プレイドのデザイナーのYukkeです。CXD(カスタマー・エクスペリエンス・デザイン)チームの一員として「クライアントがKARTEと出会ってから成功 or 別れるまでのあらゆるタッチポイントの体験向上にコミットする」をミッションに、コロナ以前はKARTEのパンフレットやオフラインイベントで配布するグッズを中心に携わっていましたが、今は資料デザインなども含め、幅広い業務を担当しています。

プレイドでは、あらゆる方にお渡し可能なノベルティグッズのほかに、メンバーやKARTEのクライアント(弊社では親しみを込めて「KARTE Friends」とお呼びしています)を対象としたイベントのノベルティグッズを「ギフト」として届け、遠隔にいても参加している人とより深く繋がれるような体験を提供したいと考えています。今回はただ作って渡すだけじゃない、対象となる人の体験をよりよくするための「ギフト」の全体設計についてまとめていきます。

▼KARTEについて

KARTEは、サイトやアプリの訪問者の行動や感情をリアルタイムに解析し、一人ひとりに合わせた体験の提供を可能にするCXプラットフォームです。

コロナ禍によりリモートワークが広がる中、プレイドももれなく影響を受け、イベントはオンラインを軸に設計していく流れになりました。それまでのオフラインイベントでは会場に集まった人同士の熱量を伝えやすく、その場でコミュニケーションを取ったり、作ったノベルティグッズも直接お渡しすることができましたが、オンラインとなるとそうはいきません。

コロナ最中のリモート環境下でギフトを届ける体験の始まりとなったのが、有志のメンバーが企画した「PLAY-AID GIFT」というサプライズ企画でした。メンバーを対象にKARTEを活用したアンケートをサイト上に掲出し、回答結果に応じたおすすめのギフトをそれぞれの自宅に届けるといった内容です。コーヒーや日本酒、ジュースなどそれぞれに詳しいメンバー達がピックアップしたギフトが自宅に届くという体験はとても好評で、その体験をきっかけにオンライン上でコミュニケーションの場が生まれていました。

自分自身が体験することで、「オンライン環境下でもオフラインと同じようにギフトをハブとして人の感情を動かすことができる」という気づきになりました。ただしリモート環境下となると、対象の方がいる場所に届けなくてはいけないので、KARTE Friendsを対象にする場合は受け取るところまで細かく体験を設計する必要があると考えました。

2020年12月、プレイドは東京証券取引所マザーズに上場しました。

上場プロジェクトは「SIX PJT(SIX PROJECT)」と名付けられ、プロジェクトの中心メンバーを筆頭に全社で走り抜けました。プロジェクトコードがSIXとなったのは、当初2019年6月の上場を目指していたためです。

▼プレイドのIPOに関する連載

プロジェクトが最大化となるタイミングに向けて、メッセージの発信やアウター/インナーのそれぞれを対象としたさまざまな取り組みも動き出しました。

▼「非効率にいこう。」というメッセージの意図

インナー向けには、「SIX PJT完走の会」というプロジェクトの振り返りとメンバーを労う会をオンラインで開催し、コンテンツの計画やメンバーが自宅でも楽しめるようにギフトを設計しました。

テーマは「SIXがゴールではなく、ここからが本番」。団結を確かめ合い、心を新たに会社として良い勢いを生み出していこう、という内容です。まっさらなイメージを持つ「白」をベースにデザインやギフトを選んでいきました。

アイテムによって違いはあるのですが、SIXの日付と証券コード、この日に向けて積み重ねてきた歴史、次に進む意識をもてるようなデザインを作成しています。

箱の中にどのようなギフトを入れるかは、サイズや準備コスト、納期などさまざまな条件のもと決めていきました。

最終的に決定したギフトは、ナッツとビール、お酒を飲めない人も楽しめるお茶、チョコレート、タオルあとはTシャツ、パーカーです。Tシャツやパーカーはメンバーそれぞれに好みのサイズがあるのでオフィスで受け取れるようにし、それ以外のアイテムを自宅に届けるようにしました。

ギフトの設計で一番の難所は納期でした。SIX PJT完走の会まであと1ヶ月程の期間の中で設計を始めたということもあり、削ぎ落とす部分・力を入れる部分の塩梅を考え、一番いいと思えるギフトの作成を行いました。

例えば、ビールラベル一本一本に手書きメッセージを書いたり、ギフトを入れる箱は印刷するのではなく真っ白な箱にテープを巻いたり、個口染めというメッセージカードのフチに色をつける工程や紙袋へのタグ付けなどできるところは自分たちで行ったり、限られたメンバーでスピード感を持って準備を行いました。

