SmartHRの「コミュニケーションデザイン組織」が担う役割と活躍するデザイナー像

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2021/07/28

SmartHRのbebe(@watabebe)です。

約4年前に1人目のデザイナーとしてジョインし、現在は9名のコミュニケーションデザイングループ (通称コムデ) のマネージャーを担当しています。

最近のコムデの体制については、先日こちらのnoteに書きました。

私個人的にコミュニケーションデザイン組織の活動をオープンにしていきたい(既にオープンですがさらに)気持ちがあります。

これまで、デザイン組織づくりの参考にとインターネットの海に潜ってみるも、なかなかその手の情報出会えず...(探し方が下手説) そのため、これは直接聞いたほうが早いのでは?と数少ない知り合いを辿ったり、イベントに参加しお話するなどして、様々なスタートアップ企業のデザイナーのみなさんにヒアリング行脚していた時期もありました。(その節はお世話になりました) そんな経験から我々の活動は少しでもオープンにし、似た課題を持つ方の参考に、興味をもってくださる方との接点につながればと思い発信活動をしています。 この SmartHR Gallery では我々の日々の活動の中でも特に、外からは見えにくい取り組みを中心にご紹介しています。

というわけで今回は、

  • SmartHRにおけるコミュニケーションデザイングループの役割
  • 活躍している人の特徴
  • グループが抱える課題

の3点について、組織のマネジメント観点から書いてみます。

コミュニケーションデザインといっても、デザインの対象やデザイナーの役割・体制は企業によって多種多様なため、丸々参考にするのは難しいかもしれませんが、SaaSのコミュニケーションデザイン組織で活動する方、デザインマネージャーとして活動する方のご参考に少しでもつながれば幸いです。🤝

業界や扱うサービスによって必要な「コミュニケーション」は様々だと思いますが、その前提で我々はコミュニケーションデザインの扱う領域を

「全てのタッチポイント」 と表現しています。 サービス「SmartHR」としてもコーポレート「株式会社SmartHR」としても、社内外を問わずSmartHRにとって全て、のタッチポイントです。

例えば、SmartHRの製品とお客さまの、インターネット上の接点であるサービスサイト。 https://smarthr.jp

イベント時の特設サイト。 https://smarthr-next.jp

カスタマーサクセスのメンバーがお客さまに説明をする際のスライド。 (参考:のべ1500名が参加した、SmartHRのウェビナーのためにデザイナーとしてやったこと

社内イベント用に全社員に配布された、オンライン新年会用のノベルティBOX。 (参考:SmartHRの「オンライン新年会セット」制作の裏側

社外にあまり出ない例だと、セールスメンバー向けの「商談ブースで使うためのツール」などもつくっています。

他にも広告・各種オウンドメディア記事・イベント用の各種バナー、サービス紹介からお客さまの導入事例採用コンテンツといった様々な映像、お客さまの社内でSmartHRの活用をアナウンスするポスターや、SmartHRからお送りする請求書に至るまで「どこを取ってもSmartHRらしくポジティブに」感じられるような、言わば金太郎アメのような状態をつくりたいのです。

まとめると、SmartHR社全組織の活動からアウトプットされるタッチポイントすべてにおいて、SmartHRらしくポジティブな顧客体験を形づくる。 そうやってSmartHRらしさを体現し続け、サービス・会社全体の活動を引き立て、後押しすることがコムデの役割と考えています。

このように広い領域で活動しているコミュニケーションデザイングループですが、実際どのような人が向いているのか、面談や面接の場で聞かれることがよくあります。 あくまで私の主観を交えての見立てですが、こんな方が活躍しやすいかなと思います。

  • 多様なメンバーとコミュニケーションしながら、成果を導いていける人
  • 表現の追求よりも、サービスの良さを伝えることにこだわりたい人
  • 変化をポジティブに受け取め、自らアクションを起こせる人

それぞれ、もうすこし詳しく解説しますね。

■ 多様なメンバーとコミュニケーションしながら成果を導いていける人

以下のように、コムデでは複数部署の多くのメンバーと関わり仕事をしています。

そのため、1人で完結する仕事はほとんどなく、様々な職種・スキルの方とコミュニケーションをとりながら、その都度チームを組むことになります。 そこで求められるのは、言われたものをただ作ることではなく、そのときのゴールに必要なものや、時にゴールを見直すことも含めて議論しながらアウトプットし、成果につなげていくことです。

お互いの職務をリスペクトしあってチーム全体で大きな成果を生むこと、を意識し行動できる人が活躍していると思います。

■ 表現の追求よりもサービスの良さを伝えることにこだわりたい人

コムデでは誰か一人の意向によってデザイン表現を決めておらず、「SmartHRらしさ」をSmartHR Design System の中でパーソナリティとして定義し、どのタッチポイントでもSmartHRらしく感じてもらえるように努めています。

