DeNAデザイン本部 本部長の上田です。私は2022年に本部長に就任し、現在約80名の部員が所属するデザイン本部のマネジメントを担当しています。

2023年9月に、DeNAデザイン本部の組織構成やメンバーのこと、これまでの歩み、私たちがいま大切にしていることなどをまとめたカルチャーデックを公開しました。公開後は社内外から反響をいただき、私たちについて広く知ってもらえる機会となったと感じています。

DeNAデザイン本部のカルチャーデック
https://design.dena.com/uploads/pdf/culture-deck-2023.pdf

このカルチャーデック公開に至った背景には、デザイン本部が組織として目指す状態をまとめた中期計画があります。

デザインがDeNAの競争力の1つになることを目指し、3ヵ年の計画をまとめたものが中期計画であり、2022年度は「人材の質」の強化をテーマに様々な取り組みを進めてきました。この度のカルチャーデック公開も、その取り組みの1つです。

DeNAデザイン本部の中期計画をまとめた資料

この記事では、なぜこのような中期計画を作成し、具体的には何に取り組んだのか、取り組みを経ての現在地についてまとめたいと思います。

デザイン組織開発に関わるマネジメントの方々や、現場でのデザイン業務と併せてチームづくりに取り組む方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

まずはじめに、中期計画を立てるにあたっての課題感や、経緯についてお伝えします。

DeNAデザイン本部は、2014年に設立されてから徐々に規模を拡大し、現在は約80名のメンバーが在籍しています。また、所属するメンバーは大きく4つの部門に分かれて活動しています。

DeNAデザイン本部の組織体制。大きく4つの部門で構成されています。

さらに、DeNAにはエンタメ領域から社会課題領域まで、事業フェーズの異なる複数の事業があります。 デザイン本部のメンバーは、全社横断組織であるデザイン本部に所属しながら各事業部にアサインされ、それぞれの事業やプロダクトのデザイン業務を担当します。

DeNAの事業領域と、デザイナーのアサイン先の例

メンバーの視点からすると、デザイン本部という横断型の専門職組織と、アサイン先である各事業部という複数の所属を持つことになります。

今まで、メンバーがそれぞれアサインされた事業部の中で、個のパフォーマンスをしっかりと発揮しながら活動する一方で、「デザイン本部としての所属意識」や「デザイン本部に所属している意義」が見えづらいという問題が生まれていました。

メンバーからの声の例

所属メンバー数も80名を超えるなか、個のパフォーマンスに頼る部分が多かった状態から、デザイン組織としてのパフォーマンスを高め、デザインと事業との相乗効果をしっかりと出せるよう、改めて組織としての取り組みを強めていく必要があると考えていました。

横断型のデザイン組織において、デザイン組織単体での計画を作ろうとすると、全社的な目標や計画とのズレが生まれる可能性があります。また、目指す状態を0から考えるのは難易度も高くなります。 そのため、私たちは全社的な中期目標をベースに、デザイン本部としての計画に落とし込むという流れを取りました。

DeNAでは事業部以外の部門を共通コーポレート(HR、CS、渉外、IT戦略、デザイン本部など)と総称し、全社的な中長期目標や戦略が扱われています。
DeNAの全社的な中期目標をまとめた資料の一部。
3年後の在りたい姿として「人材の質」「グロースさせる力」「新たな価値の創造・提供」の3テーマが設定されています。

このような背景から、今後デザイン組織としてのパフォーマンスを高めていくための中期計画を作成しています。

DeNAデザイン本部の中期計画をまとめた資料。 2022年度は「人材の質」の強化をテーマに活動。

DeNAデザイン本部における中期計画の大きな流れは以下です。

FY22 : 人材の質向上 「デザイン本部の文化」ができ始めていることを目標に、組織の土台や、今後人を増やしていくための準備を行う。

FY23 : グロースさせる力の向上 「Design」がDeNAでかなり目立ってきていることを目標に、事業におけるデザイナーの実績作りと文化の定着・成長を狙う。

FY24 : 新たな価値の創造・提供 「Design」がDeNAの競争力の1つになっていることを目標に、業界でのロールモデルとなったり、デザインを武器に事業成長を担えることを狙う。

DeNAにおいて、デザインが競争力の1つになることを展望としながら、その前段として組織の土台を作ることを2022年度のメインテーマとしていました。

また、ファーストステップとなる「人材の質強化」を達成できるよう、2022年度のOKR方針として以下の項目を設定しました。

DeNAデザイン本部におけるOKR方針

大きくは「MVV・文化の定着」「人材強化」「組織発信」をテーマに、さらに細分化しながら組織としての動きを強めていきました。

ここからは、具体的に取り組んだことをいくつかピックアップして紹介します。

デザイン本部としての中期計画を達成するためにOKRを設定し、全メンバーがOKRとその進捗を確認できるようにしました。また、各OKRに対してはタスクフォースで担当チームを組閣して推進しています。

