AI不動産投資「RENOSY」のUXデザイナー趙と豊竹です。

私たちは、投資用不動産の検討〜購入〜運用〜売却、という長い体験を支えるAI不動産投資「RENOSY」というサービスのユーザー体験全体像を可視化して、すべての社員が顧客理解をもとに施策をつくれるようになることを支援しています。

安心・簡単・最適な、不動産による資産形成を叶えるテクノロジーを活用したAI不動産投資「RENOSY」のユーザー体験の可視化に取り組む

これだけジャーニーが長いサービスなので、2024年に私たちが入社した時には、すでに組織も細分化され、職種分割が起こっており、いくつものプロダクトが存在していました。

このような状況で「サービスの全体体験をイメージして施策をつくれていない」という問題が起こっていたため、UXデザイナーとして、顧客理解から施策数を増やす仕組みをつくっていきました。

私たちは2024年、RENOSYを運営するGA technologiesに初めてのUXデザイナーとして入社しました。

GA technologiesでは、顧客体験を重視していきたい経営方針のもと2023年ごろからデザイン組織が拡大し、10名ほどのデザイナーが在籍しています。ここに初めてのUXデザイナーポジションで参画することとなりました。

RENOSYを運営するGA technologiesには10名ほどのデザイナーが所属。私たちは初めてのUXデザイナーポジションで入社

入社後の最初のミッションは「今まで顧客体験文脈での整理がされていなかったRENOSYのカスタマージャーニーマップをつくる」というものです。

まず入社してみて感じた問題が、サービスの全体像を捉えづらいということでした。

不動産投資という領域は、一般的なサービスと比較してとてもジャーニーが長いのが特徴です。購入、運用、売却、または2件目の追加購入...と数年越しのユーザー体験を考える必要があります。

RENOSYでは、その長いジャーニーに対応するために、ジャーニーを分割するように事業部が置かれ、それら事業部に置かれた職種チームで、各人が施策を推進しているような構造を取っていました。

なので、ヒアリングをしてみると「各人が自分の役割である事業課題に向き合っているが、サービス全体の体験をクリアに整理できている人が少ない」ことが分かりました。

このような状況では、事業部ごとに最適化した、場当たりな施策が増えてしまいやすいのが問題です。例えば、特定部分のCVを増やそう、という発想で施策が乱立していて、全体としてのユーザー体験が考慮されづらくなっていました。

ファネル別にチームが分かれているため、全体体験を考慮した施策が考えづらかった

また、サービス全体像のキャッチアップを入社してから行うことが難しいことも問題でした。オンボーディングの資料も部署ごとにある場合もあれば、ないこともあり、ドメイン理解が難しい。

これでは自分自身も施策を考えられないと思い、まずは一部分からサービス体験を可視化することに取り組み始めます。

まず行ったのは、事業部をまたいだサービス全体像を把握しにいくことです。

ここでは「泥臭く足を使って情報を集める」「属人的な知識に留めないように可視化する」ということを意識しました。

まずは、サービス全体の体験を可視化するところから始める

はじめに、私たち自身のオンボーディングの意図も兼ねて、サービス全体の体験を見える化しました。

前述のように、RENOSYというサービスの全体像は非常に長いジャーニーで構成されています。これらをユーザー体験ベースで整理していきました。

RENOSYの全体ジャーニーマップを作成

方法としては、実際のユーザーになりきってサイトを触りながら検証していき、フローにまとめるアプローチを取っています。

それでも検証しきれないところはユーザーの実際の体験を確認したり、投資用不動産購入にあたる面談のステップはアセットプランナーに協力してもらい営業のロープレを受けたりと情報を集めます。

本社とは別のオフィスを拠点にしている事業部もあったため、直接訪問してメンバーにヒアリングをすることもあり、とにかく泥臭く足を使いました。

結果的に、2ヶ月くらいの期間をかけて、サービスの全体像を以下のようにまとめることができました。解像度高くサービス全体の構造を理解していけるように、投資用不動産の購入、管理、売却の3ステップの中での

  • 顧客行動 (オンライン・オフラインに分けて)

  • 施策・発信 (メール/LINE/Web)

  • 施策のクリエイティブ

  • ユーザー課題 (不動産投資に対する不安 / RENOSYに対する不満)

  • 社内業務フロー

  • 社内課題 (売上向上/CX向上/生産性向上/リスク対応)

をできる限り具体的にまとめています。

投資用不動産の購入、管理、売却の3ステップに分けてつくった、ジャーニーマップの項目

つくられたジャーニーマップは、自分自身のオンボーディング的に活用するだけでなく、チームで施策を考える時の共通言語としても活用してみました。

最初に関わっていたRENOSY CRMチームのメンバーと、ジャーニーマップを見ながら「どんな施策ができそうか?」と会話してみるワークショップを何度か設けていきます。

例えば、以下のようなことを問いかけていきました。

  • 入り口部分で顧客の行動を阻害する壁はどこになるか?

  • 顧客の行動を妨げる要素を解消するためにはどうすれば良いか?

