リリース前からユーザーと一緒に仮説検証を進める、新機能開発の進め方

HERPでデザイナーをしている青木です。弊社で開発提供をしているスクラム採用プラットフォーム「HERP Hire」の開発の裏側についてお伝えしていきます。

HERP Hireは現場巻き込み型の採用活動で採用を加速させる採用管理システムで、特にエンジニアを中心としたデジタル人材を継続的に採用し続ける企業に多くご利用いただいているサービスです。

先日、日程調整機能をリリースしましたので今回はそのリリースまでの開発の流れを紹介させていただきます!

日程調整機能とは、HERP Hireで採用候補者の方と連絡を取る際に、Googleカレンダーから自動的に空き日程を抽出し、候補者にスムーズに提示することが出来る機能です。

今回、他にも多くの日程調整サービスがある中で、機能をいきなり作り始めるのではなく、ユーザーを巻き込んだミニマムな検証を繰り返すことでフィットする形に近づけていったのがHERPとしても新しいやり方でした。このやり方をやってみて学びが多かったので、プロセスをまとめてみます。

工数とユーザー体験のバランスを踏まえてリリースラインを見極める

正式リリースの4か月前の8月、検討を開始しました。

HERP Hireには以前から「日程調整に工数がかかってしまうのでなんとかしてほしい」という要望を多く頂いていたため今回の新機能開発が始まりました。

しかし、動き出してみたは良いものの多機能な日程調整サービスを単体で提供する事業者も多く、「他の日程調整サービスと連携すれば良いのではないか?」「自前で作る場合、どこまで作るのか?」という論点がありました。

そのため、工数とユーザー体験のバランスを踏まえてリリースラインを見極めるための調査を行いました。

まずは、日程調整に関する採用担当者の業務で何が起こっているのか理解するため、社内で採用に関わるメンバーからヒアリングして、miroでユーザーストーリーマッピングを行い優先順位をつけました。

その結果、まずは開発工数やユーザー体験、競合との差別化などのバランスを考え、Googleカレンダーとの連携をミニマムに行える機能を実装することに決めました。

検討段階では、まずユーザーの課題に対する解像度を高めて方向性を絞り、そこから最小工数でできるソリューションに落とし込むようにしています。

ユーザーと一緒に開発を進める、クローズドβ版での検証

いざ開発する方向が決まった上で、もう一つ問題がありました。

HERP Hireで新機能を実装した場合、想定される新機能の利用ユーザー数は数百社にもなりえるため、最初からすべてのユーザーの要望を満たそうとすると仕様が膨らみすぎてしまう懸念がありました。

今回は全ユーザーへの提供にあたって必要最低限な仕様を検証するために、正式リリースの前に「クローズドβ」という段階を設け、一部のユーザーに絞って限定的にリリースを行うことを決めました。

HERPでは「全体に告知はしておらず、一部顧客に提供している状態 = クローズドβ」としています。

今回は、開発と社内運用( もちろんHERPの採用業務にもHERPを利用しています)を並行して進めつつ、一部の企業様に開発協力として実際に使ってもらうプロセスを踏まえ、最低限使えると判断した段階で、クローズドβとして対象企業を絞ってリリースを行いました。

クローズドβの利用企業は最初は5社に絞り、改善を繰り返しながら徐々に提供範囲を広げていきました。

利用企業の選定と具体的にどのように広げていったのかですが、正式リリースをするまでの条件の一つとして「CS(カスタマーサクセス)に正式リリースすることを共有し、リリースへの懸念を潰せている」という条件を設定しています。

HERPではCSが既存のユーザーとの直接の接点を社内で一番多く持っており、ユーザーへの理解が一番深く、またリリース後に質問やトラブルがあったときにユーザーの一次窓口になるのはCSです。したがって、CSが懸念を持つ場合にはおそらくユーザーが困るはずだということで、ユーザーよりも密にコミュニケーションの取りやすいCSを通じてユーザーの困りを未然に防ぐ取り組みです。

プロダクトだけでなく、プロダクト外の体験にも不安がなくなるまで磨くために、小さな範囲からCSと一緒に検証を始め、プロダクトの改善とCS体制の改善を同時に進めていきながら、徐々に提供範囲を広げていきます。

今回は、これまで以上に密に連携し、CSチームの原さんと共にプロダクトの検証したい部分の精査からそこにマッチするユーザーの条件の洗い出し、提供先企業の選定を行いました。

