DMMの英会話事業部でデザインチームマネージャーをしている伊藤れいです。
DMM英会話は、オンラインでマンツーマンの英会話レッスンを毎日受講できるサービスです。
他のスクールや、オンライン英会話サービスとの一番の違いは、「現地の英語話者と、日常的に会話を楽しめる」という部分です。
120ヵ国以上の、現地に在住している方を講師として巻き込んでおり、ビジネスや学習目的だけでなく、趣味や旅行など、老若男女さまざまな方がカジュアルな目的で利用することができるのが特徴です。
2021年の4月から10月にかけて、DMM英会話のブランドメッセージを定義、それに伴う社内外への浸透のため「ブランドムービー」「テーマソング」を作成しました。
今回は、DMM英会話で、なぜブランドメッセージをつくるに至ったのか、またその浸透施策としてなぜブランドムービーやテーマソングを選んだのか、そのつくり方や結果についてまとめていきます。
ブランドメッセージを作成した背景は、社内メンバーや、既存ユーザーが感じている「DMM英会話 = 楽しい」という価値と、世の中で持たれているDMM英会話のイメージのギャップを埋めることでした。
ブランドメッセージを作る前から、当時DMM英会話の代表だった上澤さんが「DMM英会話=楽しい」という表現をよく使うようになっており、実際にユーザーからも「楽しい」「ビジネスや学習ではなく、趣味で利用している」という声が多く上がっていました。
一方で、一般的には「オンライン英会話 = 学習サービス」という認識が強く、「楽しい」という抽象度の高い言葉では、利用者に魅力が伝わりきっていませんでした。
このような背景を踏まえ、競合サービスも多く生まれており、かつコロナの影響でユーザー数も増加して露出を増やしていたこのタイミングで、まず最小単位である「言葉」からブランドを再定義しようとプロジェクトを始めました。
まずは、ブランドメッセージの作成に取り組みました。関わったのは、デザインチームマネージャーとして私、PRチームのマネージャー、そして外部パートナーであるコピーライターの3名です。
3名で、DMM英会話らしさを発散しながら、キャッチコピーとボディ文言をパターンごとにまとめます。
ビジネスや学習目的だけでなく、趣味や旅行など日常に溶け込むようなカジュアルな目的で使えることや、120ヵ国以上の現地在住の講師と話せる、という特徴を踏まえて、事業部長とすり合わせ「世界中とおしゃべりしよう」というブランドメッセージに決定しました。
今回ブランドメッセージを作成する際に、浸透施策もあらかじめ考えていました。 浸透施策の決定において重視したのは、「言葉だけでなく、世界観を視覚的にも伝える」「つくる過程でお祭りにして巻き込む」という2点です。
今回の目的は、社内外に「DMM英会話 = 楽しい」というイメージを伝えることでした。
そのため、よくある「サービスを使った効果を伝える広告」などではなく、DMM英会話を利用した先に、どのような世界観があるのかを視覚的・聴覚的にも伝えることで、イメージを共有するのが良いと考えブランドムービーとテーマソングをつくることに。
また、テーマソングをつくる時に、講師やユーザーにもその過程に参加してもらうことで、まるでお祭りを一緒につくるように浸透していこうとしました。
ブランドメッセージを浸透させるには、言葉だけでは伝わりません。DMM英会話を使ったユーザーがどのように変われるのかを伝えるために、老若男女がカジュアルに日常会話を楽しむ様子を表現したブランドムービーの作成に取り組みました。
ブランドムービーの作成にあたっては、コンセプトシートをまず作成。
「世界中とおしゃべりできる」というブランドメッセージにもとづいて、老若男女、英語を使ってどのような趣味を楽しんでいるのか、という観点でキャスティングを行いました。
キャスティング候補は英語を話せる社員の知人を中心にリストアップして行っています。
最終的に完成したブランドムービーは、YouTubeにアップロードし、プレスリリースとサイト内で配信しました。
ブランドムービーだけでなく、「世界中とおしゃべりできる」という状態を、世界中の人で同じ歌を歌うという方法で伝えられるのではないかと考えて、テーマソングの作成も行いました。
テーマソングの作成は、世界中の講師と全国のユーザーがオンラインで合唱をするという企画として実施しました。
テーマソング作成過程に、講師やユーザーにも参加してもらうことで、まるでお祭りを一緒に準備するような進め方ができたことで、ブランドメッセージに触れる機会をうまくつくることができました。
また、このテーマソングはブランドムービーのBGMでも活用されています。テキスト・音楽・映像で「世界中とおしゃべりしよう」を体現することができました。
取り組みを通して、当初課題としていたサービス内容を一言で説明できない問題について、PRメンバーからメッセージが統一しやすくなったと反応をもらっています。
その結果として、ユーザーにもブランドメッセージが浸透しています。2022年2月の9周年記念時に行った既存ユーザー向けアンケート結果では、ブランドメッセージの狙い通りの印象を抱いてもらえていることがわかりました。
2023年にDMM英会話は10周年を迎えるので、より大きくブランドメッセージを活用した施策に取り組んでいこうとしています。
今回の取り組みで作成したブランドメッセージは、他社との差別化やサービスの方向性を言語化したものです。
リブランディングのように大きく変革を見せるものではなく、「世界中とおしゃべりしよう」という、キャッチーでいて、120ヵ国以上の人が講師として関わるDMM英会話の特徴を表せるシンプルな言葉から定義できたのは良い始め方だったのではないかと思っています。
どのメンバーにおいても一貫性のあるサービス理解や、それを基にした外部へのアウトプットを行うために、引き続きブランドメッセージを活用していきます。
10周年に関わる社外向けのブランド浸透施策に関する取り組みについて、また発信していきたいと思います。