ADWAYS DEEEが提供する、3つのアドプラットフォーム「JANet」「Smart-C」「AppDriver」。

ADWAYS DEEEが提供するプロダクト群

後述するアフィリエイト業界の構造的な理由から、これまでは意図せずプロダクト開発には注力をしていませんでした。

2023年に、これら3つのプロダクトを抱え、アフィリエイト事業を発展させるため、アドウェイズの子会社として「株式会社ADWAYS DEEE」が設立されます。

アドウェイズにおいて、アフィリエイト事業を発展させるため設立された「ADWAYS DEEE」

私は2023年より、ADWAYS DEEEの代表として、プロダクトの力で、アフィリエイトというビジネスモデルをより発展させることを目指して、組織構造の変革に取り組んできました。

私が、立ち上げとともにADWAYS DEEEの代表に就任したのは、2023年のことでした。アドウェイズグループの代表である山田から「プロダクトの力で、アフィリエイト事業をより発展させていきたい。代表になってもらえませんか」と打診されたことがきっかけです。

アドウェイズの代表山田から、DEEEの代表就任の依頼

実は私は、アドウェイズに2006年に新卒で入社をしています。その後、起業をきっかけに退職をしたのですが、アフィリエイト市場に対しては、ずっとポテンシャルや課題を感じ続けていました。

アフィリエイトとは、本来は、広告主、生活者、アフィリエイトパートナー、アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP) の全員が価値を得られる仕組みです。成果報酬ゆえに、リスク少なく広告主は広告を出稿することができる。生活者は適切に商品にたどり着くことができ、購買によってアフィリエイトパートナーにも収益が生まれる。

本来アフィリエイトは、関わる誰もが価値を得られる仕組み

このようなリスクの少ない構造のため、登場当初は勢い良く成長したアフィリエイト市場でしたが、ビジネスモデルの革新は10数年起こっておらず、アドウェイズでもプロダクトに注力されることはありませんでした。

さらに実態としては、多すぎる広告や、記事の閲覧に邪魔な配置の広告など、アフィリエイトは生活者にとってより良い仕組みになっているとは言い切れず、このような業界的なイメージの悪さも相まって、市場全体でみるとほとんど成長していません。

とはいえ、例えば、生活者に寄り添った新しい広告手法をつくる、不適切な広告を排除する。このようにプロダクトによって、アフィリエイトというビジネスモデルをより発展させることができるのではないか。それが私がアフィリエイト市場、そしてADWAYS DEEEに期待した理由でした。

プロダクトへの注力により、ビジネスモデルすらも発展させていく構想を実現するためには、まずは強い組織が必要です。

私はADWAYS DEEEの代表に就任する前から、何度もアフィリエイト事業に関わるCTO、エンジニア、デザイナーと会話をして、現状を確認していました。

その中で明らかになったのは「プロダクト組織の構造的な課題」です。

当時、アドウェイズのアフィリエイト事業は、ビジネス側の要望をそのままプロダクトに反映してしまっていました。

もともと、プロダクト側ではなくビジネス起点で成長した事業だったので、仕方ない部分はありますが、ビジネス側のメンバーが非常に強い意思決定権をプロダクトに対しても持っている構造になっていました。

当時のアフィリエイト事業では、ビジネス側のメンバーがプロダクトに対しても強い意思決定権を持っていた

さらに

  • ビジネス側のメンバーは...

    • お客さまに欲しいと言われた機能を、そのままつくってもらいたい

  • 開発組織では...