CSチームが日頃から頻繁にユーザーとやり取りしているため、クローズドβの段階でも提供をすることで価値を感じてくれそうなユーザーや、ミニマムな段階でもレビューをもらいながら機能提供できそうなユーザーの目星を付けることができました。

そこから、個別に機能説明のためのスライドをつくり、同時にヒアリングを行います。

初期のヒアリングでは、すでにユーザーと関係性を持っているCSがアイスブレイクした後、プロダクトチームのメンバーが機能の説明やヒアリングを行います。

その過程で、CSも機能についての理解を深めていくことができます。

CSチームと協業して仮説検証を繰り返し、正式リリースへ

最初はプロダクトメンバーが主導してヒアリングを行っていましたが、徐々にCSチームだけでもヒアリングを行ってもらえるようになり、プロダクトのアップデートのサイクルをより早く回せるようになっていきました。

その中で出てきた要望はSlackにどんどん共有してもらい、プロダクトバックログとして残しつつ、優先度順に改善していきました。

また、正式リリース時、ユーザーにストレスなく機能を利用いただけること・CSチームが問い合わせにスムーズにご回答できることを目指し、クローズドβの提供中によくいただいた質問を踏まえた質問集を作成したり、起きうるエラーとその原因を特定できる方法を事前に用意したりしました。

具体的には今回、デザイナーとCSが協業して正式リリース前にヘルプページを用意しました。

また、HERP Hireを利用するユーザーが、社内の面談や面接に取り組む他メンバーに新機能の共有を行いやすくなるように、周知のためのドキュメントも用意しました。

特に今回は日程調整という、採用候補者の体験にダイレクトに繋がる機能開発だったため、より多くの仮説検証を繰り返し、機能提供にあたって想定される懸念を潰しておくことが必要でした。

開発段階からプロダクトチームとCSチームが積極的に協業することで、正式リリース後もトラブル等のリスクを減らし、より品質の高いサービス提供が可能になると考えています。

ユーザーとの距離の近さを活かしたミニマムな検証

このようなプロセスを経て、2021年12月に日程調整機能を正式リリースしました。

嬉しい反応を多くもらっており、ミニマムに出しながら改善していくプロセスをうまく進めることができたと感じています。

Twitter上でのユーザーの皆さまからの反応

このようなクローズドβでの検証を進められるのはHERPの特徴である「お客さんとの距離が近いこと」によって実現しています。

ミニマムな段階から検証にお客さんを巻き込めるのは、ありがたいことにHERPの開発を応援してくださり、HERPの開発を心待ちにしてくださっている協力的なユーザーが多くいらっしゃるからです。そういったユーザーが多いこともあり、HERPではユーザーとともに開発を進めていきたいと考えています。そのために開発に関しての情報をオープンにする取り組みも行っており、例えばQごとにユーザー向けに「開発共有会」という開発ロードマップや新機能の紹介を行う場を設けてたりしています。

おわりに

今回のケースのように、全部を一気に作り込むのでなく、距離が近いユーザーと一緒に段階的に開発を進めることで、結果的に多くのユーザーに満足してもらえる機能を早く出すことができると考えています。

HERPのValueのひとつである「ユーザー価値ドリブン」にあるように、どんなときでもユーザーへの価値を軸に考え、提供価値の最大化に向けて妥協しないカルチャーがHERPにはあります。そのため、ユーザーからの一次情報を大事にし、ユーザーと共にプロダクトを作り上げていく思いで開発を進めています。

今回リリースした日程調整機能は正式リリースしたとはいえミニマムな機能での実装となっているので、まだまだ不便であったり機能が足りてない箇所が多くあります。正式リリース後も利用状況を確認したり、ユーザーから頂いた声を反映して優先順位を決めながら改善を進めています。

また、日程調整機能の開発において、初期段階から開発にご協力いただいたユーザーのみなさまへ、開発チーム一同よりあらためてお礼申し上げます。いつも感謝しています。

今後もHERPが意識している、ユーザーとの距離が近い、アジャイルな開発プロセスを発信していきます。

💡フォーラムは、デザインケースについてあなたなりの視点や活用の仕方を、自由につぶやく実験的な機能です。

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リリース前からユーザーと一緒に仮説検証を進める、新機能開発の進め方

Sara Aoki(Sally)

2022/02/03

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