SUPER STUDIOでは、EC/D2C領域のSaaS事業である「ecforce」と「(ふつうの)ショップ」や「MEQRI」などの自社D2Cブランドを展開しています。

また、自社D2Cブランドの企画・運営で培ったノウハウを顧客へ還元し、システムの課題をecforceの機能開発にフィードバックしています。また、ecforceの新機能やアップデート機能は自社D2Cブランドで効果検証しています。こうしたノウハウの循環によって「徹底的なユーザーファーストでの開発」を実現している点が私たちの事業開発プロセスの特徴となります。

SUPER STUDIOの強み「徹底的なユーザーファーストでの開発」
https://www.super-studio.jp/

今回はデザイナーと開発者それぞれの視点から、SUPER STUDIOにおけるユーザーファーストな開発をどのように実現しているのか、具体的な取り組みを交えながらご紹介したいと思います。

顧客の事業成長に繋げていくための1つのアプローチとして、システム開発に取り組む方々に少しでも役立てていただければ嬉しいです。

顧客の課題を捉えて、システム改善に活かす手法は様々あります。具体的には、インタビューやアンケートの実施、そのほか社内で自社サービスを利用することなどが挙げられますが、サービス形態や顧客属性によって適切なアプローチ方法は異なると思います。

SUPER STUDIOでもこれらの手法を用いてアプローチすることはありますが、私たち自身がEC/D2C領域のSaaS開発者、およびD2Cブランドの事業者であるからこそ、顧客理解の解像度が高く、スピーディなシステム改善を実現することができています。

SUPER STUDIOの事業開発プロセス
自社D2Cブランドを伸ばすためにはecforceの活用・改善が必須であり、ecforceを伸ばすためには自社D2Cブランドでの効果検証や顧客の声・データが必須となる構造

ecforceのシステム改善を行う場合は、社内にいる自社D2Cブランドの運営メンバーから当事者視点での課題を聴いたり、開発段階のβ版を自社D2Cブランドで利用することで検証スピードを早めることができます。

一方、自社D2Cブランドの運営を通じて得たノウハウや成功事例を顧客に還元したり、開発にフィードバックすることで、ecforceの機能性や価値をより高めることができます。

さらに、ecforceを導入いただいている顧客の要望を掛け合わせることで、本質的な顧客課題を把握して、素早くecforceのシステム改善へと繋げることができます。

SaaS開発者としての視点、顧客の声・データからの視点、D2C事業者としての視点を持てることが、SUPER STUDIOならではのユーザーファースト開発の起点

このように、自社D2Cブランドを含めた顧客の成功が、ecforceのシステム改善およびSUPER STUDIOとしての事業の成功に繋がっているため、仕組みとしてユーザーファーストを実現しやすくなっています。

ここからは、ecforceと食品D2Cブランドである(ふつうの)ショップでのアプローチの実践例をご紹介します。

(ふつうの)ショップでは、ecforceを活用しながらブランド運営を行う

(ふつうの)ショップを運営するなかで生まれた課題や顧客から寄せられた要望を基に、システム改善へと繋げた例として「カートモーダル機能」があります。

これまでのecforceの仕様では、商品をカートに追加する度にカート画面へ遷移する設計になっていたため、次のような課題がありました。

  • その都度カート画面に遷移してしまうと、追加購入や違う商品との比較検討がしにくく、お客様の購買体験を妨げてしまう

  • アップセルやクロスセルが発生しにくくなるため、売上の機会損失が生まれてしまう

これらの声は既存の顧客からも複数寄せられており、自社D2Cブランドの(ふつうの)ショップやMEQRIでも同様の課題がありました。

商品をカートに追加する度に、カート画面へ遷移することでの問題点

そのため、商品を追加してもカート画面に遷移しない仕様に変更したところ、商品をカートに追加した上で比較検討したり、複数の商品を同時に購入しやすくなるなど、お客様の購買体験の向上が見られました。その一方で、カートの中身やお買い物途中での合計金額が分かりにくいというデメリットもありました。

この問題を解消するため、(ふつうの)ショップのECサイト上でモーダル形式のカート画面「カートモーダル機能」を独自に実装しました。

(ふつうの)ショップのECサイトで独自に実装したカートモーダル機能

カートモーダル機能を実装したことで、商品をカートに追加する度に画面が遷移することもなく、お買い物途中でもカート内の商品や合計金額を確認しやすくなりました。 また、改めて調査してみると、既存の顧客からの要望だけでなく、商談の場面でも「ecforceにカートモーダル機能があれば導入したい」という声があったことが分かり、細かい調整を重ねながらecforceの標準機能として実装することになりました。

ecforceで実装したカートモーダル機能

その結果、カートモーダル機能を決め手の1つとしてエンタープライズ企業様にecforceを導入していただいたり、既存の顧客からも好評をいただくことができました。

また、(ふつうの)ショップでの成功事例が起点となり、ecforceの機能性や価値向上につながった例として、LPのリニューアル施策が挙げられます。

特に初期フェーズのD2Cブランドでは、広告やLPのパフォーマンスが売上に大きく貢献すると思います。当初、(ふつうの)ショップでもLPを運用していましたが、あまりパフォーマンスが良くなかったためLPをリニューアルすることにしました。

リニューアルにあたり、ターゲットや行動フロー、訴求、情報設計などを根本から見直していった結果、改善前との対比で、CVRが200%向上しました。

(ふつうの)ショップでのLPリニューアル

さらに、この成功事例を全社メンバーが参加する会議体で共有したところ、複数のメンバーから「ぜひ詳細を聞かせて欲しい」といった声が寄せられました。

社内メンバーからのメッセージの一部

また、ecforceの商談成功率を上げるために、(ふつうの)ショップでの成功事例を商談企業様にお見せしたり、事例を基に顧客の課題解決へ繋げたりと、他部署とも連携しながら様々なアプローチを行っています。

このように、SUPER STUDIOではecforceと自社D2Cブランドそれぞれが独立して事業運営を行うのではなく、課題や成功事例、ノウハウを共有しあいながら、顧客や事業に還元していくことを共通の目標としています。

これがecforceと自社D2Cブランドの相互の成長を早める要因となっており、今後もより連携を強めながら取り組んでいきたいと考えています。

これまでご紹介してきたように、私たち自身がEC/D2C領域のSaaS開発者、およびD2Cブランドの事業者であるからこそ、ユーザーファーストな開発を実現することができています。

また、こうした事業開発プロセスで顧客の成功を実現してきたことが、「ECカート成長率No.1 (※1)」や「導入企業の売上平均(前年比)244% (※2)」などの成果に繋がっていると考えています。

自分たちのノウハウや成功事例をecforceや顧客に還元していけばいくほどEC/D2C業界の発展にも繋がっていくということは、システム開発に携わる者としても非常に面白く、やりがいがあると思っています。

今後もEC/D2C業界のモデルケースであり続けられるよう、SaaSプロダクトの開発者としての視点、顧客の声・データからの視点、D2C事業者としての視点をかけ合わせながら、新しいチャレンジに取り組んでいきますのでご期待ください。

※1:有料市場調査レポートより自社調べ。尚、当該調査レポートについては、調査機関において調査依頼を行い、当該調査に承諾したSaaS型ECサイト構築市場に該当する企業のみを比較対象として選出 / SaaS型ECサイト構築市場における売上上位8社のみを対象、自社プロダクトを提供していない企業を除く / 集計期間:2022年4月〜2023年3月 ※2:ecforce導入クライアント38社の1年間の平均データ / 集計期間 2021年7月と2022年7月の対比

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