こんにちは。Visional コミュニケーションデザイン室の友清です。主に「ビズリーチ」の求職者様に向けたオンラインマーケティングに関わるチームで、デザインを担当しています。
今年「ビズリーチ」と人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズの合同で、大規模な交通広告施策を行いました。首都圏をはじめ全国の駅構内やビルなどに広告を展開しました。
普段はオンライン広告やLP、バナーなど、オンライン上で展開されるクリエイティブをつくることが多いので、このようにオフラインで多くの人の目に触れ、エリアや場所の特性に合わせてクリエイティブを調整する必要のある交通広告のポスターやサイネージのデザインを担当して、とても多くの学びがありました。
また、多くの媒体のメッセージの検討からデザイン、制作進行、入稿までをほぼ1人で担当したことで、大規模で進むと修正の効かないプロジェクトを進める際のポイントにも気づくことができました。
今回は、そんな交通広告のデザインについてまとめてみようと思います。
施策は「ビズリーチ」のCMへの接触回数を増やし、効果を最大化させて、サービスを多くの方に使っていただく目的で行いました。
すでに「ビズリーチ」は、企業様・求職者様ともに採用・転職サービスである認知はされていたため、次は機能の認知をゴールとして交通広告施策が始まりました。施策は社内のクリエイティブディレクター、アートディレクターらで構成されたチームで動いていくことに。
スケジュールはCM制作と同時進行だったこともあり、短い期間で訴求内容を考えて、クリエイティブに落とし込み、データを納品しなければなりませんでした。
まず、全クリエイティブに共通する訴求の方向性を決めていきます。
特に重要なポイントはターゲットに「ビズリーチの何に価値を感じてもらうか」でした。
エリアによって異なる「ビズリーチ」の認知状況を踏まえて、ターゲットごとにメッセージの方向性を検討する必要がありました。
検討の際は、CMと同期間に展開するため、CMと交通広告の印象が違わないようCMと一貫したメッセージにしなければなりません。
メッセージの伝わるスピード、インパクト、CMとの接続などに鑑みて「スカウトを受け取る体験と、そのときの感情を訴求するパターン」にメッセージの方向性が決まりました。
メッセージの方向性が決まったところで、デザインの方向性を決めるために、シンプルなラフをミーティングに持ち込みます。CMの内容が定まらないなか全員が手探り状態だったので、議論を進めるため、とにかく多くのパターンを持っていき、ある・なしの共通認識を作っていきました。
広告を展開する媒体もさまざまで、ポスターは単体なのか、複数枚組みなのか、サイネージとポスターの組み合わせなのかで、伝えられる情報量や伝え方は変わります。展開する媒体に合わせて「ポスターのラフ」「サイネージのラフ」のようにラフをつくりました。
つくったデザインをスライドにまとめて、メンバーとデザインを絞り込んでいきます。
ラフで大まかなデザインが決まった後は、コピーのチューニングとより具体的なデザインを行います。最適なデザインを選択するために、コピーや背景色、レイアウトなどを細かく変えて、これも多くのパターンを出していきました。
交通広告は目視される時間が短い性質を意識して、文章を読んでもらうというより、できるだけ文字情報を減らし、キーワードを印象に残すことを意識します。
「ビズリーチ」のサービス名一つをとっても、「ロゴよりもカタカナの『ビズリーチ』の方が認知されていて、かつ理解のスピードが速いので、サービス名はカタカナで入れたい」「ただ、コピーに入れると文字数が増えて、メッセージが伝わりづらくなるので、検索窓にして『ビズリーチ』を入れよう」など、一文字単位で議論を重ねました。
デザイン面では、出来るだけコピーが目立つようにレイアウトを組み、そのバランスを見ながら、再度コピーの言葉、文字数を調整するといった具合で、コピーとデザインを往復しながら進めていきました。
エスカレーターならではの見せ方や、柱が並んでいる場所での見せ方など、現地に足を運んだりしながら、具体的にイメージをして制作を進めました。
複数のポスターを掲示できる場合は、空間の見え方も加味します。
柱など、1カ所で広告面やサイネージを組み合わせて広告を展開できる場所では、その場所ならではのメッセージの届け方も模索します。
複数の訴求を組み合わせて、サービスで得られる体験がより魅力的に想像できるようにしました。
クリエイティブ制作の参考にするため、掲載前には都内の掲出場所に足を運ぶようにしました。人通りが多いか、人が止まる場所か、場所はひらけているか、明るさなどをチェックします。
こういった場所の特性に合わせて、メッセージの届け方を工夫できるのが、交通広告の面白さだなと感じます。
デザインが決まったら、なるべく実物に近い大きさで見え方を確認するようにしました。
A3用紙に印刷したものをつなぎ合わせて、人の目線はどのあたりに来るか、文字が大きすぎて読めなくなっていないか、人物の見え方は問題ないかなど、原寸でないとわからないことを確認します。
入稿が済んだ後は、印刷所から色校正が送られてきます。使用する紙や、印刷所によって色の出方が異なるため、意図した色味が再現されているか細かく確認して、調整の指示を出します。
納期が迫ってくるなか、各媒体に完成したクリエイティブを納品していきます。
交通広告はデータ上でクリエイティブが完成しても、完成から納品までに媒体ごとに複数の工程があります。
また、交通広告は媒体ごとに納品するクリエイティブが違うのはもちろん、デザインが同じでもデータ形式が異なったり、細かな入稿規定があったりします。それらを一つ一つ確認しながら入稿作業を進めました。
オンライン広告とは違い、納品してしまえば修正がきかず納期も厳守のため、ミスがないように一つ一つ納品をしていくのは、プレッシャーでした。同時進行だった「HRMOS」の交通広告を担当していたデザイナーと毎日励ましあいながら最後までやりきれたのは、今振り返れば良い思い出です。
無事に納品作業を終え、交通広告が展開されたタイミングで、掲載前に行けなかった遠方にも視察に行きました。
ある駅には、「HRMOS」と合同で12mものポスター広告が張り出されました。
「ひらけていない場所のため至近距離から見る大型広告は、文字がかなり読みづらいので、ビジュアルを大きくしてよかった」「文字が大きすぎると、文字が形として認識されてしまい、情報として認識されない」など、現地で初めて気づくことも多かったです。
今回の施策を通じて、時間帯によって変動する照明や人通り、掲載媒体の特性を活かしたクリエイティブ展開など、オンラインの広告とは違う観点で制作する交通広告の難しさを実感しました。
プロジェクトを進めるなかでも、納品までのフローが非常に多く、修正ができない交通広告だからこそ、最初に確認しておくべきことに気づけたのも新たな学びです。
プロジェクトメンバーとの役割のすり合わせや、物理的な出社が必要となる色校確認のスケジュール確保などは、プロジェクトの立ち上げ時から意識できているともっと効率よくできたなと思っています。
場所や媒体の特性を活かしてメッセージやデザインを工夫し、いくつもの工程を経て掲載される。それが何万人にもの目に触れ、価値を届けられることは交通広告の面白さだなと感じています。
CM制作から全国に展開される交通広告施策という大きなプロジェクトのあらゆる工程に携われたことで、多くの学びを得られました。この経験を活かして、これからもサービスの価値をより多くの人に届け、事業の目指す世界観の実現に貢献していきたいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。