LINE Fukuokaでクリエイティブ室 室長をしている峰尾です。 2017年の1月に入社してからLINE Fukuokaのデザイン組織立ち上げを行ってきました。
デザイン組織の体制は以下のようになっており、現在は合計で70名ほどになりました。
クリエイティブ室内での役割分担は以下のようになっています。
70名を超えたLINE Fukuokaでは、スキルや年齢はもちろん、国籍まで多様なメンバーになってきています(以下は、タイと韓国出身の4人のデザイナーにインタビューをしたもの)。
クリエイティブ室の人数が拡大する中で出てきたさまざまな問題について、LINE Fukuokaなりの取り組みをまとめていこうと思います。
(デザイナーから、気づけばマネージャーをやっていた方も多いかと思います。私もその一人です。デザイン組織を大きくする上で、LINE Fukuokaの取り組みが少しでも参考になると幸いです。)
2021年末ごろからクリエイティブ室の人数が増えるにつれ、上記のようにチームが分かれていき、マネージャーやスペシャリストなどの役割分担もできてきました。
一方で、役割やチームが細分化されてきたからこそ、以下のような問題が出てきました。
- 「これは誰が決めると良い?」といった、意思決定の範囲に関する問題
- 業務が細分化されたゆえに、個人のキャリアパスが描きづらくなる
LINE Fukuokaでは、新規事業から、単発のイラストまで幅広い案件を担当しています。
場合によっては「新しく人を採用をしないと、この案件は受けられない」なんてこともあり、誰がどんな意思決定ができるのかが不明確な状態になっていました。
そして、1on1などでも、個人のキャリアについて相談されるようになってきました。
特に、デザイナーとしてスキルが高いメンバーから「マネージャーになるしかないんですか」「何をしたらより評価されるんですか?」という声が上がっていました。
そのような、「権限移譲」や「キャリアパスの描きにくさ」の問題に対して、クリエイティブ室としては、以下のような方針で、施策を打ちました。
- 事業がより成長するようにするように、デザイナーの動きやすさをつくる
- マネージャーだけが成長の道にならないように、さまざまな専門性がきちんと評価される制度に
個人的にはプロダクトをつくっているような感覚で、LINE Fukuokaのクリエイティブ室にいるメンバー(ユーザー)がより働きやすく、結果として事業も伸びて、という状態をつくろうとしました。
具体的には、以下のような取り組みを実施。
- 意思決定範囲の可視化 + デザイン指標の作成
- 各役割ごとに、伸ばすべきスキルの可視化 + サークル活動
先ほどのように「これは私が進めてもいいのでしょうか?」といった問題は、誰がどんな意思決定をできるのかが決まってないことが原因だったので、役割ごとの意思決定項目を可視化し、クリエイティブ室全体に共有しました。
そして、権限移譲した後も、それぞれの役割が十分に「良い」と思えるものをつくるために、「デザイン指標」もこのタイミングで作成しました。
具体的なディテールへのこだわりはこちらに一例を載せています。
こうして、意思決定範囲を可視化しながら権限移譲を進め、権限移譲してもチームとしての動きがバラバラにならないように、デザイン指標の浸透を進めていきました。
また、キャリアパスが描きづらい問題に対しては、デザイナーやマネージャーに求められるスキルや、得意不得意の可視化を進めるとともに、伸ばしたいスキルを身につける場として「サークル活動」をスタートしました。
スキルの可視化については、コンセントさんの技術マトリクスや、宇野さんがクックパッド時代に行ったスキ・キライのチャートをつくった話などを参考にさせていただき、クリエイティブ室独自で作成しました。
もちろんマネジメント視点で、スキルの把握や配置の検討に使うのもありますが、あくまで目的はメンバー自身が目標を叶えるためです。
そして、可視化するだけではなく、伸ばしたい箇所を伸ばせるように、サークル活動という名前の取り組みを行っています。
サークル活動については、こちらに詳しくまとめています。
マネージャーしか成長の道がないなんてことはもちろんないですが、事業会社のデザイン組織に所属しているとどうしてもそう感じてしまうこともあるのが現実です。
そのためLINE Fukuokaのクリエイティブ室では、権限移譲から、スキルの可視化・評価への適用まで組織制度からも「さまざまな成長の方向性がある」というメッセージが伝わるようにしています。
スキルが可視化され、デザイナーは動きやすくなり、その結果事業の結果も出て、会社としてもよりデザインに投資ができるようになっていくことを目指して、これまでお伝えしたような取り組みをしています。
組織デザインに興味がある方や、マネジメントについて悩んでおられる方は、ご相談に乗れるかもしれないので、Twitterなどにご連絡をお待ちしています。