2022年1月から、SmartHRコミュニケーションデザイングループ(通称:コムデ)に「ブランドマネジメントユニット」というユニット(チーム)ができました。
SmartHRブランドの定義やデザインシステムの運用など、ブランドに関わるさまざまなことを行っています。
ブランドの運用やマネジメントは、成果物の分かりづらさや活動領域のあいまいさもあり、取り組みづらい部分も多いかもしれません。
この記事では、SmartHRにおいて、ブランドマネジメントユニットが何をしているのか、その試行錯誤をまとめようと思います。
SmartHRでは多様なタッチポイントを扱っています。外部パートナーの方々、マーケティングやセールス、コーポレートなどなど、制作物に関わる人もさまざまです。プロダクト以外のほぼすべてのタッチポイントに関わっているのが、SmartHRコムデです。
コムデの制作物の種類や幅広さについてはこちらの簡易ポートフォリオに簡単にまとめているので、よければご覧ください。
さまざまな制作物を多くのメンバーで扱っている中で、ブランドをより強くて安定したものにするためには、個々の努力だけではなく、仕組みや組織レベルでの取り組みが必要です。
この、ブランドに対する仕組みづくりや組織づくりに取り組むのがブランドマネジメントユニットの役割です。
ユニットの活動には、以下のような3つのテーマを設けています。
ブランドの安定と強化のために、
ブランドをデザインして
みんなが理解して、
みんながつくれる状態にする
というものです。
「ブランド」の「安定と強化」というと、曖昧でイメージしづらい場合もあるため、活動を3つのタイプに分類して説明することで、ユニットメンバーも、他ユニットにとっても、ざっくりとその輪郭を掴んでもらうようにしています
そして、ブランドマネジメントユニットでは、「取り組むことの優先度をどうつけるか?」についても観点を用意しています。
5つの観点に順番があるわけではなく、状況に応じて「今は効果の長さを優先しよう」といった会話・判断をしやすくするためのものです。
それぞれの基準は以下のように考えています。
1. 効果の広さ
その施策や取り組みをすることで良い影響を受ける組織やブランドが複数あり、利用する人数が多く見込まれる場合には、「広い効果を期待できそう」と判断しています。
2. 効果の長さ
数回、数週間しか使えないものではなく、半年〜数年単位で活用され続けるなど、耐用年数の長さも考慮しています。
3. 効果の深さ
ある程度の専門性が必要で、ブランドマネジメントユニットしか取り組めないような代替しづらい取り組みは、「効果が深い」と判断しています。
4. 成果の早さ
短期間で成果・効果が出る取り組みも積極的に実施します。チームの性質上長期の取り組みが多くなる傾向があるので、ユニットの信頼とプレゼンスを上げるためにも、成果が出るまでの早さも重視しています。
5. 課題の明確さ
ユニット外のメンバーを含めて、すでに困っていること、課題だと認識されているものは緊急度が高いともいえます。ボトムアップでのブランドマネジメントを推進するためにも、この観点を用意しています。
ここからは具体的な取り組みをご紹介します。
まずは、ユニットの活動を3つのテーマで分けているうちの1つ「ブランドをデザインして」についてです。
この活動は、ブランドを多方面から定義したり、ブランド自体がどういうものなのかを明確に、くっきりさせていく活動です。
例えば、デザインシステムでも公開されていますが、SmartHRブランドのパーソナリティを定義することもその1つです。
ブランドパーソナリティは、マーケティングメンバーや経営層とも意見を交えながら共にブランド定義を行い、プロダクトデザイナーやUXライターとも共に、ブランド全体で利用できるものを作りました。
また、色の定義なども活動内容の1つです。
次にブランドへの理解度を高め、解像度を上げるための取り組みです。
ここでの「みんなが理解して」の「みんな」は、SmartHRコムデに限らず、全社員を対象としています。
ブランドパーソナリティが定められていても、それぞれのイメージは微妙に違うこともあります。
職種や役割が変わると、なおさらこのブランドイメージの違いは出てくるため、大事な取り組みだと考えています。
例えば、ブランドイメージやパーソナリティの認識を近づけるための取り組みとして、コムデ内で「どの制作物が、どんなブランドパーソナリティを表しているか」などを考えるワークショップを実施したこともあります。
ワークショップでは、トンマナダーツというオリジナルのフレームワークを活用しています。Miro上に半期ごとの制作物を並べ、それらの制作物がどんなブランドパーソナリティを表しているかを、トンマナダーツ上にマッピングしながらお互いの認識を共有し合いました。
明確に「SmartHRらしさ」が感じられて、ブランドパーソナリティを的確に表現しているものは、ダーツにおける中心を表す「BULL」と表現し、あえて「SmartHRらしさ」以外のトンマナで表現しているものは、「外し」と呼んでいます。
また、SmartHRが持っている顧客接点の全体像を捉えられるように、「SmartHR タッチポイントwiki」なるものもつくっています。
その他にも、「SmartHRブランド」を俯瞰して相対的に理解するために、クリエイティブやブランド戦略の他社調査を定期的に行っています。
プロセスも含めて、ブランドへの解像度が高く揃っていくと良いなと思っています。
3つ目の「みんながつくれる状態にする」は、普段クリエイティブをつくるコムデメンバーだけではなく、外部パートナーのみなさんや全社員を対象にしています。
表現や成果物に違いが出てきた時、ブランドを「縛り」「ルール」として、警察のように取り締まるのではなく、「ブランドをうまく表現できることで、やりたいことがうまくいく」と捉えてもらうことを大切にしています。
例えば、営業資料などでも使われるプロダクトの端末モックを三階ラボさんにご協力いただいてつくり、どの職種のメンバーでもSmartHRのプロダクトをうまく表現できるようにしています。
SmartHRでの利用用途に合わせて、三階ラボさんに完全オリジナルでつくっていただき、大変感謝しています。
また、端末モックに加えて、営業資料やサービスサイトなどでプロダクトのキャプチャを使う場面も多くあります。
また、プロダクトキャプチャでは従業員の情報の例など、サンプルとしてユーザー情報を表示する場合もあります。そのような時のために、プロダクト用のモデル写真の用意もしました。
モデル写真の準備は、有志の社員に協力いただき企画から撮影まで社内で実施しました。
他にも、企画サイトや関連サービスなども多くあるため、サイトのメタ情報(アイコンやOGP、サイト説明など)の統一など、特定のユニットだけでは取り組みづらい部分にも取り組んでいます。
メタ情報の統一やデザインシステムへの反映は、ピクセルグリッドさんにご協力いただき完成までこぎつけました。
ピクセルグリッドさんには、部署横断で取り組んでいるデザインシステム運用や構築そのものについても、強力なパートナーとして伴走いただいています。いつも本当にありがとうございます!
今後も、冒頭にもお伝えした3つの分類について取り組みを続けていく予定です。特に2や3についてはある程度進められているので、事業が拡大していくフェーズにフィットしたブランドを作っていくために、1についても本格的に取り組んでいきたいと考えています。
SmartHRのブランドマネジメントユニットは、あくまでボトムアップに、事業の成長や組織の成長に伴走しながらブランドの運用をするユニットです。
これからも、ブランドを1つのプロダクトやシステムのように捉えながら、ブランドの安定と強化のために活動していこうと思っています。それでは続報をお楽しみに。