そうして完成したのがこちら。

今回は社内向けだったので、メンバーにはSlackで当日までに届くことを告知し、確実に受け取ってもらえるようにしました。

アイテムそれぞれにオーナーシップをもったメンバーがおり、複数人で準備を進めていたため、MiroやSlackを使って全体像を整理できたのはかなり効果的でした。

また、いつでも目的に立ち戻れるようにMiro上にコンセプトや幹となる考え方を載せておいて、いつでもみんなが立ち返られるようにしました。

メンバーからはSIX PJT全体を通しての思いやギフトの感想、これからに向けてそれぞれがプレイドと向き合う日になったと実感しています。

SIX PJT完走の会のギフトで行った全体設計とマネジメントを他のイベントでも活用できそうだと思い、社外向けのイベントにも展開しました。

2021年3月に、普段からKARTEをご利用いただいているKARTE Friendsのみなさまに向けた「KARTE Friends Thanks day 2021(以下サンクスデー)」を開催し、その際もギフト選定から発送まで設計を行いました。

サンクスデーは「KARTE Friendsへの感謝を伝える場」という意味を込めています。長時間のオンラインイベントで、KARTE Friendsが楽しめるような人に寄り添えるギフト設計を意識しました。設計なくロゴだけを載せたようなノベルティを避けて、味や品質にこだわりのあるものを選定しました。

タオルハンカチ、お茶とコーヒー、飴とチョコレート、刺繍ワッペンとステッカーそしてKARTE Friendsへのメッセージカードを詰め込んでいます。例えば、コーヒーまたはお茶のどちらかを飲みながら参加したい人、イベント前にコーヒーを飲んで休憩してイベント中はお茶を飲みながら楽しみたい人。人によっていろんな楽しみ方を選べる組み合わせを考えました。

ただ今回はKARTE Friends向けなので、先ほどご紹介した「SIX PJT完走の会」のように参加者に「いつまでに届きますので受け取ってください」と1人ひとりにお伝えしてもすぐに受け取れるとは限りません。

参加者によってはオフィスでイベントを見るとはいえ、お届け日に受取できなかったり、自宅を希望される方もいる。段ボールで送ると、会議中だった場合わざわざ会議を止めてしまったり、再配達のお手間をかけてしまう。そうなると参加者にとってはいい体験ではないと考えました。

お届けの負担を減らすため、今回は郵便受けに入るサイズで考えることにしました。ポスト投函だと参加者が好きなタイミングでギフトを受け取りやすくなります。

容積が小さくなる分お届けするアイテムに制限は出てしまうのですが、あくまで受け取り時の体験を考え、このような意思決定になりました。

そして完成されたギフトがこちら。

KARTEのギフトを設計するうえで私が意識しているのは、「届ける相手の立場に立って考える」ということ。そのうえで、何がその人にとって嬉しいかは人によって異なるので、選択肢を用意するようにしました。お茶でしょ!ではなく、お茶とコーヒーを用意して、どちらか好きなほう、もしくは両方ともお楽しみください、といった余白を持つようにしています。

CXDチームでは、意図を考えずにノベルティグッズを渡すわけではなく、対象に合わせた設計しています。例えばあまりKARTEを知らない人に、高品質なパーカーを渡したとしても頻繁に着てもらえるとは限りません。KARTEの世界観の入り口に立っている興味を持ってくださった方、共感したうえでKARTEを応援してくださるKARTE Friends、そして社内メンバーといったようにロイヤリティを踏まえて届けたいと考えています。

例えばオンラインイベントだと観るだけではなく、お茶やチョコレートなど口にするものなど参加しやすいアイテムやコンテンツによって、五感でも楽しんでいただくことができると考えています。私たちにとってギフトをお届けすることは時間や体験を共有する一つの要素としても大切な存在です。

このようなノベルティグッズ・ギフトに対する考え方は社内ドキュメントにまとめて、メンバー間で共有できるようにしています。

アイテムは、メンバー自身が体験したり、良いと感じたもの、XDなど取材で出会ったCXの重要性を伝えるものからアイデアを集めています。

CX(顧客体験)にフォーカスを当てたビジネスメディア「XD(クロス・ディー)」

ギフトを考えるところからプレイド・KARTEの仲間たちの力を借り、お届けする対象者により良いと思われる体験を提供することで「CX」の重要性を伝えていく。オンラインイベントやギフト設計は試行錯誤する中で少しずつ進化を重ねており、今後もあらゆるコミュニケーションを通じて届けていきたいと考えています。

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