バクラクのコミュニケーションデザイナーとしてマーケティングデザインを推進しているkougaです。
私はバクラクの新プロダクトや新機能のウェブサイト、プレスリリース、営業資料などのコミュニケーションデザインを担当しています。
グロースフェーズ、マルチプロダクト、かつAIプロダクトという難しい要素が揃ったバクラクのコミュニケーションデザインを どのように考えて推進しているのか。活動の裏側をまとめました。
毎月のように新プロダクトが生まれる環境で、ベストなリリースコミュニケーションの設計や検証をリードするのがバクラクのマーケティング領域のデザイナーの役割です。
この活動を進める上で、コンパウンドスタートアップ特有の難しさに日々向き合っています。
バクラクはSaaSではなく、AIエージェントで業務を自動化するサービスです。
バクラクはバックオフィス向けのAIエージェントの中ではカバー範囲も広く、高い自動化率が強みです。ただAIと訴求するだけでは、バクラクの強みを伝えたり、他社との差別化もできません。
「AIプロダクトのコミュニケーション」という市場全体でもまだ最適解がないアプローチを模索していくのがバクラクのマーケティングデザインです。
さらにバクラクでは、毎月のように新しいプロダクトや新機能が生まれていきます。これらのすべてのリリースコミュニケーションを設計して、クリエイティブに落とし込んでいく必要があります。
プロダクトによってステークホルダーも異なり、ターゲットや課題やプロダクトの機能の理解も難しいため、それらをうまくディレクションしながら進めていかなければいけません。
このような状況で、私は毎月のように生まれるAIプロダクトのサービスサイト、営業資料、プレスリリースをデザインしています。意識しているのは「顧客ドリブンな設計」「AI体験をクリエイティブに変換」「AIドリブンな爆速開発に遅れを取らない」という3点です。
具体的なリリースコミュニケーション設計の事例から、これらのポイントに沿った動き方を解説します。
バクラクでは新プロダクトのリリースの1〜2ヶ月前に、担当のPdMまたはPMMから、私が所属するブランドマーケティングチームに相談が来ます。
バクラクでは、リリースの前にベータ版での商談から「売れる」ための1対1のコミュニケーションはすでに検証されています。ここからマーケティングコミュニケーションを「顧客ドリブン」に設計するのが私の役割です。
リリース相談の時に、「プロダクトが想定しているターゲットや課題」「実際ベータ版でどのような売れ方・反応をされているか」を伝えてもらうようにしています。 (*もしこの情報がまとまっていなければ、こちらからヒアリングするようにします。)
その後、プロダクトのデモ環境に入ったり、商談動画を確認しながら、「どこが価値になっていて売れているのか」をキャッチアップします。
クリエイティブをつくる前に、WHOとWHATを確認することが重要です。私はいつも、以下のようなフレームワークで情報を構造的にまとめるようにしています。
設計はいつも「顧客ドリブン」で考えます。
BtoBプロダクトにおいて初めに顧客と直接接点を持つのは商談になるので、顧客ドリブンとは商談ドリブンとも言えます。
私は商談での顧客の感情や理想的な会話から逆算して、1stコミュニケーションを考えるべきだと思ってます。
例えば『バクラクヘルプデスク エージェント』という社内問い合わせを自動化できるサービスを例に挙げると、まずはPdMから商談時の様子を聞きながらWHOとWHATを整理しました。
このサービスのターゲットは「質問に疲れ果てている経理担当者」や「社内マニュアル管理者」などでした。商談で刺さっている会話をもとに、WHO =「中でも、Slackを使用しているユーザー」WHAT=「Slackで質問し、完結する」という項目が整理できました。
このWHOとWHATさえ精度高く整理できれば、クリエイティブに落とし込むこともスムーズにできます。
商談で伝えることと、1stコミュニケーションで伝えるべきことは分ける必要があります。
バクラクヘルプデスク エージェントは他のバクラクシリーズとの連携も優れていますが、サイトなど1stコミュニケーションでは「バクラクシリーズ連携」の訴求の優先度は下げています。
むしろ既存顧客との商談資料では「バクラクシリーズ連携」の訴求を強めたり、WHOに合わせて訴求の優先度を調整しています。
このように徹底的に顧客ドリブンで考えると、ブレないコミュニケーション設計ができ、この後のクリエイティブへの落とし込みにも活きていきます。
商談でなぜ売れていて、誰に届けて、何を伝えるべきかを押さえた上で、クリエイティブに変換する時には「AI体験をいかにわかりやすく伝えるか」を考えます。
