HERPのデザイナーsmithです。

当時元々デザイナー2人体制だったHERPに2022年3月からジョインして、デザインチームの環境改善に取り組んでいます。

僕が入社した当初、HERPではクリエイティブの統一感の無さが課題となっていました。チームとしてクリエイティブに求める品質や方向性が定まっておらず、各デザイナーが属人的にそれらを判断している状況でした。そのため、レビューを行っても個人の好みに近い感覚の主張しかできず、空中戦になりがちでした。

上記の課題を解決するために取り組んだ「HERPらしさ」をボトムアップに定義していく仕組みづくりが良かったので紹介しようと思います。

今回紹介する取り組みで特徴的なのは、「HERPらしさ」の定義を、トップダウンではなく、ボトムアップで作っていくところです。トップダウンとは、ブランドの定義からガイドラインを作成したり、アートディレクターが全制作物をチェックするなどの方法を指しています。一方でボトムアップな方法とは、現場のメンバーで対話しながら「らしさ」の認識を揃えていき、揃った認識をガイドライン化する方法を指しています。

今回の取り組みにおける、トップダウンとボトムアップの違い

ボトムアップな方法の良さは、環境が整っていない企業でもすぐに「らしさ」の定義を始めることができることです。ブランドガイドラインのような整った土台がなくても可能で、議論を繰り返すことで細かく認識をすり合わせることができるため、高度なディレクション能力も必要ありません。

HERPでは、まだブランドガイドラインが確立しておらず、アートディレクターのようなディレクションに専門性を持つメンバーもいないため、必然的にボトムアップに進めていくことになりました。

仕組みづくりで特に重要だと感じ、意識して取り組んだのは以下の2つです。

  • コミュニケーションを増やすこと
  • 更新前提のガイドラインとして言語化すること

「らしさ」をすり合わせるためには、とにかく対話を増やして、各デザイナーが見ている景色の交換をすることが重要です。お互いの制作物なども見せ合いながら議論をしていくことで、「らしさ」が擦りあっていきます。

HERPではコミュニケーションを増やす仕組みとして以下を実施しました。

  • 1日1回は必ず会話するための Daily Standup
  • いつでも相談しやすくするための、Slack の huddle を使用した環境づくり
  • 相談の心理的ハードルを下げるための、20%ルール

1日1回は必ず会話するためのDaily Standup

Daily Standupでは、毎日、お互いの業務やアウトプットに対してレビューし合い、チームメンバーの目線合わせを行なっています。頻度高くお互いのアウトプットに対する意見交換ができるため、HERPらしいデザインはどういうものかが、チームメンバーの中で擦りあっていきます。

Daily Standupのアジェンダの例

また、最初の5分間は必ず雑談をすることを意識しています。毎日雑談をすることで心理的安全性が上がっており、お互いの考えをストレートに伝えやすい関係性を築けています。

いつでも相談しやすくするための、Slackのhuddleを使用した環境づくり

Daily Standupだけではなく、日々の業務で詰まったところで、お互いに相談し合えるような雑談の環境をSlackのhuddleを使って用意しています。各メンバーが自分の分報チャンネルを持っていて、話しかけられても良い時間帯は常に自分のチャンネルのhuddle に入っています。コミュニケーション量を増やしつつ、スピード感を保ちながら作業を進めるのに役立ってます。

ちなみに最近では Gather や Tandem など、他のツールでもオンラインでいつでも話しかけやすい環境づくりを試しています。必要に応じて環境を改善していく予定です。

相談の心理的ハードルを下げるための、20%ルール

チームの中で、20%刻みでアウトプットを出して、相談しようというルールを決めています。不完全なアウトプットを最初から許容されているため、相談の心理的ハードルを下がっています。

対話の中で共通認識が取れた決めごとは、ガイドラインとして文書化しておくことで、その後の業務での抜け漏れを防ぎ、振り返りをしやすくなります。例えば、「OGP画像は白背景で作る」「UI上の文章は句点をつける」などの細かなルールを少しずつ文書にしていきます。

チームとして共通認識がとれた内容を、Notionにガイドラインとして文書化している

ガイドラインはあくまで更新前提として、気軽に加筆修正できるようにしておくことで、明文化のハードルを下げることができます。HERPのガイドラインでは、β版をv0.9.0とし、齟齬なく運用が継続できることが確認できれば、正式版とする方式を採用しています。β版でからはじめることで、改善・更新するものであることをより意識しやすくしています。

取り組みの具体例として、ブログや記事のOGP画像の統一化についてご紹介します。最近のHERPではバラバラだったブログのOGP画像を以下の画像のように統一するようにしました。

取り組み前と取り組み後のOGP画像の変化

取り組み以前のHERPでは、デザイナー間で共通する「HERPらしさ」がなかったため、アウトプットの品質や方向性がバラバラになってしまっていました。

そんな状態を解決するために、Daily Standup などの時間を使って、HERPらしいOGP画像とは何かを擦り合わせていきました。チームメンバー全員でFigmaを用いて案出しをしながら、「どれがHERPらしいか」「どういうところがHERPらしいか」などを議論しながら少しずつルールを決めていきました。

擦り合わせたルールは議論を進めながら、Notionで管理しているガイドラインに順次追加していきました。現在でも都度デザイナー同士でレビューを行い、必要に応じてガイドラインを更新しています。ちなみにガイドライン化をする際には、記事ごとの個性を持たせるために、ルールを決めすぎずにデザイナーが都度考えて作る余白を残すことも意識しています。

Notionで管理しているOGP画像ガイドライン

取り組みの結果、現在ではOGP画像の見た目にはかなり統一感が生まれてきております。

また、ガイドラインが出来上がってきたことで、OGP画像の作成スピードも格段に速くなってきました。ある程度FIXしているとこから考えられるため、コミュニケーションコストもアウトプットまでにかかる時間も抑えられています。

今回の取り組みにより、チームメンバーの中の「HERPらしさ」を細かいレベルですり合わせることが出来ました。また、結果的にチーム内の会話が増え、チームメンバー同士の心理的安全性も高メルことが出来ました。

今後は社内外の誰もが HERP に対して共通の印象を抱けるように、デザインチーム内で擦り合わせ続けている「HERPらしさ」を他チームのメンバーやアウトプットにも浸透させていこうと考えています。そのために、デザインチームのメンバーがより他チームへ染み出しやすいように環境改善していく予定です。

また、HERPでは、最近コミュニケーションデザイナー(ブランドマネジメント)の募集も始めています。このような取り組みに興味を持った方は、ぜひお気軽にお話ししましょう!

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