    • つくったものが、使われない

という、トップダウンな開発体制ゆえの両者の摩擦が生まれていました。

組織構造が影響して、ビジネス側のメンバーも、開発組織のメンバーも、両者に摩擦が生まれていた

しかし、逆にスキル不足的な問題は少なく、組織構造を変えてマインドセットを変えることさえできれば、プロダクトによってビジネスモデルを発展させていくことは容易だと考えられました。それゆえ、私は代表就任後にすぐ、組織構造のアップデートに取り組みます。

そこでまず、開発組織の構造から見直していきました。具体的には、3つの体制変更を行っています。

ADWAYS DEEE設立後に取り組んだ体制変更

1. 組織を分け、責任範囲を明確に
2. 三位一体でのプロダクト開発へ
3. 外部パートナーの巻き込み

はじめに行ったのはビジネス側と、プロダクト開発組織を切り分けることでした。

ビジネス側と、開発組織を明確に切り分けて、プロダクト開発の責任範囲を線引きする

ビジネス側には「何をつくるのかは、プロダクト側が責任を持つので、要望が必ず解消されるわけではない」ということを理解してもらいます。

逆に開発組織側では「つくったものが使われなければ、それはプロダクトの責任」ということを明示しました。

プロダクト開発に必要な要素として、プロダクトマネジメント、プロダクトデザイン、ソフトウェアエンジニアリングの3つがあります。

これらを担う役割を、プロダクト組織の中に職種ラベルとして置きました。

プロダクトマネジメント / プロダクトデザイン / ソフトウェアエンジニアリングの三位一体のチームに

プロダクトマネージャーは組織内にはいなかったので、ビジネス側に所属していたディレクターに対し「今日からプロダクトマネージャーとして動いてください」と伝えて、アサインしました。

ビジネス側のディレクターをプロダダクトマネージャーに

デザイン側のメンバーは、もともと数名がアフィリエイト事業に所属していましたが、職能はUIデザインやバナーデザインなどの表層のスタイリングにとどまっていました。

そのため、デザイナーにも「プロダクトデザイナーとして、体験や品質にも責任を持ってもらいたい」ということを伝え、リサーチなどのプロセスも積極的に取り入れていくように促します。

デザイナーの職種ラベルも「プロダクトデザイナー」に

当時のデザイナーの取り組みについては、こちらに詳しくまとめられています。

さらに、開発チームとしての責任範囲が明確になるように、複数のプロジェクトから、1つのプロジェクトを選び、注力してもらっています。

三位一体となって、失敗に言い訳ができない環境で、スピーディーに検証を行います。

複数のプロジェクトではなく、最も結果が出る1つのプロジェクトを選び注力

こうすることで、時間をかけすぎていた開発がなくなり、どうすればお客さまのニーズに沿った機能を開発できるのか?という起点から生まれるアイデアを、役職関係なく全員が考えるように変わり始めました。

とはいえ、急に体制を変えても、メンバーの成長が追いつくまでにはやはり時間がかかります。

正しい方法で、成果を出していくためには、一定の時間がかかることは分かっていました。ただ、どうしても事業としての成長も維持していく必要があります。そのようなジレンマを乗り越えるため、ADWAYS DEEEでは「伴走型の外部パートナー」を巻き込むことを重視しています。

例えばエンジニアやプロダクトマネージャーに対しては、「VMware Tanzu Labs」という、プロダクト開発を並走してくれるパートナー企業を巻き込んでいきました。

エンジニアとプロダクトマネージャー向けの育成機会

システムが古くなってきていた「JANet」のシステムをモダン化することを題材に、「VMware Tanzu Labs」にエンジニア・プロダクトマネージャーと4ヶ月間並走してもらい、アジャイルな開発プロセスの知見を育成してもらいました。

「JANet」のシステムのモダン化を題材に、4ヶ月間並走してもらう

加えて、デザイナーとプロダクトマネージャーへの育成機会として、伴走型のデザインパートナーである「root」を外部パートナーとして巻き込みました。

現在も伴走型で支援をしていただいており「事業成果を出すこと」「より良いプロセスを社内に残してもらい育成を行うこと」の2つをミッションとして提示して、新規事業の開発を支援してもらっています。