結果として、メンバーから、ジャーニーをもとに、各プロセスで顧客行動を阻害する要素を洗い出して、施策が自然と生まれるようになり、各自でどんどんネクストアクションに移してくれるようになりました。

ジャーニーマップを見ながら、チームで施策を考えたワークショップの様子

さらに、その様子を見ていた役員から「これは良い取り組みだから、⁨⁩もっと全社に広められないか?」と話しかけられ、より全社的な取り組みにするために動き出すこととなります。

ここからは、全社で顧客体験を意識した施策が増えていくようなワークフローを構築するために動いていきます。ここで意識していたのは「顧客体験を意識することで事業数値が伸びることを明らかにする」ということです。

顧客体験を意識することで事業数値が伸びることを明らかにする

何度か経営陣と話していくうちに、問題意識は「顧客体験をベースにした施策が、なかなか自然と生まれづらい」ということにあるのが分かりました。

メンバーとも会話しつつ深ぼってみると「顧客体験を意識した方が良いことはみんな分かっている」ようでした。一方でブレーキとして「どう顧客体験を考えたら良いかも分かっていない。売上の目標もあるしリソースにも限りがある。なので、わかりやすく数値が向上しそうな施策に引っ張られている」という現状があることも分かります。

このような問題意識を解決するためには「顧客体験を重視した施策が、数値向上にもつながる」ということを分かりやすく伝えていく必要があるだろうと考えました。

当時の経営と現場の問題意識

とにかく早く「顧客体験起点での数値向上」を生まなければ、ユーザー体験を意識する重要性は現場に浸透していきません。

そのためにもドメイン理解に留まらず、施策立案までサポートできる仕組みをつくる必要がありました。

なので、まずはRENOSYの「検討〜購入」フェーズのうち「認知から面談」までの領域に絞って、シンプルにまとめ直したジャーニーマップをつくることにします。

ドメイン理解に留まらず具体的な施策を出すための、領域を絞ったジャーニーマップを用意

このジャーニーの項目は、最初にアウトプットしたサービス全体像を可視化したジャーニーよりも、もっとシンプルかつ具体的にしています。

例えば、現状の項目には数値を記載し、ヒントとして行動の理想状態や、課題仮説も明示しています。これを見れば「ここを解消すれば良いのか」と全員の認識が揃うことを目指してアウトプットしました。

用意したジャーニーマップを用いて、チームメンバーと何度もディスカッションを行いました。

毎日30分、色んな部署の方と話していきます。RENOSYを認知していただいてから面談までは、お客様に資産形成の提案を行うアセットプランナー、プロダクトマネージャー、マーケター、データサイエンティストなどいくつもの職種が関わっています。さらに横断してRENOSYのテクノロジー体験を構築しているエンジニア、デザイナーが存在し、本来、彼らのアウトプットは一つの体験に向けてつくられているべきです。

ただ実態は、追いかけているダッシュボードや、用語の使い方も各部署で違っているので、会話の中で「全員が同じ指標を見て施策を考えられる」ように、指標の定義なども揃えていきます。

職種をまたいで、ユーザー体験を軸とした施策立案を行うディスカッションを何度も開催

裏側では、数字の歩留まりをデータとして収集し、整理していくことも行っています。

カスタマージャーニーと数値を合わせて見る習慣をつくることで、アセットプランナー・開発などさまざまな職種が同じ言葉で会話し、同じ指標に向けて施策を出せるようになることを目指しています。

部署ごとに異なる目標を追いかけるのではなく、全ての部署で一緒にジャーニー全体の歩留まりを見て、End to Endで顧客体験を改善していけるように

具体的なジャーニーを用意して浸透を繰り返した結果として、アセットプランナー、データ、PdMなどのさまざまな部署のメンバーが、一緒に施策を出すというプロセスが生まれました。

ジャーニーを見ながら部署をまたいで一緒に施策を考えるワークショップが開催され、A/Bテストの施策が生まれています。

部署をまたいで、同じジャーニーを見ながら一緒に施策を考えるワークショップが開催されるように
ユーザー体験をもとにしたA/Bテストの施策が生まれた

このようなプロセスで、RENOSYの顧客起点での施策が生まれる仕組みを整えているのが、GA technologiesのUXデザイナーが行っていることの一つです。

現在は、さらに関わる領域を増やして、カスタマージャーニーを意識して施策を進められている人を増やしていくことに取り組んでいます。

私たちが意識しているのは「組織や事業が拡大しても、同じユーザー体験を全員がイメージできるように」することです。UXデザイナーは、部署で区切られた動きをするのではなく、横断してユーザー体験を設計していく役割です。組織や事業が拡大し、たくさんの目的が生まれてしまいやすい状況でも、「こういう体験をつくる」という共通認識が全員揃っているようにしなければいけません。

目指すべきは、部署や職種をまたいでもつくりたい体験が共通している状態

このような取り組みを推し進めるには、「ユーザー体験を考えることは、事業数値的にも意味がある」という理解をしてもらうこともセットで意識すべきことだと思います。

綺麗事ではなく、さまざまな部署が連動して一つのユーザー体験をつくっていくことで、事業数値にも影響していくのだという認識をつくるために、リサーチに留まらず、泥臭く足を使いながら各部署に入り込み、施策によって生まれた事業成果とともに顧客理解の重要性を広げていきたいです。

今後も同じ目的に向けて、取り組みや仕組みを増やしていきます。

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