「SmartHRらしさ」は現在こちらで定めていますが、これが完成というよりも、今目指すべき”らしさ”の基準として活用しています。

2020年にサービスビジョンを新しく「Employee First.」とアップデートし、SmartHRが向き合う対象は「すべての働く人」となりました。 目指すのは、特定の誰かのためではなく、水道や電気のような、すべての働く人のための"社会インフラ”のように機能している状態です。

そんな公共的な存在を目指す「SmartHR」はどんなあり方で、そのときの振る舞いやコミュニケーションはどうあるべきなのか。 自分らしい表現を追求することよりも、SmartHRらしくあるための表現について考えていきたい人が向いているのではないかと思います。

■ 変化をポジティブに受け取め、自らアクションを起こせる人

そして最後は我々SmartHRのような、スタートアップやベンチャーと言われる企業には特に重要だと考える、柔軟さについてです。

2年前の2019年までは、私 (左) 含めデザイナーは4名でした。

2021年7月現在では、派遣・業務委託メンバーの方々を含めて17名にまで拡大しました。

(チーム体制の詳細はこちら

会社・チームが拡大する中で、やるべきことや求められる役割も当然変化していきます。 営業資料制作の例: 「資料のクオリティ向上を求められていたけど、半年後には、膨大に増えた制作量をさばくための仕組み・体制づくりが求められるようになった」という変化。 サイト制作の例: 「自らデザイナーとして手を動かし一人で制作する状況から、メンバー・外部パートナーをディレクションし、チームを束ねる状況になった」という変化。 担当ポジションを自ら変えた例: 「プロダクトをデザインする役割から、全社で扱うデザインシステムそのもの、またその利用方法の策定・周知まで幅広い仕組みをつくる役割」への変化。

これらのように制作への関わり方が状況と共に変わることもあれば「今自分はどんなバリューが発揮できるか」を考え自ら役割を変える判断も時には必要です。 と言っている私も、はじめは広く(本当に広く)デザイン制作に携わっていましたが、今はみなさんの活躍を支援するための組織づくりに振り切って活動しています。

変化は良くも悪くもストレスではあります。 この変化を、柔軟なマインドでポジティブに受け取め、自らアクションにつなげられる人は、SmartHR のような変化の激しいスタートアップに向いているのではないかと感じます。

「コムデがまだできてない部分はどこですか?」と聞かれることも稀によくあります。 組織拡大してきた中で、今コムデが抱える課題を抜粋してみます。

■ 品質を高める活動に時間をかけづらい

  • 全社的な人の増加と共に、各部署からの依頼数が想定を超える早さで増えていること
  • これまで積み上げてきた、制作物の運用負荷が高まっていること
  • 各グループが掲げる、新しい施策の規模が拡大していること

これらの掛け合わせによって、社内から相談を受けた制作の一つ一つに十分な時間を取れなかったり、グループ全体の制作品質向上のための活動になかなか着手できていない状況です。

「ただひたすらこなす」ではなく腰を据えて業務に取り組むことや、自主学習・勉強会・研究開発などグループ全体のスキルアップ。 このような品質向上へ注力できる環境づくりは、メンバー個々人のやりがい、中長期的にみた組織づくり、いずれの観点でも今取り組むべき重要な課題と考えています。

■ メンバーのステップアップできる環境をつくりたい

現状は、コムデメンバーのほとんどが一様に「デザイナー」として活動しています。

チームが少人数のうちは、それぞれが柔軟かつスピーディーに対応することを重視し、受け持つ案件のディレクションや制作は全てデザイナーの役割の中で行ってきました。 一方最近は、規模の大きな案件も増え、外部パートナーとの協働におけるアートディレクションや、企画・施策全体のクリエイティブディレクションを中心に行うメンバーも出てきました。 加えて、最近では明確に「ディレクター」としてジョインするメンバーも増えてきました。

今後さらに人が増える中で、アートディレクターやクリエイティブディレクター(詳細はこれから検討していきます)のように、新たな役割と業務の責任範囲を明確に定め、意識してそこにチャレンジできる、個々人のステップアップにつながる環境をつくりたいと思っています。

マネジメント観点でのコミュニケーションデザイングループの一面をご紹介しました。

活動領域を「全てのタッチポイント」と定義しつつも、対応範囲も日を増すごとに大きくなりグループの忙しさを目にした際に、流石に領域を絞るべき?とふと考えることもありました。

しかし、我々はSmartHRに触れるすべての人に「SmartHRらしくていい」と感じてもらいたいのだよなと初心に立ち返り、そのためにもグループとして領域は限定せず全てのタッチポイントに関わっていき、その実現のために私は組織の忙しさ含めて課題を解決していくのだ、と結局思い至るのでした。 今後も「SmartHRらしさ」を体現しつづけることで事業に貢献していきます。

今回のように、制作物だけでなく組織活動についても引続きご紹介していきたいと思っていますので、こんなこと聞いてみたいな?とご希望を思いつかれたみなさま、「トピック募集(ページ下部)」からのご連絡をお待ちしています。(待望)

また、メンバーも絶賛大募集中(切実)ですので、少しでも興味をもっていただけましたら、まずはラフにお話しましょう! 🤝

おわり

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