2026年、約2年ぶりにファインディデザインチームのカルチャーデックを刷新しました。
この判断に至ったのは、単に組織の見せ方を整えるということ以上に、私たちファインディデザインチームとして求める人物像が大きく変わってきたことが影響しています。
今回は、ファインディデザイン組織のアップデートと、そこに紐付くカルチャーデック刷新の全体像をまとめます。変わりゆくデザイン業界の中で、組織マネジメントに取り組む方の一つのヒントになれば嬉しく思います。
ファインディのデザインチームでは、明確に「インハウスデザイン組織は、つくれるだけでは価値を出せない」という危機感を共有しています。
これは、事業環境の変化、組織の成熟、市場の変化などいくつもの要因が背景となっています。
ファインディは今、多数のプロダクトを同時並行で立ち上げるマルチプロダクト戦略を取っています。
新規事業を高速で立ち上げながら次の柱をつくりつつ、既存事業もグロースさせていく。このスピード感に対して、「綺麗な見た目のデザインアウトプットが出せる」というだけではなかなか価値を出しづらいのが実態です。
ファインディでは、デザインチームに対しての社内の期待も高まり続けています。
これは、これまでファインディのデザインチームが事業への理解や投資対効果を強く意識して、デザイナーがいることで事業数値を高められることを示し続けてきたからです。
市場全体では、今デザイン組織の採用を加速しているチームは多くないかもしれませんが、ファインディでは採用を止めずに、さらに組織規模を拡大していきます。
そのような事業成果への期待に応えるには、やはり「つくる」だけではない価値を出せる必要があります。
さらに市場としても、「デザインアウトプットを出す」ということだけ切り取れば、AIによってかなり属人性が下がってきています。
私たちがファインディという事業会社の中で存在価値を持つには、つくる以上の付加価値を出せなければいけません。
このような課題に対して、ファインディデザインチームは、「デザインで事業を動かす」という方針を決めました。
これからのデザイナーのあり方として、デザインスキル・ビジネススキル・ドメイン理解をすべて身に付け事業を動かすことが必要になってきます。
人材要件や評価はすべてこの指針から改めていて、今組織に所属する20名弱のデザイナーやこれから採用するデザイナーもみんなこの方針に沿って動いていくことを期待しています。
具体的には、デザイナーの役割がアップデートされています。
以前からファインディでは、より事業にインパクトしていくために専門性別ではなく事業別の組織体制をつくってきましたが、そこから成果が生まれ出しており、組織全体の基準値が高まっています。
デザイナーのベストな動き方の一つとして、マーケティングの一つの施策であったカンファレンスで成果を出し続け、結果として事業化するまでに至った事例があります。
毎回一つひとつの施策から事業成果を生むことはもちろん、そこから事業戦略すらも更新していく動き方は、ファインディのデザイナーが目指すべき一つの理想的な活動です。
1人のデザイナーがPMFまで事業全体のデザインをリードすることも、推奨される活動の一つです。
私自身、これまではコミュニケーションデザイナーとして活動していました。
そこから、会社としてAI関連プロダクトの検証を加速していくタイミングで、体験設計やUIデザインも含めた新規プロダクトのデザインに丸っと責任を持つ動きを行うようになりました。
他にも、ファインディではデザインマネージャーがまだ体験も固まっていないタイミングでプレスリリースや事前登録サイトをリリースして需要を探りつつ、プロダクトの体験設計や、バイラルを生むための機能開発などをスピーディーに進めています。
直近だと、AIを活用したプロダクトデザイン、PRDの作成、営業同行なども行い、デザイナーの枠割に留まらない動きをしています。
このような組織のアップデートに合わせて、採用コミュニケーションも見直していきました。
ファインディデザインチームとしての採用方針を、「事業イシューに共感し、自ら解決できる人を採用する」と決め、そこに合わせてコミュニケーションを改めています。
これまでのファインディデザインチームのカルチャーデックでは「人」や「アウトプット」など、チームの雰囲気を訴求していました。
作成した当時は、7-8名の組織になってはいたものの、ファインディの知名度は今より低く、その中にデザイン組織があることはほぼ知られていませんでした。チームとしての動きが活発になってきていたが、それを外に伝えるツールがなかったことに端を発してカルチャーデックが生まれました。
しかし、今回の方針に照らし合わせると、欲しい人材に対して訴求すべき情報が不足していることが分かります。
そこで、「事業を動かす」ことに関心がある方に向けて大幅に情報設計を入れ替え、カルチャーデックをリニューアルしました。
