どうもはじめまして🐟 SmartHRコミュニケーションデザイングループ(通称:コムデ)のサナカと申します。 夏ですねえ。JUDY AND MARYを聴いてテンションを上げています。夏はいい。海に入れるし。夏大好き。サマーランド行きたい。そんな私は一年前の2021年夏、SmartHRに入社しました。現在はコムデで主にマス広告やブランディング系イベントプロジェクトのアートディレクション・クリエイティブディレクションを担当しています。
もともとは広告代理店などでクリエイティブディレクションをしていた私が「事業会社に入ってみて実際どうだった?」「実際インハウスでクリエイティブディレクションってどうやってるの?」などについていくつか例を話してみたいと思います〜!麦茶でも飲みながら、よろしくどうぞ🍵
みなさんは「クリエイティブディレクション」というとどんなイメージがありますか? 前職までと違い、事業会社はクリエイターだけではないのでその辺の認識も人によって様々。私の仕事も「コレのクリエイティブディレクションをやってください」という形で始まったわけではなく、ひたすら「ブランドにとって何が良いか?」を考えて作っていったら自然とそういう役割になっていったみたいな感じでした🏝️
私が入社直後から関わったオンラインフェス「WORK and FES」では、2020年から始まった本施策の第2回目を開催するにあたって、まずウェブサイトをどう作るべきかという話から入っていきました。 このイベントは弊社の「Employee First.」を体現する施策の一環として働くすべての人のための、“働く”ことの未来を考えるオンラインイベントとしてスタート。社会全体の働き方をより良くしていくための活動を通して、広く深くブランドのファンを増やすことを目指しています。
この時、ゼロベースでサイトを作るのは制作期間や工数的に難しい状況にありました。サイトを去年のままに文章だけ変える?という話も出ましたが、ファンを増やすことを目的としている本施策においてリピーター&新規参加者への印象を考えると、刷新感も欲しい。そこで、昨年度の大枠を残しつつ「イラストだけ一新することで全体の工数を抑えつつ印象を変える」という方向にしていきました。 状況や目的に応じて柔軟に、最低限の手数で最大限の効果を出すクリエイティブを考える。策自体はちょっとしたことですが、細かい部分でもゴールと全体を俯瞰して最適解を議論・ジャッジして進めていくことは大事かな〜と思います。
イラスト刷新にあたっては、イベントの主軸である「多様な働く人々・働き方を描く」という芯を変えずに、新たにイラストレーターを迎えて、2021年のテーマ「Relationship(関係性)」感をプラスし刷新。且つ昨年のサイトデザイン大枠にもうまく馴染むようなトーン、画角、見せ方の絶妙な塩梅を探っていきました。
また「働く人々」を描く上では、今の時代にあった多様性もとても意識しています。中央にいる人物は「働きながら子育てする母」ではなく「育児と仕事を両立するサラリーマン男性」。男性イメージが強い警察官は女性、障がいを持つ方、リモートワークする人、農家や大工や会社員やフリーランスカメラマンやスポーツ選手などの幅広い職種、その上で全体の男女比や年齢層も若者〜お年寄りまで偏らないようにするなど、可能な範囲でなるべくバランスよく描き、時代にのっとったダイバーシティを大切にする企業姿勢を表現したいと考えました。
ちなみに2021年のキービジュアルはイラストレーターのfancomiさんに描いていただきました。有名な方ですが、思い切ってお声がけして実現しました。制作パートナー選びも大事な要素で、条件が合うかはもちろんですが、純粋に好きな人とやるのも結構大事だと思っています。自然とリスペクトを持って接することもできるし、良い方と仕事ができると自分もメンバーもテンションが上がるし、いいモノもできるし次に繋がるし良いことづくしですね!
