
MIXI AWARD 2023では、オンラインで参加される社員向けにライブ配信も実施していました。
そのなかで、キービジュアルで制作していたPMWVモチーフのグラフィックを演出として表示するなど、オンライン・オフライン問わず、PMWVを身近に感じられるようなインタラクティブな工夫を凝らしました。
MIXI AWARD 配信時の様子
こちらにMIXI AWARD 2023での配信における試行錯誤がまとめられているので、あわせて御覧ください。
今回のMIXI AWARDの開催を一緒に進めていた人事の方からは、以下のようなコメントをいただいており、企業理念浸透という目的に対してアートディレクション・デザインから貢献できる部分は多かったと感じています。
また、理念をただ押し付ける一方通行のコミュニケーションではなく、ビジュアルを見ただけで自然と理念を思い起こさせる「拠り所」となるようなデザインを作ることができたように思います。
今回作成したロゴが来年以降も使用され、MIXI AWARDがより理念の浸透やMIXIらしさを持ち続ける独自性を持ったイベントとしてあり続けられるようにクリエイティブ面で貢献していきます。
また、今回のMIXI AWARDでのアートディレクションをきっかけに、今後も企業理念の浸透に向けたクリエイティブ制作に携わっていくことになりました。これからもビジュアルコミュニケーションデザインでMIXIの企業理念をより身近に感じられ、MIXIで働くことが楽しく、誇らしく感じてもらえるように取り組んでいきたいと思います。