Visionalのビズリーチ事業部でプロダクトデザイナーをしている田頭です。「ビズリーチ」の求職者様(toC)向けプロダクトの機能開発や改善を担当しています。
長期間にわたるユーザーリサーチの結果をチームに共有するだけではなく、一緒にリサーチ結果を解釈し、アイディエーションまで行うワークショップを開催しました。
今回のワークショップは、昨年10月から開始したユーザーリサーチをもとに、開発メンバーとともに施策を考える内容でした。
私たちのチームは、職種間の距離は近く、コミュニケーション自体は盛んに行われていますが、開発メンバーがユーザー情報に触れる機会はそこまで持てていませんでした。
開発メンバーも同じ解像度でユーザーについて理解しておくことがチームにとって大きなプラスになると考え、リサーチ結果をただ共有するのではなく、結果を踏まえてユーザーのインサイトや行動を全員で解釈し、施策まで出すことにこだわりました。
職務経歴の業務内容や職務要約が自分に合ったスカウトを受けるために重要ですが、長文の入力が必要なため文量が少なかったり、記載内容の質が低くなることが課題でした。
事業的にも重要視していた求職者様のプロフィールの充足率を上げるには、数字だけでユーザー行動を見るだけでは不足していました。もっとユーザーの思考や感情など定性的な面からも把握する必要があると判断し、約半年に及ぶUXリサーチを行うことにしたのです。
2021年の10月からリサーチ設計をはじめ、2022年2月までの期間でリサーチを進めていきました。
今回、開発メンバーのリソースと巻き込んだときの効果のバランスを考えた結果、リサーチはデザイナー中心に行い、分析結果から施策を決めるアイディエーションフェーズから開発メンバーを巻き込むことにしました。
開発メンバーがユーザー視点を持つためには、リサーチの全てのプロセスに巻き込むのが一番理想かもしれません。
しかし「ビズリーチ」の開発組織は大きく、関わる人数が多いです。現実的に考えると、全プロセスに巻き込む時間の確保は難しいため、アイディエーションから巻き込む判断となりました。
ワークショップは「多視点でフラットな状態で、施策のタネとなる仮説を出す」ことをゴールに、Miroを使用します。参加者はデザイナー3人、プロダクトマネージャー3人、エンジニア3人の計9人で、約2時間かけて行いました。
ワークショップは以下4つのパートに分けて行いました。
1.インプット:参加者にリサーチ結果を共有
2.課題特定:ユーザーインサイトの優先度づけを行い、問題定義文を作成する
3.アイディエーション:その課題を解決するために行えそうな施策をブレスト
4.発表:アイディエーションの結果を参加者に発表する
(今回「4.発表」は時間が足りずできなかったので、割愛します!)
インプットパートでは、UXリサーチの調査概要と分析プロセスを丁寧に説明し、リサーチの結果からわかったことを共有します。
インタビューの結果をそのまま共有すると情報が膨大すぎて参加者が理解しきれないリスクがあったので、職務経歴書(=レジュメ)を入力する動機と、阻害要因に分けて、カード形式で結果を共有しました。
カード形式にしたことで、ユーザーリサーチの解釈、課題特定に不慣れだった参加者のインプットもスムーズに進んだように思います。
このパートでは、どの動機・阻害カードを元にアイディエーションを行うかを決めます。
2チームに分かれて、インプットした動機・阻害カードから、どのカードからアイディエーションするかディスカッションします。そして「How might we」のフレームを使い、課題の切り口などを発散しながら、「問題定義文」にまとめました。
問題定義文を作成する中で、開発メンバーの役割やレイヤーによって、違う視点からさまざまな意見が出ました。職務経歴書を書く求職者様視点(toCユーザー)だけではなく、それを読む企業の採用担当者様(toBユーザー)視点の意見も出て、幅広い切り口から問題が深ぼられていきました。
他にも以下のような意見が出て、その職種からしか出ないような切り口が全員で共有された、有意義なパートになりました。
・記述する職務経歴があるのに、ないと思い込んでいる人を救いたい(プロダクトマネージャー)
・キャリアビジョンがある人は、その背景も記載できると良さそう(デザイナー)
・職務経歴書をMarkdownで書きたい欲がある(エンジニア)
動機カードからは「レジュメ入力を後押しするための打ち手」、阻害カードからは「阻害要因の解決方法」になるアイデアを発散します。ここでもチームに分かれてブレストを行いました。
ここで出た施策アイデアをストックしておき、ここでワークショップは終了しました。
ワークショップ後のアンケートでは、時間配分以外はかなりポジティブな反応がありました。
また、今回のワークショップで出たアウトプットが新規施策として起案されています。
開発チーム全員でユーザー視点を獲得する足がかりになったのも大きな収穫です。チームで踏み込んだ議論ができて、求職者様が採用担当者側の視点を持つことが、転職体験において重要という認識が深まりました。
デザイナー以外の開発メンバーがユーザー視点を持つための取り組みは、一回で効果は出ないため、今後も同様の取り組みを継続し、より求職者がアクティブに触りたくなるサービスをチーム一丸となって作っていきたいです。