デザイン本部のOKRとその進捗をまとめたドキュメント。

具体的には、次のような項目をOKRとして設定しています。

デザインカルチャー浸透のための... キャリアパスの見直し / デザインタイムズの実施

新卒・若手育成のための... 基礎スキル指導 / FB体制の構築 / 目標設定サポート

中長期人材戦略のための... 人材ポートフォリオ整理 / メンバーのスキル棚卸し

新卒採用のための... 大学連携 / 選考状況の可視化 / サマーインターンの実施

このようにデザイン本部としての注力領域や進捗が可視化されることで、組織全体でどのような動きがあるのか、自身が貢献できるポイントが何かが分かりやすく、組織施策もより進みやすくなりました。

デザイン本部に所属するメンバーの活動や、パーソナリティ、デザインに対する考えなどを社内外に広く知ってもらえるよう、発信の機会を増やしました。

例えば、社内に向けて「デザインタイムズ」という取り組みを開始しました。

デザイン本部のメンバーにインタビューし、そのメンバーの紹介や最近取り組んだ仕事について、週一で社内Slackに投稿するというものです。

「デザインタイムズ」の投稿例

デザイン本部には約80名のメンバーがいるので、同じ組織に所属していても意外と他の人を知らないといったことがあります。

このようにメンバーを知る機会が増えることで、この人と一緒に働いてみたい、業務の相談をしたいと思えたり、コミュニケーションの種になったりと、メンバーにも好評なようです。

また、社外に対しては、現在見ていただいているCocodaや、noteでの公式ブログ、ポートフォリオサイトでの発信を強化しています。

DeNAのデザイン本部について広く知ってもらえるという認知面の意義ももちろんありますが、デザインのナレッジを惜しみなく届けることで、少しでも業界に対して貢献したいという考えが根底にあります。

デザイン職の方を中心に、参考になった、貴重な事例だといった反応をいただけることも増えており、今後も発信を続けていきたいと思っています。

デザイン本部メンバー全体でのワークショップや、マネージャー陣での合宿を通して、デザイン組織として試行錯誤してきた歴史やカルチャーを整理し、「DESIGN FOR DELIGHT」というミッションを設定しました。

デザイン本部は、DeNAのあらゆる事業戦略を「デザイン」という切り口で推進する集団であるという立ち位置を改めて明確にしています。

また、言語化したミッションやデザイン本部の歴史、大切にしていることを73ページに渡ってまとめたカルチャーデックも作成しました。

DeNAデザイン本部のカルチャーデックの一部
https://design.dena.com/uploads/pdf/culture-deck-2023.pdf

DeNAにデザイン組織ができて10年。個性も多様で、関わる事業も様々ですが、デザイン本部全員がここに記された指針をもとに団結し、より良いデザインを提供していこうという想いを込めています。

このカルチャーデックは、今後も新しいメンバーの参加、成功や失敗、様々な経験を重ねるなかで進化させていきます。

2022年度では、このような取り組みを進めながらデザイン組織の土台作りに注力してきました。

結果として、デザインがDeNAの事業の競争力の1つとなるまではまだ先がありますが、組織の土台づくりに対しては一定の効果を生めたと感じています。

直近の出来事から挙げるならば、先日公開したカルチャーデックを見た方が( 他にも内定をもらっていたにも関わらず ) DeNAで働きたいと熱量を持って入社してくださるなど、採用面でも良い効果が生まれています。

また、若手メンバーも幅広く活躍しています。例えば、デザイン本部における新卒採用は、若手デザイナー中心のチームが主導して成果を上げており、年々エントリー数も増加しています。

さらに、DeNAが展開するエンタメ領域・社会課題領域の様々な事業において、デザインの切り口から事業推進を強めていくことにより、部署間の連携もより深いものとなり、全社的なデザインに対する期待も大きくなってきています。

DeNAがデザインに期待すること (カルチャーデックより抜粋)

DeNAの創業初期はあまりデザインが会社に理解されておらず、デザイナーは「編集さん」と呼ばれていました。このような時代から、徐々にデザインの重要性が浸透し、グラフィックからユーザー体験へ、事業へとその範囲を広げていった結果、今のDeNAデザイン本部があります。

とはいえ、デザインがDeNAの事業を牽引する要素になれているかと問われると、まだ成長の余地が多く残されています。

デザインに専門性を持つ個人の活躍に加え、組織としての強みを伸ばし、個人・組織の両面からクリエイティブなアプローチで事業強化することで、ビジネスやエンジニアリングに続いて「デザイン」がDeNAの競争力の1つになることを目指していきます。

デザイン本部として目指していること (カルチャーデックより抜粋)

デザイン組織としての土台が整った2022年度。2023年度では、デザインの力でより大きな事業貢献を生み出せるよう、デザインと経営との接続、評価基準の整備、実績づくりに取り組んでいます。

今後もDeNAデザイン本部の活動にご期待ください。

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