主な変更点としては以下のような点があります。
ファインディが全社として目指す世界観を冒頭に差し込み
事業ごとの課題やフェーズ、デザインの活用ポイントのセクション追加
デザインチームの特徴や雰囲気などのセクションは縮小
デザイン市場目線でのユニークさを記載
特に重要なのは、事業別のターゲットが抱える課題やビジネスモデル、事業フェーズ、デザインの活用ポイントをまとめたセクションです。
ファインディには複数の事業があります。グロースしているプロダクトもあれば、新規のプロダクトもあり、ファインディの事業と一口に言っても課題はそれぞれ異なります。
この事業ごとの状況をキャッチアップしやすくして、具体的な事業課題に対してのディスカッションも行えるような粒度でコンテンツをまとめました。
このカルチャーデックは、我々が向かう先と、採用候補者との “マッチ度” を確かめるために活用しようとしています。
カルチャーデックを面談前にお渡しして読み込んできてもらった上で、面談では「どこに興味を持ちましたか?」と問いかけられるようにしました。
もし事業を動かすことに関心がある場合は事業課題や具体的な解決方法について話が上がるはずです。デザインチームの文化や雰囲気に話が終始するならば、その方は今のファインディには合わないかもしれません。
そのためにも、我々からある程度の情報を事前に提示することでカルチャーデックを読み込んでいただき、面談をより有意義な時間にしていきたいと思っています。
ファインディデザインチームは、役割や採用、評価基準などを変えながら、「デザインから事業を動かす」ことにコミットしていきます。
事業ごとに課題は異なり、それぞれの事業で発揮すべきデザインの力も異なります。ただ、これからファインディデザインチームで評価されるのは「事業視点での課題解決」です。
例えば、既存の事業の中で一つのコミュニケーションチャネルとして立ち上がったカンファレンスを育て、単一事業として成立させていくような動き。
または、コミュニケーションデザインとプロダクトデザイン両方の強みを持って、新規プロダクトの立ち上げをリリースからPMFまでリードする動き。
他にも、自分がデザインするだけでなく、事業横断でクオリティの高いデザインが生まれるように仕組みを整えていくなども有効です。
このような活動の連続によって、ファインディから多くのプロダクトが立ち上がり、それらがさまざまな組織のものづくりを支えるインフラになり、結果として社会全体に良いプロダクトが溢れていきます。
そのようなムーブメントをつくるために、デザイナーは事業課題に強くコミットしていきます。
このように組織全体のアップデートを考えてきた中で、私が1番伝えたいのは「ファインディの事業はめちゃくちゃ面白く、デザイナーこそ熱狂できるドメインにいる会社である」ということです。
デザインチームとしてずっと「ビジネスマンのように振る舞おう」「事業貢献をしよう」ということを言い続けてきましたが、その大前提にはファインディが見ている世界への共感があります。
ものづくりをする人は、あらゆる産業にいます。プロダクトをつくる人、サービスをつくる人、現場で手を動かして何かを生み出している人。その "つくる人" たちが、ずっと世界を変えてきました。そして、その人たちがいきいきとものづくりをできる環境こそが、結果としてその国の豊かさをつくっていくのだと、私は思っています。
ファインディの事業は、その "つくる人" を支援する仕事です。つくる人が一番よいかたちで力を発揮できる世界をつくる。同じ "つくる人" であるデザイナーとしてこの仕事に関わるのは、想像以上にやりがいがあり、そして楽しい。
2026年現在、ものづくりのあり方は大きく変わりました。「つくれること」自体の価値が下がったからこそ、何を、誰のために、どんな情熱でつくるのかが問われている時代だと感じています。そんな時代に、熱狂できるドメインで、心からおもしろいと思える事業に関われることは、それだけで強い武器になります。
しかも、ファインディが向き合っているのはエンジニアリングの領域です。ここはAIの影響も恩恵も、どの領域より先に届く場所。その変化の最前線を走り、得た知見を自分たちのものづくりにも還元していく。業界より一足先に"次"を経験できるのは、ファインディだからこそできることです。
「つくる人が輝ける世界」を掲げ、エンジニア業界に向き合い続けてきたファインディ。市場的な不確実性が高まってきた今だからこそ、ファインディだからできることが増えてきています。
デザイナーとしてこれからのものづくりのあり方をデザインできる環境は、国内にそう多くはありません。この世界観に共感し、一緒に新しいものづくりの形をつくっていける人がデザインチームに増えていくように、これからも、組織をアップデートし続けていきます。
