DMMデザイナーの高山美緒です。

普段はプロジェクトのブランド周りのデザインを行いながら、DMMの全社横断プロジェクトの一員としてデザイン組織全体の組織づくりにも取り組んでいます。

今回は、全社横断の取り組みである、社内のデザインナレッジを一つの場所に集約して社内向けに発信する仕組みについてまとめたいと思います。

デザインチームのメンバーを巻き込んで社内外に向けた発信に取り組みたい方にとって、今回の事例が一つの解決策として役立てば幸いです。

DMMのデザイン組織では縦横横断ハイブリッド型の組織体制を取っていて、全社横断でデザイナーの支援に取り組んでいます。

ただ、横断組織ができる以前は、事業部に所属するそれぞれのデザイナーができることを、社内のメンバーにうまく伝えられていないという問題がありました。

DMMには社内にデザイナーが100名弱以上いますが、誰がどのようなことをできるのかは情報としてまとまっていませんでした。社内のメンバーがデザインを任せたい時にも誰に頼めばいいかわからず、本当は社内で担いたいデザイン業務も外部のパートナー様に依頼するようなケースがありました。

そのような状況を変えるため、デザインチームのメンバーができることや、人となりを可視化して、社内から頼られるようにする取り組みを横断組織として始めました。

そこでつくったのが、DMMのデザイナーが自分のスキルやデザインの事例を社内向けに伝える仕組み、デザイナーポートフォリオです。

DMMに所属するデザイナーのスキルやデザインの事例を社内向けに残せる、DMMデザイナーポートフォリオ

社内の誰でも見ることができるConfluenceのワークスペースを使って、デザインチームのメンバーが自分のスキルやデザインの事例を気楽に残すことができるようにしています。

デザイナーポートフォリオの中では、誰がどのようなデザインに取り組めるのかを社内に可視化するために、DMMに所属するデザイナーがそれぞれのスキルセットやこれまで取り組んできたデザイン実績をまとめられる個人ページを作ることができます。

デザイナーが自分のスキルセットや実績をまとめられる個人ページ

スキルセットを図でまとめられるテンプレートを用意して、他職種の人が見てもどんなスキルを持っている人なのか一目でわかりやすくしています。

また、個人ページには、その人がどのようなデザインに取り組んでいたのかも実績としてまとめられるようなフォーマットも用意しています。

個人ページには、その人が取り組んだ代表的なデザインの事例もまとめられる

用意したテンプレートやフォーマットを使えば、どのようなデザインに取り組めるのかをメンバーが手軽にまとめることができ、他職種の人からも誰がどういうことができるのか一目でわかるようになっています。

また、個人ページだけでは伝わりづらい具体的なデザイナーの思考や制作過程も伝えられるように、デザインのジャンルごとにDMMのデザインの事例をまとめた特集ページをつくっています。

普段は知りづらいデザイナーの思考や制作過程を事例で伝える特集ページ

特集ごとに特定のテーマにスポットを当てて3〜5つの事例を紹介することで、その領域ではデザイナーが何を考えていて、どのようなことができるのか社内のメンバーにわかりやすく伝えることができます。

事例の部分は、「誰が」「どのようなものを」「どういう意識でつくっているのか」を一人一人にまとめてもらっています。

それぞれのデザイナーが取り組んだデザインの事例がまとまっている

つくったものや制作過程は、画像を中心にまとめてもらいます。

実際にデザインしたものを画像中心にまとめてもらう

また、どのような思考でつくっていたのかも伝わるようにインタビュー形式で考えを残してもらっています。

インタビュー項目もあらかじめ設定。問いに答えるだけで事例の形にまとまるように

事例についても、用意した質問テンプレートを埋めていけば、誰でも簡単に思考や制作過程をまとめることができるようになっています。

特集ページは、他職種の方がテーマごとに理解を深められるように「サービスデザイン」「ロゴデザイン」などデザインのジャンルごとにつくられています。

ロゴデザイン・LP・DTPなどデザインジャンルごとに特集ページを作成

仕組みをつくる上で特に意識したのは、メンバーが自分からスキルセットやデザインの事例を残したくなるように、気楽に参加しやすい仕組みにしたことです。

それぞれのページにテンプレートやフォーマットを用意したことで、発信を不得意に感じているメンバーでも簡単にスキルや自分の活動をまとめられるようにすることができました。

テンプレートやフォーマットを用意して、簡単にまとめられるように工夫した

また、デザイナーポートフォリオに自分の活動をまとめることは評価基準にも組み込まれています。

DMMのTech Valueには「Attractive」という項目があります。「妥協せず魅力的なサービスを作る」という意味合いなのですが「サービスを作るデザイナー自身や実績も魅力的」ですので、そこも社内外に向けた発信に取り組む事で評価の対象とするようにしています。

そのため、デザイナーポートフォリオにデザインスキルや活動を残すことも、社内向け発信として評価されるようになっています。

評価にもつながるようにしたことで、メンバーが積極的に参加したくなる仕組みにすることができました。

ポートフォリオや特集ページの運用を通して、社内のメンバーからデザイナーに対して相談が起こるようになってきました。

例えば、ロゴの特集ページを見た新規事業担当者からデザイナーにロゴをつくる相談が起こるなど、これまでよりもデザインチームが頼られることが増えつつあります。

また、デザインチームのマネージャーとしても、メンバーを新しいプロジェクトにアサインする時に、その人が伸ばしたい場所や得意な場所にアサインしやすくなったという声をもらっています。

今回伝えた取り組み以外にも、DMMでは全社横断的にデザイナーが活躍しやすくなるような取り組みを行っています。

全社横断的に取り組んでいる4つの取り組み

これらの横断的な取り組みを通して、さらにDMMでのデザインの価値を高めていきたいと思います。

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