こんにちは、SmartHR コミュニケーションデザイングループ (コムデ) のさめまるです。

社内のデザイン依頼・制作のフローが、いろいろな工夫の積み重ねで快適になってきたのでメモしておきたいと思います。

私たちコムデは、SmartHRのプロダクト以外すべての領域で、お客さまとのタッチポイントになるものをデザインしています。

たとえば、広告やサービス紹介冊子、

営業資料や、サービス導入補助ツール、

コーポレートサイト、サービスサイト、特設サイト、

ノベルティや社内向けのアイテム、

メルマガやブログのアイキャッチ、時にはSlack emoji、などなど!

こういった制作物は、ほとんど「こんなものがほしい」「こんなことがやりたい」といった他部署のメンバーからの依頼でスタートします。デザイン依頼は1日平均3件ほどあり、コムデのメイン活動となっています。

ここではじめにことわっておくと、コムデは依頼をもらって動く受け身の集団ではありません。他部署のメンバーが抱える課題を一緒に解決していくために、デザイナーとしてジョインして、一緒に作っていくためのチームです。たとえばブログのアイキャッチ作成といったシンプルな依頼でも、よりよくするためにタイトルを変える提案をすることだってあります。

私たちは解決策を「一緒に作る」ためのデザイナーなんです。

...ですが、そもそも「ほかの職種のメンバーが、いい感じにデザインの依頼や相談をする」って実は意外と難しいんですよね。

  • デザイナーにどのタイミングで相談・依頼をすればいいのかわからない
  • 依頼の前に要件が細かく決まってしまっていて、デザイナーがカイゼンや提案をする余白がない
  • わざわざデザイナーに相談なんて、と敬遠されてあまり頼られない

などなど。

「こんなことをやってみたい」というはじめての試みが多い会社なので、プロジェクトを立ち上げてはじめてデザイン依頼をする、といったメンバーも多いです。そんな普段関わりの少ないメンバーだと、デザイナーと一緒に作る第一歩をふみ出すのは、けっこうハードルが高いです。

そこで今回は、「デザイン依頼と制作のフロー」がとても快適になってきた実感があるので、その記録を残しておこうという話です。 他のデザイナーの方にも参考になれば嬉しいです!

コムデはタスク管理をJIRA(プロジェクト管理ツール)で行っています。そのためデザイン依頼は、2年ほど前まで「依頼者がJIRAのタスクチケットを作成する」というスタイルでした。

▼こんな感じでJIRAのチケットを作ってもらう

▼JIRA利用の手引きドキュメントも準備

しかしこのフロー、そもそも「利用の手引きが長いので読んでくれない」「部署によってはそもそもJIRAアカウントを持ってないメンバーも多く、アカウント作成からしなくてはいけない」「なんだか難しそうなので依頼が敬遠されてしまう」というさまざまな課題が。正直あまりルールが守られておらず、依頼者もコムデのメンバーも快適とは言えない状況でした。

ルール周知のためにも、1年ちょっと前に #design_com_依頼 という専用Slackチャンネルを作成しました。JIRAのチケットを作成したあとに、詳細なやりとりを行うためのチャンネルです。しかし、実際はさまざまな部署のチャンネルから依頼がきたりしていました。

あるチャンネルではノベルティ作成の依頼が。

依頼チャンネルだけど、JIRAを使わず直接コメントをもらったり。

そもそもSlackではなくてJIRAのチケット上でやりとりが発生することも。

依頼が来るチャンネルも、使われるツールも、やりとりの場もバラバラ。。。※ちなみにSmartHRには、なぜか「OK〜」くらいノリで「拝承」を気軽に使う社内文化があります

依頼者も「どの段階で、どんな依頼をすればいいか分かりにくい」、デザイナーも「同じ制作の話を複数のチャンネルで別に議論されていて、話に追いつけないこともある」といった状況でした。

そこで、もっとわかりやすく、気軽にデザイナーと一緒に作る環境をつくるために、Slackのワークフローを使ったフローに変えてみないか〜とコムデメンバーに提案しました。

Slackワークフローを使った新しい依頼の流れがこちら。

依頼者は、Slackからワークフローを作成。このようなフォームを埋める形で依頼できます。

送信すると、こんな感じのメッセージが自動でSlackに流れます。

関係者にメンションがくるので、ここから依頼したメンバーとのやりとりがスタートします。依頼内容の確認や、制作物のチェックやレビューなど、やりとりはすべてスレッドでおこないます。

シンプルな方法ですが、これにより、さまざまな依頼での悩みが解決されてきました。

  • Slackは業務形態を問わず全員アカウントを持っているので、だれでも依頼ができる。
  • 依頼方法はマニュアルなどを読まなくても、チャンネルを見ただけでわかる。
  • どのデザイナーに声をかけていいのかわからなくても、とりあえず依頼ができる。わかれば指名もできる。
  • 議論が別チャンネルで起きても、このスレがホームとなるので、あちこちに散らばらない。
  • 依頼内容はSlackの JIRA Cloud アプリを使えばそのままチケット起票できるので、デザイナー間ではそのまま連携したタスク管理ができる。

ちなみに、依頼そのものがふわっとした状態からでも相談できるように、具体的な画像サイズなどが分かっている人は記載できるように、最低限のヒアリングを兼ねてフォーム内容も工夫してみました。

このフローになってからは、コミュニケーションロスがぐっと減り、依頼のハードルが下がったためか依頼件数は約2倍になりました。(そもそも会社規模が大きくなっていることもありますが...。)

なにより、Slack上でやりとりをしながら作ることで、「依頼したら納品される」ような関係ではなく、「デザイナーとコミュニケーションをしながら一緒に作る」という関係が当たり前になっているのが、個人的には一番うれしく思っているところです。

運用しはじめて約8ヶ月、常にカイゼンを続けてます。大きなカイゼンでいうと2つ。

ひとつめのカイゼンは、抜け漏れチェックbotを作ったこと。

依頼が増えたのはいいんですが、そのぶん対応漏れが発生してしまうことも...。そこで情シスに相談して、毎日夕方に、担当者が決まっていないJIRAチケットが流れるようにしてもらいました。これで抜け漏れはほぼなくなりました!

もうひとつのカイゼンは、窓口と担当を分けたこと。

最近コムデ内でユニットが分かれたこともあり、ワークフローを4つに分けました。「どんな依頼ができるか」がより分かりやすくなった上に、担当者だけにメンションが来るようになったので、私たちの負荷も減って、より快適になりました。

SmartHR全体のカルチャーとしても言えることなんですが、「よし変えるぞ!」と腰を据えてやるよりも、「今この辺り無駄が起こっちゃってるな〜」と気づいた時に小さくカイゼンをしています。

私たちは現状このスタイルに一旦落ち着いていますが、デザイン組織によって最適な形は違いそうです。私たちにこのスタイルがはまったのは、「Slackがコミュニケーションの中心」「アイデアが豊富なメンバーが多いから」という要因も大きいと思います。

他部署のメンバーとの関係やデザイン組織の性質などを踏まえながら、少しずつ最適なものを見つけていくのがいいのかなと思います。

地味だけど大事な、デザインの依頼フローについてまとめてみました。

ちなみにこのフロー、ほかのグループでもまねしたいという相談もきたりして、依頼側としても便利に思ってくれているようです。(ありがたい!)

そしてこのスタイルは、他のチームの事例もめっちゃ参考にしてます。情シスのみなさんや、UXライティングユニットのみなさんには感謝しかないです!いつもありがとう〜

今後も引き続きカイゼンし続けるので、続編もお楽しみに。

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