キービジュアルの他にも、 ・「配信映像」や「会場空間」を広告代理店の方々と、 ・「ウェブサイト」「イベント冊子」「バナー類」を外部のデザイナーや編集者と、 ・「ノベルティグッズ」や、「記事アイキャッチ」を社内メンバーと...etc 多様な関係者とコミュニケーションしてクリエイティブ全体をかたちづくっていきました。
細かい話ですが、多様な展開を見越して、各施策が動く1~2ヶ月前のイラスト制作段階でデザインデータを人物一人一人レイヤーで分けられるように制作いただくことで、大量の制作物でのバリエーションを作れるようにしました。
そしてクリエイティブ自体の展開設計はもちろんですが、いろんな関係者と作っていく上でコミュニケーションの丁寧さや預け加減も大事にしています。丁寧に背景・目的を伝えて、任せるところは任せる。マイクロマネジメントにならないよう気をつけつつ、大事な部分はしっかり見て守っていく。一方的なトップダウンのディレクションよりも、対話しながらみんなでわいわいボトムアップで全体を作っていく方が好きなので、それぞれの担当者を尊重しつつみんなで作っていけるようになるべく心がけています。
サイトデザインの相談から始まったWORK and FESは、徐々にクリエイティブ全体にタッチしていき、イベント本番は無事たくさんの方に視聴いただくことができました!入社3-4ヶ月で、多様なメンバーと一緒にたくさんのアウトプットに関わることができ大いに学びになりました。今年もWORK and FESを開催する予定ですのでお楽しみに💚
前職までと立場が一番分かりやすく変わったのは、CMなどのマス広告との関わり方ですね。プレゼンする側からプレゼンされる側に。撮影現場で最終OKを出す立場に・・・。純粋に緊張しますよね笑 クライアント側になって、見る視点がより広くなったと思います。
施策の目的をどう達成するのかはもちろんですが、 ・施策単発でなく長期的にブランドにとって何がいいのか ・影響力が大きいマス施策だからこそブランドとして絶対に守らなくてはいけないポイントはどこか などを意識した上でクリエイティブのバランス感などを見ています。
2022年2月に公開したCMでは、業務効率化のその先にある「社員に、いい。」働き方を描いています。
CM撮影現場では監督・代理店・制作会社の方々と協力しながら、たとえば、木梨さん演じる「優しく理解ある上司」の声色や、松本さん演じる新入社員の「ホッとして微笑むシーン」の表情にこだわってディレクションしました。早朝の雨の中の撮影で最初はもう少し硬い笑顔だったのですが、より微笑んでいただき、泣きそうなシーンからのギャップを作ることで「社員に、いい。」を印象的に伝えられるように意識しました。
「微妙なニュアンスで映像の印象が大きく変わる」&撮影現場ではじっくり考えてる時間はなく撮り直せないので「瞬発的な判断が大事」というのを前職までの経験で知っているので、メンバーと確認しつつすぐに伝えて撮影がスムーズにいくように心がけました。
ご提案等へのフィードバックでも、なるべく制作者にとって伝わりやすい言い回し、順番、優先度などを精査してお戻しさせていただくように気をつけています。社内議論した上で、クリエイティブ周りはフィードバック資料を作ったり、メンバーが書いたフィードバック文言も細かく目を通しより伝わりやすいように調整したりするなど、社内で丁寧にすり合わせしています。
ディレクションする方ならわかると思いますが、言いたいことをただ書いただけじゃ伝わらないことも多いですよね。部分的に「どう変えてほしいか」だけ伝えるのではなく、「なぜそう思ったのか」「全体の中では何を重要視したいか」などを端的かつ多角的に伝え、よりいいものを作っていただけるように力になれればと思っています。様々な制作パートナーにとって、やりやすく理解がある&言いたいことも全部言えて高め合えるような、良いクライアントでありたいな〜💪
ディレクションって多岐にわたって考えないといけない事も多いのですが、結局ー番大事にしてるのは、仲間も自分もたのしく作れる場づくりかなと思っています。
ペーペーの頃は、クオリティを最優先にしすぎてディレクションを厳しくしてしまい思うようにいかなかったり、いいものができたとしても全部背負って苦しいと思うこともありました...。もちろんクオリティの高いものを作るのは大前提ですが、今の自分にとっては、チームみんながそれぞれの持ち味を発揮して気持ちよく納得感を持って進められるグルーヴ感・高揚感的なものを一番大切にしてます。全員がイエーイな状態でいいもの作れたら最高じゃないですか?笑 難しくもあるけど、その状態を目指して日々邁進しています。
そんなわけで「事業会社でのクリエイティブディレクションって実際どうなん?」について、なんとなく伝わったでしょうか。笑 過去の自分に「どうなん?」と聞かれたら、今の答えは「案外イイゾ。」です。これを読んでいるクリエイターの方々の選択肢が広がったり、なにかしら参考になったら幸いです!🌞