まだまだAIプロダクトの最適なコミュニケーションは市場全体で見えていないので、この変換もデザイナーの力の見せ所です。
AIプロダクトの価値は、個別最適な機能の説明ではなく、業務プロセスの変化という全体最適な視点から語るようにしています。
バクラクのサービスサイトや営業資料では、至るところで業務プロセスがどのように変わっていくのかを伝えています。AIがどれだけ技術的に素晴らしいかを語るよりも、顧客目線で「これを入れるとどう業務が楽になるか」を語ることが重要だと思っています。
(これはあらゆるバックオフィス業務を一新していくプロダクト群を持っている、バクラクだからこそできるコミュニケーション手法でもあります。)
本当に業務プロセスが変わりそうだと思ってもらうためにも、ユースケースをディティールまで伝えることが重要です。
バクラクのサービスサイトでは、一つひとつのイラストやモーションの内容を、実際のユースケースに沿って具体的に記入するようにしています。
支店を持つような大企業に刺さっているプロダクトなら、企業名も「xx社」と書くのではなく「札幌支店、 仙台支店」のように書く。
経費精算での領収書の申請名も「サンプル」などと書くのではなくて、「4月名古屋出張」と書くことで、現場の経理担当が具体的にイメージできる。
ディティールにこだわればこだわるほど、ユーザーが “自社ごと” として捉えられるようになります。
AIエージェントがどこまで何をやってくれるのかを伝える時には、静止画だけでは理解しづらいのでモーションで説明するようにしています。
とは言っても、そのままプロダクトの動画を差し込んでも1stコミュニケーションの段階ではよく分からないはずで、その匙加減がポイントです。 私は、人間はWeb上のコンテンツをそこまで集中して見ないだろうという前提でデザインをします。動画ならば、1つあたり8秒までに必ず押さえます。
モーションの内容は実際のプロダクトからデフォルメして、確実にユースケースが伝わることを重視しています。前述したように、モーションの内容はサンプルデータではなく、具体的なユースケースが想像できるものにします。
また、実際のUIの意図や体験を細かく確認するようにします。UIデザイナーと何度も会話して、モーションも見せながら調整をします。
直感的にユースケースが伝われば価値を感じてもらえるはずなので、動画のデザインにはしっかり時間をかけています。大体、キャッチアップとサイトデザインに6〜7時間、動画のデザインに6〜7時間と、同じくらいの割合で取り組んでいます。
バクラクでは、AIドリブンな爆速開発が行われています。新機能や新プロダクトがものすごいスピードで開発される中で、常にセールスやマーケが遅れを取らないようにしなければいけません。
なのでマーケティングデザインにおいても、ここまでにまとめたようなプロセスをどれだけ爆速で進められるかを一つのテーマとしています。
一つひとつのリリースコミュニケーションの設計速度を上げるために、WHOやWHATを固めた後のサイトデザインや、お役立ち資料のカバー画像などはテンプレート化しています。
モーション作成もAfter Effectsといった操作の難易度があるツールだけではなく、制作物に応じて使用するツールを使い分けています。
例えば、以下の動画はRemotionとClaude Codeで動画制作をしていて、ツールを一切使わないフローで属人化の解消にも役立っています。
その他にもJitterやSplineといった新しいサービスも積極的に取り入れて、動画制作の効率化と脱俗人化を推進しています。
このような3つのポイントを押さえて、新プロダクトや大規模な新機能のコミュニケーションをつくり続けているのが、バクラクのマーケティングデザイン領域です。
バクラクは、毎月のように新プロダクトが生まれるマルチプロダクト環境です。AIプロダクトという市場にまだ最適解のないコミュニケーションを、顧客ドリブンな設計で検証し続けられます。AIドリブンな爆速開発に遅れないよう、仕組みづくりにも取り組んでいます。
さらに、バクラクのデザイナーの面白さは、デザインに閉じず事業の成長に踏み込めることです。アウトプット数ではなく、商談や契約金額といった売上に近いKPIを目標に据え、PdM・マーケ・セールスと連携しながら「デザインでどこまで目標の角度を上げられるか」を追求できます。
事業も組織も常に変化し続けるからこそ、デザイナーの役割も固定化されず広がっていく。「組織の目標達成は自分のデザインのおかげだ」と胸を張れる手応えが得られる環境で、これからもマーケティングデザインを突き詰めていきます。