デザイナー / プロダクトマネージャーに向けた育成機会

ADWAYS DEEEでの外部パートナー巻き込みの目的は「正しい開発プロセスの育成」だけでなく「事業成長」も目的にしています。

どちらも、単体では別の手法もあると思いますが、これらを両取りして、事業成果を出しながらメンバーの育成も進めていくことができるのは「伴走型の外部パートナー活用」しかないと思っています。

外部パートナー巻き込みの目的

このような外部パートナー巻き込みに加えて、いくつもの研修機会を設計。ADWAYS DEEE設立前の2021年と比べて、非常に多くの研修機会が今では用意できています。

DEEE設立前と比べて、多くの研修機会を設置できている

さらに、組織変革と同時に、ビジネス的な注力についても経営陣から明示しました。

ビジネス的な注力を示した社内向けのスライドのイメージ

具体的にどの市場に対して注力するかを示し、その中でバランスを取って機能開発を行うように戦略を定義しました。また、市場となる3つの業界ごとに開発チームも3つのラインとして整理しました。

開発チームも、注力する市場に合わせてラインを分割

この時意識していたのは「時間がかかったとしても、プロダクト組織から機能アイデアが出るようにする」「トップダウンではない持続的な組織をつくる」ということです。

1人の天才が強烈なアイデアを出し、それに従って全員が開発する、というようなスタイルは、私にはできません。そうではなく、一人ひとりとプロダクト開発をマネジメントできる人が生まれていくことが大事であり、粘り強く組織をつくらなければいけないと考えていました。

私は今でも週に1度、すべてのプロダクトマネージャーと1on1 (時に1on2) をしています。チームや個人の状況を共有 / 相談してもらい、成長を早めたり、発生している問題の解決をサポートします。

経験したことのない責任を負ってもらうからこそ、そこに挑んでいく意思のある人は、最大限に支援できるように努力しています。

週1ですべてのプロダクトマネージャーと行っている1on1の様子

そのような組織変遷を経て、ADWAYS DEEEでは、多くの機能がプロダクト組織から生まれるように変わりつつあります。

ADWAYS DEEEから生まれている機能の一部

また、プロダクト組織が自律的に動いていけるように、プロダクトマネージャーのみが開発体制を考えるのではなく、Prod Opsという形で全員がOps機能に関わるような体制も敷くことができました。

Prod Ops

実際に、組織構造の変遷の前後で、所属するメンバーがどう変わったのかも聞いてきたのでここに残しておきます。

ADWAYS DEEEプロダクト組織のメンバーの声

ここまでの取り組みで、プロダクト開発を強みにできる組織づくりが進んできましたが、まだまだ理想としている「プロダクトから、アフィリエイトビジネスを発展させる」ことには足りません。

ただ、何度も述べてきましたが、プロダクト開発は長い目で取り組む必要があります。そのため、ADWAYS DEEEでは、まず強いプロダクト組織をつくることから始めていきました。

組織変革の中で、ADWAYS DEEEには、“つくろう。「よかった」がめぐる世界を。”(通称よかめぐ) というミッションが誕生しています。組織の根本に、ものづくりのカルチャーを組み込んだことで、これからADWAYS DEEEという組織がアフィリエイト市場をプロダクトを通じて発展させていけるという確信が、私の中で高まっています。

ADWAYS DEEEのミッション
つくろう。「よかった」がめぐる世界を。

プロダクト開発は、100回失敗して、1回成功する、くらい確率で考えるべきだと思います。そのうえで「いかに小さく速く失敗できるか?」という視点が大切です。

ADWAYS DEEEのプロダクト開発におけるスタンス「100回失敗して、1回成功する」

全員がプロダクト開発に関われる組織を作っていく、そのためには、何度失敗しても構わない。結果として、アフィリエイト市場をアップデートさせていけるよう、導ける組織になれるのであれば、その労力と時間は惜しみません。私はこれからも全力で、ADWAYS DEEEのプロダクト組織を成長させていきます。

このデザイン組織をもっと知る

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